見出し画像

おばあちゃんの寝息と一人暮らし

家の外で我が家の番犬が寝息を立てている。

犬の寝息に、懐かしい記憶と共に寂しさを感じ、なんだか体が縮こまる。

海外生活は、累計すると約3年。
ホストファミリーと過ごしたり、寮生活をしたり、そして今は一人暮らし。

すっかり一人暮らしに慣れてしまった。
誰かの寝息を聞きながら、眠りに着く生活から離れてしばらくする。

今は、セミダブルのベットに1人で優雅に眠りに着いているが、実家ではそんな広々とした寝床はなかった。

姉と母と寝室を共にしていた時もある。
祖母と二人暮らしになってからは、リビングで祖母と2人で寝ていた。

私よりも早くに寝る祖母の寝息を確認して寝るのがなんとなく習慣だった。

たまにの寝言。
夜中トイレに起きてゴゾゴゾとしている音。
そして、私に布団をかけ直してくれる気配。

そんなおばあちゃんの生きる気配と愛情を思いだし、寂しくなる。

一人暮らしはとても快適だ。でも、家族と暮らしていたあのやっかいな時間が恋しい。

一時帰国を一ヶ月前に控えた今、母は私に言った。

「お土産なんて何もいらないから、会えるだけでいいのよ。おばあちゃんも帰ってくると聞いて、声がイキイキしてたよ」

厳しい祖母だか、やはり愛おしい。
日本に帰ったら、またおばあちゃんちで、おばあちゃんの寝息を聞きながら眠りに着くことにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?