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二月の散歩

散歩道に溶け込んでいきそうだった

何を幸せとするのか

歩きながら考える
私は見つけたような
隠れたような
気持ちを騙しながら

やらなければいけないことなどなければ
この時間が最も幸せだと言えるのではないかと
考えているうちは幸せそのものだ


そしてぞっとした

遠い昔に置いてきた私の癖を
思い出した

この景色の中にはまりこみ
ずっと虚空だったどこかが
埋まってしまった

思い出す

退化していく
そして完成していく

本来の姿

不思議そうな顔をして
立っている少女を迎えにいく

満足そうでも不服そうでもない表情で
当然のように溶け込む


散歩道は見知った様子になってきた
よそよそしさは
ほころぶ二月にほだされて
まるで長い間眠っていたような
頓珍漢な顔をして挨拶をする


思い出してくれたかしら

知っていたよ

だけど眠っていたんでしょう?

眠りの中で君がくすぐっていくのを知っていた

ならどうして初めて会ったような顔をするの?

なぜなら僕は一度終わっているから

また始まったの?

始まった
生まれた
繰り返しの中で
ずっと昔から君を知っている
そしてまた春がやってくることを

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