映画「ミステリと言う勿れ」を公開初日9:10の回で観た話。
※映画「ミステリと言う勿れ」のネタバレを含みます。映画ご覧になった後に読まれることを推奨します…のような文章のあとにこの言葉がなんでいつもないのって思うんですよね。どうせみんな思ってるはずなのに。だから今日は書きます…
観終わったら、絶対戻ってきて!待ってます!!
1.はじめに
田村由美先生の大ヒット漫画「ミステリと言う勿れ」が2022年1月期の月9枠にて、菅田将暉さん主演でドラマ化されました。菅田将暉さんの大ファンである私は、しっかりどハマり。Tverで見始めたものの、第10話あたりからはリアルタイムで観るために予定をこじ開ける始末でした。そして最終回の圧巻のフィナーレ(視聴者にも解釈の余地を与えつつ、次の展開も匂わせるあの終わり方が好きでした)から、1年半…そんなの、公開初日だけでは済まず、朝イチ初回のスクリーンに行くしかないでしょ!気がつけば、9/15 9:10に私はスクリーンにいました。
さあここで、あらすじを観てみましょう。公式サイトからの引用です!!なんとわかりやすい!
さ、ここから本当にネタバレします!もう、いいですね!知りませんよ!
2.普通の大学生だからこそ。
この映画の前半は、遺産相続候補者たち4人の相続争いの模様が描かれます。遺言書に書かれた謎を解いていくのに並行して、汐路の頭上から植木鉢が落ちてきたり、汐路と新音が階段に塗られていた油で滑り落ちてしまったり、ゆらが室温調整ができない蔵に閉じ込められたりと疑心暗鬼になっていく4人。しっかりと緊張感がピークに達したところで犯人がついに判明…それらの犯行はまさかの汐路だったという展開になります。「証拠を出してみろとかいうのは、大抵犯人で…」とお決まりの久能節全開のシーンで汐路に話しかけるのですが、これこれ!と映画館で興奮してました。彼は警察でもなければ探偵でもない、ただの大学生。汐路にこれ以上犯行を重ねるのはやめるように諭すのは、職務でもボランティアでもなく、ただそう思ったからという、これ以上ない純粋な理由に尽きます。遺言書読み上げる時も「犬神家の一族」というワードを口にしますが、普通なら有り得ませんからね笑、空気読めよ!ってなるところ、久能整はそう言う人だから…で完結してしまうのが、彼の1番の魅力で、そのキャラクターを求めてしまうこともあります。絶妙な距離感の人間に言われたからこそ響く言葉って生きてても多いですよね。私も言われたなぁ〜3年ちょっと付き合った彼女と別れた時に「この経験を表現に昇華させろ」って、出会って2ヶ月くらいのバイト先の人に。そのあと3ヶ月で3本くらい恋愛小説書いてました〜あ〜なつかしい。で、あのバイト先の人、それだけ言い残してバイト辞めたんだよな〜あ〜なつかしい。
3.セメント
汐路の犯行だとわかり、4人とも生存していたことに安堵していながらも、はて?この映画はここからどこへ向かうのだ?とワクワクが止まらないまま、汐路の初恋相手こと、車坂朝晴も加わり、4人の親の不審死の真相に迫っていきます。その中で、天然パーマの人間が世代を超えて殺害されているという一見嘘みたいな法則を整が発見しますが、きちんとその理由などが裏付けされていく展開が続くので、従兄弟たち4人を客観視してた前半と打って変わって、4人と同じ目線で物語が進んでいくのがとても気持ちよかったです。前のめりになってスクリーンにしがみついていました。
そして謎をとき進めるうちに、汐路の父に睡眠薬入りのオレンジジュースを飲ませて、事故を誘発させたのは車坂朝晴だったという真実に辿り着きます。追い詰められた朝晴は、その場にいた整と従兄弟たち4人、さらには刑事にもこれまででの犯行を自白します。その様子は悪びれるどころか、むしろ誇らしく話していて、背筋が凍えるシーンです。ドラマ版から共通して思うことですが、久能整が戦う相手は、純粋悪な犯人が多い印象です。義務として、一種の快感として、殺人犯の親を忘れないでほしいという想いとして、など理由は様々であれど、殺人をする目的は最初はあったものの、途中からその行動に重きを置くようになってしまった。ドラマのミステリーナイト編(8.9話)が特に好きですが、一線を超えてしまうとそれを繰り返してしまう。我々は「殺人」こそ実行してなくても、やってはいけないとわかってても、繰り返して何回もしてしまうことはある。そんな人間の本能的部分が大きく現れすぎているのがこのシリーズの犯人たちだと私は思っています。今回の朝晴も「そういうものだ」と特に理由もなく、殺人に否定的な感情はありませんでした。私たちには辿り着けない感情ですが、劇中でも話されていた「セメント」に「身近に殺人があった」という型が私たちには落とされなかっただけで、もし車坂家の一族に生まれていたら、どうなっていたかなんて、さっぱりわかりません。だからこそ、このシリーズの犯人たちを「サイコパス」の一言で片付ける風潮があまり好きじゃなくて。実は紙一重な気がしてるんです。理解できない非人道的な人間も人間で、あらゆる選択で自分はそうならなかっただけ。汐路の前半の行動がそれをさらに裏付けている気がしました。本当にまとまっている美しい映画だったと思います。
4.さいごに
つまらない授業のレポートなら、この「さいごに」が字数稼ぎのフィーバーチャンスだったりしますが、今回は楽しく書きすぎておよそ2800字になったので、もう何も書きません。そういえば、久能整のレポートとか読んでみたいな…いや、もしかしたら、「レポートなんてなんの意味があるんでしょう」とか言ってたりして…。
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