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「本物が良い、レプリカはだめ。」

こんにちは

最近はお陰様で色々な場所でイベントを誘ってくださって、忙しい毎日を送っております。11月の初旬は、青森県の平川と青森市ESSENCEさんでpop upを行います。このイベントで多くのお客様との接点を築いていきたいと思っております。

12月も既にイベントの予定が入っておりますので、新着情報をいち早く知りたいという方はインスタグラムを運営しておりますので、こちらまで。


では、本日お話をしたい新しいVintageの魅力について考えていきたいと思います。


新しいVinatgeの魅力

さて、今回はVintageの新しい魅力?についてお話したいと思います。誰にとって新しいのかは不明ですが、当方実はあまりファッションに疎くて。そんな私が面白いVinatgeの魅力だなと思った部分があるので、その魅力についてお話できればなと思います。

というのは、今回紹介する商品(Soul out)のレプリカ?A2フライトジャケットがかなり面白くて、この記事を書くことを決めました。


レプリカ?A2フライトジャケット

初めに

私はVintageのお店を始める前はこのようなことを思っていました。
「本物であっても、何故たかだか服ごときに数万も払うんだろう。レプリカでいいじゃん。」と。特に、ユニクロのM51とかバーズアイもどきとか、バブアーみたいなジャケットとかね。

まぁ、今でも少し思うことはあります。

誤解を招くので補足をすると、なぜ「レプリカではなくて実物じゃないといけないかを言語化できていない人」に対して思うということです。なんとなく本物を選ぶなら絶対レプリカを買った方がコスパの面では良いです。やっぱりものすごく高い買い物なので、個人的にしっかりと価値を理解してから買って欲しいなあと思うのです。


さて、長くなってしまいました。私にとってVintageの魅力は大きく二つあると思っています。それは、「想像出来る魅力」、「歴史の一部になれる魅力」です。そして重要なのが、Vintageという言葉には、レプリカのVintageも含まれています。

「レプリカのVintage?」と思った人もいるでしょう。
しかし、Vintageの魅力について新品の服と比較しながら深く考察すると、このような答えになると思います。それは、

「新品の服に無くて、Vintageの服にある魅力とは、歴史背景」です。

セブンティースとかエイティース、渋いとか味があるとかよく言ってる人いますけど、全てにおいて「時間とその経年」について話してるなーという印象がありました。

このようなことを言うと、「〇〇年代のリーバイスは色落ちが違うから好きなんだ」と言う人。そう言う人に対しては、「じゃあ、全く同じ色落ちするユニクロのジーンズ、もしくはLVCの新品が1/5の価格で存在したら買うの?」と言うと、悉くそれは嫌だと主張するので、やっぱり「時間とその経年」に何かVintageの魅力があり、結果的に歴史背景こそがVinatgeの魅力になるだろうと辿り着きました。

そういう意味で言うと、80sのレプリカもVintageの括りに入らなければ論理的におかしいだろう、と言うわけです。

あ、でも本題に入る前に、一番言いたいことを先に述べておきます。それは「一周回って、本物とかレプリカとかどうでも良くね?」です。何故なら、レプリカでも歴史背景があるならVintageだからです。その理由については以下にまとめておきました。ぜひ、最後まで読んでくだされば嬉しい限りです。


では、ようやく本題。「Vintageの魅力について」です。

【想像出来る魅力】

お待たせしました。ここからは、このA2フライトジャケットについて説明しながら、一つ目の魅力である「想像出来る魅力」についてお話していきたいと思います。

A2フライトジャケット

おそらくこいつはレプリカです。
でも、「何をもって、レプリカなのか」を考えさせられる逸品でした。

まずは、

A2フライトジャケットについての概要


歴史学者でアメリカ軍に詳しい専門家にA2フライトジャケットについて聞いてみました!(by chatGPT4.0)

めんどくさい方は飛ばして下さいね〜
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A2フライトジャケットは、アメリカ空軍のパイロットや乗組員に支給されていたレザージャケットであり、1930年代から1940年代にかけてのアメリカの軍事史やファッション史の一部として知られています。

開発の背景:

  1. 技術的背景: 1930年代初頭、航空技術は急速に発展しており、飛行機の最大飛行高度や速度も向上していました。このため、パイロットたちはより厳しい環境下での飛行を強いられるようになりました。A2フライトジャケットは、これらの厳しい条件下でもパイロットを守るための必要な装備として考案されました。

  2. 戦略的背景: 第二次世界大戦の前夜、アメリカはその戦力を増強していました。空軍もその例外ではなく、新しい航空機や装備の導入が進められていました。この中で、パイロットの装備としてのフライトジャケットの必要性が高まってきました。

なぜ今も人気なのか:

  1. 耐久性: A2フライトジャケットは、本物のレザーを使用しており、非常に丈夫で耐久性が高い。このため、長持ちするという実用性からも人気があります。

  2. デザイン: シンプルで男性らしいデザインは、多くの人々にとって魅力的です。また、歴史的背景を持つアイテムとして、ヴィンテージ感やオーセンティックな雰囲気も楽しめる。

  3. 歴史的価値: 第二次世界大戦を象徴するアイテムの一つとして、多くの人々にとって特別な意味を持っています。収集家や歴史愛好家からも愛されています。

  4. 映画やポップカルチャーの影響: さまざまな映画やテレビドラマで、主要なキャラクターがA2フライトジャケットを着用しているシーンが見られます。これが、ジャケットの認知度を高め、一般のファッションアイテムとしての人気を持続させています。

総じて、A2フライトジャケットはその実用性、デザイン、歴史的価値、メディアの影響など、多くの要因が組み合わさって、現代でも人気のあるアイテムとして存在しています。
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だそうです。詳しく知りたい方は、個別でお願いしますね。そして、次に

パッチの考察

以下に写真を添付しました。

USMCパッチ

USMCと書かれているこのパッチは、このA2の所有者がアメリカ海兵隊に所属していたことが考えられます。ちなみに、アメリカ軍の服には他にも、USN(アメリカ海軍),USAF(アメリカ空軍)などとスタンプされている服もあります。

US × South Korea 

こちらは、アメリカと韓国の国旗です。なんとなく詳しい人なら、USMCとこの韓国の国旗から朝鮮戦争のものなんじゃないかという推測ができますね。

ルイジアナ州紋章

そして次が、このアメリカ、ルイジアナ州のマークです。イメージとしては、日本都道府県のマークみたいなのがついてるような感覚です。

翼の生えたトラ? 1955年?

最後にこちら。一番意味がわかりませんでした。googleの画像検索をしても引っかかりませんでした。ちなみに、この画像を調べてもIb2のこの写真しかヒットしません。そういう意味では、一点ものです。
ただここからは推測ですが、アメリカは何故かアジアに対して虎とか竜のイメージがあるので、そこらへんに関連があるのだと思います。実際に、ベトナム戦争のスーベニアとか横須賀のスカジャンに刺繍されていますしね。

多分、
A2フライトジャケット=翼
韓国=アジア=虎

ぐらいの感じだと思います。


さて、このA2ジャケットには、以上の4枚のパッチが付け加えられていました。
情報を整理すると、USMC(アメリカ海兵隊)、アメリカと韓国のパッチ、アメリカ ルイジアナ州のパッチ、55と書かれた翼の生えた虎です。

そして、ここで年代判別の鍵となるジップも紹介しておきます。

scovill zipper

わかる人ならわかる有名Scovill ジップです!

 基本的には、リーバイスでScovillだったら80年代確定ですね。ただし、英文の情報では、アメリカ軍に限っては、70年代から利用されたとする資料が見つかっています。ここでは、70-80年代のものの可能性が高そうです。しかし、補足するとScovill自体は、かなり昔からあるので、ジップが〇〇だから、〇〇年代と言ってしまうのは早計なんですよね。

ここで、二つの仮説を立ててみました。それは、本物の場合とレプリカの場合、
それではそれぞれ見ていきましょう〜。

まずは、その他の写真を追加しておきますね。

正面


ミルスペックなし


背面


本物と仮定する場合

さて、長かったです。こちらのジャケットがもし本物だと仮定した場合、いろいろなおかしな点があるのです。詳細なディティールもそうなんですが、このジャケットの皮が豚革っぽいんですよね。加えて、ミルスペックがない。しかも、Scovillジップ。他にもありますが割愛。

じゃあ、偽物かぁ。

多分一般的な人はがっかりするでしょう。しかし、偽物と仮定した場合、おかしな点があります。それは、先ほど紹介した4つのパッチです。

なぜ、わざわざレプリカのA2に意味の分からないパッチをつけるのでしょう。と言うのは、そもそもA2フライトジャケット自体、アメリカ空軍(ASAF)、もしくは、陸軍航空部隊が主なんです。にもかかわらず、なぜUSMC、つまりアメリカ海兵隊のパッチをつけるのでしょう。

※補足
海兵隊は、上陸作戦などで用いられる部隊です。この部隊一つで陸海空の仕事ができるのが特徴です。朝鮮戦争と関係がある場合は、北朝鮮に海から攻撃を仕掛ける部隊というイメージです。

そして、謎の「Fighting 55」とあるアジアを象徴する翼の生えた虎。1955年はすでに朝鮮戦争は休戦してしまっているので、休戦中に韓国で兵役をしていたんでしょうか。


加えて、ルイジアナ州のマークのパッチなんてつけるんでしょうか。

感覚的には、

青森県のマーク

これをつけてるみたいな感じですよ???

相当ルイジアナ州に忠誠心があるんでしょうね。しかも、なぜわざわざ韓国の国旗もつけるんでしょうか。朝鮮戦争のあった1940-50年代だろうが、Scovillジップによる70-80年代だろうが、当時のアメリカには多少のアジア人差別的なものを考えると、わざわざ国旗のパッチなんてつけるんですかね。

推測ですが、この持ち主は

  • ルイジアナ州に関係のある人

  • アメリカ、韓国に思い入れがある人

  • USMC、すなわちアメリカ海兵隊に関係のある人

だろう、ということになりますね。


結論

もしこのジャケットが本物だと仮定した場合、ここから考えられることはただ一つ。当時の所有者が朝鮮戦争に兵役していたアメリカ、ルイジアナ州出身の軍人だと言うことです。

Fighting 55については、年代の可能性もしくは部隊のナンバーの可能性があるので、上記の推測では含まれていません。

続いてレプリカと仮定した場合について考えていきたいと思います。

レプリカと仮定した場合

ここでは、Scovillジップから80年代と仮定しておきましょう。正確にはアメリカ軍は70年代からこのジップを使用していたらしいので、70年代の可能性もありますが、別に今回はどうでも良いです。


さて、このジャケットを偽物と仮定した場合においても同様にして疑問点がたくさんあるんですよね。というか、レプリカだったらレプリカで、当時の所有者はかなり気持ち悪いんですよ。だって、自分の都道府県の象徴みたいなパッチをつけるほどの愛国心?を持つ米海兵隊の大ファン。特に朝鮮戦争オタク。みたいな設定じゃないとこんなよう分からんパッチなんてつけないでしょ、普通。

だけど、こういう考え方もできると思うんです。
それは、

仮説1


「所有者は当時、朝鮮戦争に参加し、USMCの兵士として、A2フライトジャケットを所有していた。しかし、あるきっかけでそのジャケットを失くしてしまい、仕方なくレプリカのA2と、当時朝鮮戦争の際にもらったパッチを付け合わせた」とする説

もしくは、

仮説2

「父親が朝鮮戦争で亡くなってしまい、その父親の家族が父親の形見として当時販売されていたレプリカのA2フライトジャケットと父親の形見のパッチを縫い付け、父親を弔った」とする説。

1980年代のレプリカの場合は、朝鮮戦争から30年経っているので、兵役をしていた人は50-60歳くらいだとおもわれます。


【歴史の一部になれる魅力】

ここからは二つ目の魅力です。

私は個人的には、上記二つの仮説のいずれかだろうと考えています。

ただ、このジャケットの所有者は少なくとも朝鮮戦争に関わって、私たちが体験したこともないような悲しみや苦しみを味わったのは事実でしょう。

そうでなければ。

そうでなければ、こんな服ごときに思い入れのあるものを付け加えるはずがない。

それはやはり、服としての用途だけでなく、所有者もしくはその家族の人生の記憶の一部として、この服を大切にしたいという思い入れから付け加えられた貴重なものだと思うんです。

そんな背景があるであろうものを、Scovillジップ=80年=偽物 というのは、私は間違っていると思うのです。限りなく、この服には、

「服という枠を超えた人々の生きた証」

そんな強い意志が感じられるものです。


そして、こんなに大事にされたであろうジャケットを、自身の肌と触れ合わせるなんてとても尊いことだと思うんです。

当時の所有者の人生をそのまま体感し、想いを引き継ぐに等しいことだと思います。

それは、絶対に新品の服を着るのとでは味わうことの出来ない体験だと思います。
このジャケットを買ってくれた人には、そのような前の所有者の想いも一緒に感じて大切にして貰えば良いなと思っております。

結論

ここまで妄想すると、本物かどうかなんてどうでも良くなってくるんですよね。

むしろ、本物だと言ってしまうことが、偽物だと言ってしまうことが、この服の価値を下げてしまうことにつながるのではないかと思うんです。

だから、このジャケットを購入してくれた人には上記の推測をした上で、「私から本物かどうかは断言しない。断言してしまったら、この服の魅力が落ちてしまうから。」と説明し、購入してもらいました。

これって普通の古着屋さんだったら多分信じられないですよね。

でも、この服に限っていうと、そもそも本物ってなんだろうって感じるんですよね。少なくとも、この服には、何かのドラマのようなものが感じられます。その人々の感情、生きた証は決して偽物ではないはずです。

歴史を感じられるのが本物のVintageというならば、限りなくこのジャケットだって本物でしょう。


最後に

今文字数を確認したら、6500文字位いってましたー笑
いやー、めっちゃ書いた。

私は先にも書いた通り、実はあんまり服とか興味なくて。。。
だから、いつもVinatge好きとか、服好きに対していろいろ疑問に思うことがあるんですよね。そういう意味で、ファッションに興味ない視点から見たVintageの魅力を書いてみました。厳密にいうと、ただの服には興味がないと言った方がいいですかね。コンテキストのある服は大好きですよ!!笑

では、また皆様に読んでいただけるような面白い文章を書きますので、よろしくお願いいたします。次はFFAでも書こうかな。

最後に、よろしければ、インスタグラムをフォローしていただければ励みになります。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!!

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