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聖夜に贈るブレスレット

【旅する飾り屋の話 ―聖夜の贈り物―】

ある日、飾り屋と相棒のトランクの元に注文の手紙が届いた。


【飾り屋様
聖夜にぴったりな飾りをお願いします。前夜に取りに伺います。
                   ***見習いより】


前日の雨のせいだろうか手紙の一部は滲んで読めなくなっていた。
でも名も知らぬお客の為に飾り屋は聖夜にぴったりな深い紅と緑のビーズと雪のような白いビーズ、
そして雪の結晶やベルのパーツを合わせてブレスレットを作り出した。

そして聖夜の前日、日も暮れ始めたころ白いシャツに紅いズボンをはいた青年が慌てて飾り屋たちを訪ねてきた。
「遅くなってすみません!お願いした飾りはできていますか?」
飾り屋は青年に作ったブレスレットを見せたところ青年はとても喜んでいるようだった。
その時外から大きな動物の鳴き声が聞こえてきた。
「ああっ!もうそんな時間なのか!ごめん!今行くから!!」
その声を聞いた青年は慌てた様子でそう答えた。
「飾り屋さん、この度はありがとうございました!では!」
そういって青年は飛び出してしまった。
『……あのあわてんぼうのお兄さん、結局何の見習いだったのかなあ?』
トランクが呟いたその瞬間、2階の飾り屋達の部屋の窓を何か大きなものが通り過ぎた。
驚いた飾り屋が窓を開けて外を見ると雪の積もった窓辺に赤いリボンで結ばれた小さな袋が置いてあった。

「メリークリスマス!また来年もお願いしますね!」
ふとそんな青年の声と鈴の音が飾り屋達は聞こえた気がした。

そんな旅する飾り屋とトランクのお話。


minne


Creema


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