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あめのひに | 500文字のエッセイ

今日は朝から、夜は台風が来るらしいぞとざわざわしていた。家を出るころは真っ白な晴天だったが、電車に乗り込むと皆傘を持ち歩いている。

それを見てようやく、傘を持ってくるのを忘れて、あれどうしようかと少しかんがえる。目的の駅に着くと、まだお昼前だったがパラパラと小雨が落ちはじめている。道行く人はみないつもよりせわしないきがする。

ぼくも普段なら絶対に見過ごすような小雨に用心を構えて、コンビニで500円の傘を買う。その場で梱包を破いてもらい、外に出てみると雨はやんでしまっていたようだった。

しばらく過ごして電車にのって移動する。地下鉄は外の景色が見えないから、乗り込んでくる人をみて雨の様子を察知する。

今度の目的地に着いてみると、駅に向かってくる人がみな傘をたたいてばさばさと大げさに雨粒を払っている。どうやら雨が来ているぞと地下から上がってみると、期待外れの晴天に出くわしてしまう。

じめじめと雨を吸い込んだ地面から、熱せられた蒸気が街の空気を取り込んでしまっているようだった。雨は気配だけを残して、まだ何処かで息を潜めているようだ。

心だけがざわついて、雨はどこまでも穏やかだ。寝ている間に来て去れば良いと思うに限る。

今日の文字数:506文字

#日記 #エッセイ #雨 #台風

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