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鉄筋工事について

富山市新築現場の鉄筋工事の様子です。
今回ご覧の通り住宅ではまずあり得ない程の配筋です。


実務者が見たら誰しもが瞬間的にこれ何が建つの?
何階建て?と思ってしまいますよね?
北陸の住宅でこんな配筋はここのお宅とわたしの自邸ぐらいです。
自邸は出来る事で最善尽くす為にやっています。

昨今情報がありすぎて何を信じれば良いのかわからなくなる住宅迷子の状態に誰しもがなると思います。
では信頼して依頼をしてくれたお客様に元請けや設計者はプロとして何を伝えなければいけないか?
僕は思いました。
実は、富山県(150cm多雪地域)における耐震等級は2で十分ではないのか
まず誤解の無いよう、これまでも耐震等級3の家を設計・施工してきましたし、これからも「ご要望に応じ」耐震等級3の家を設計・施工していきますことを記しておきます。そこで、富山県(150cm多雪地域)における耐震等級について考えてみたいと思います。

建築基準法で定められた最低の基準である耐震等級.1は、
また、建物の形態に左右されない平屋建て+軽い屋根の壁量規定の係数を使って比較してみたところ
※壁量規定とは、表1の係数を床面積に乗じて簡易的に耐力壁の必要長さを確かめる方法で、数値が高いほど耐震性能が高くなります。


表1:
                等級.1(基準法)   等級.2  等級.3
一般地域                  11                     18          22
多雪地域・100cm            ―                     34          41
多雪地域・150cm            ―                     42         50.5


表1から、等級.1では積雪量に関係なく係数は11です。等級.2では18で、1.6倍、等級.3では22で、2.0倍の耐力壁が必要となります。


富山県の最深積雪量の設定は標高200m以下で150cm (30N/cm)ですので、1平方メートル当たりに450kgの重量を屋根に加えたものとして計算されます。20坪の屋根で30トンが加算されます。
20坪で30トンですよ😳

屋根が重いと重心が高くなって地震時の揺れが増幅されるため、等級.2でも係数が42となり等級.1の3.8倍、通常の等級.3の1.9倍でほぼ2倍の耐力壁が必要となります。
こここらわかる事は100cm地域の等級.3と同等となっていることなんです。
繰り返しますが、100センチ地域の等級3と同じ!!!

それから富山県の過去の最深積雪量は近年で目立つのは平成24年の95cm、平成30年の84cmでしょうか。150㎝の積雪は昭和56年までさかのぼります。もちろん行政としては想定外は許されず150cmの設定は理解できます。
僕が小学生の時に経験した56豪雪の時だけ150超えたことはあったんだと調べてわかりました。

ただ等級2の場合で考えても、40年前と同じ150㎝の積雪があったタイミングで、同時に震度7クラスの1.25倍の地震が起こることを想定し、常時、等級.1の3.8倍もの鎧を身に付けている事もよくよく調べてるとリアリティが湧いてきます。

これまでずっと等級の「3」と言う数字を意識してきましたが、一般地域と比べ、あまりにもイニシャルコスト、設計の自由度などに差があり過ぎます。富山県における等級3の選択は、等級.1の4.6倍にもなりオーバースペックと言えるのではないしょうか。
繰り返しますが等級1の4.6倍です😟
昨今はやたらと不安を煽りお客さんを得ようとするプロの方をSNSなどで頻繁に見受けます。
もちろん、絶対にそのような状況にならないとは言い切れませんし、最終判断は建築主の選択によりますが富山県では等級2の選択で十分ではないでしょうか?
等級2でも通常の等級3のさらに、ほぼ2倍もの耐震性能があり、100cm地域の耐震等級3とは同等なのです。


ここを説明せずに、一律に耐震等級3を押し付けたり不安を煽るプロは教祖様のような組織の手先では?と思ってしまいます。
でも、全て今の仕様でこれからも仕事をする事は施工者として安心ではあります。
だからこれからも
いくつもの条件をクリアする事に最善尽くします。


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