Ibuki

頭の中の、何でもない、書きとめていたことを書いていきます。

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最近の記事

本棚が欲しい

本棚は、自分の脳内 それも妄想部分を具現化している。 植物に囲まれて育ったから 梨木さんに惹かれるのか 梨木さんが好きだから 植物への興味が湧くのか。 どちらも正解であり、相乗効果で 枝分かれしながら新たな本を求めている。 辿り着いたのは牧野富太郎の「なぜ花は匂うか」。 今読んでいる物を終えたら次はこれと決めている。 いつかについに手を出した村上春樹作品は 「海辺のカフカ」。 どうしても主人公に苛立つのに 先が気になって止まらない感覚は 小学生の頃に読んだ「ダレン・シャン

    • 海辺に。

      春に、江ノ島に行った 初上陸 江ノ電があんなに小さなものだとは知らなかった 日当たりの良い 家々の隙間を縫っていく四両(時々二両)編成の電車 海に囲まれたあたたかい江ノ島にいると 心もからだも解け 泡ぶくと一緒に小さくはじけていくのが分かった 七里ヶ浜では海を片手にカフェでブレイク 陽も傾いていて、いわゆるサンセット テラスで海風に煽られている人をぼーっと眺めた それから宿へ 長谷駅から海沿いに少し行った所 hotel aiaoi 柔らかく、優しく、素朴で、 そして微

      • 三月の散歩

        雨水か下水かが流れる水道。 高さがあるので雨の日には 壁から水が勢いよく流れ出しているのを見る。 このおどろおどろしい水道の側に生えている椿は こんなに大きかったのか。 春になり 花がついているのを認めて 初めてそれ全体が椿であると知った。 風が柔らかくなったと思ったら そこに人の家の香りが混じっていた。 誰かが前を歩いていたのかと 先の方へ目をやるが 誰もいない。 やがてすぐに濡れた布と柔軟剤の香りを臭覚し そこらの家の洗濯物かと納得する。 しかしそれらしいものは見えない

        • 二月の散歩

          散歩道に溶け込んでいきそうだった 何を幸せとするのか 歩きながら考える 私は見つけたような 隠れたような 気持ちを騙しながら やらなければいけないことなどなければ この時間が最も幸せだと言えるのではないかと 考えているうちは幸せそのものだ そしてぞっとした 遠い昔に置いてきた私の癖を 思い出した この景色の中にはまりこみ ずっと虚空だったどこかが 埋まってしまった 思い出す 退化していく そして完成していく 本来の姿 不思議そうな顔をして 立っている少女を

        本棚が欲しい

          失われる自然

          失われる自然 歴史的建造物 それを守ろうとすることは しかし それを作った者たちが 望んでいることなのだろうか むしろ我々が今暮らしている この街中に溢れているビルやなんかが 長い歳月をかけ、朽ちていっても それらを残しておいてほしいとは 到底思えない これは私がこの建物たちは その歴史的遺産や自然の上にあるものだから 恨めしいと思っているのか 単純に外見が美しいと思えないからなのか はたまたこの建物が意味のあるものに思えないのか 結局は後者にすべてが集約されるのかも

          失われる自然

          夜景の向こう側

          夜景は綺麗だ だけど自らすすんで観に行くことはない なんとなくそういう流れになって 友達や恋人と眺めては 思ったよりも綺麗だなあと感嘆する それと同時に寂しくもなる 暖かい光は人間のいる証で 世界にはこれ程の、これ以上の人が暮らしていて 私もその一部であり ひとつであり 一人ではないのだと確信することができる その光の先にあるものは 人間だけ この光は どれほどの山を 自然を 犠牲にしてできたものだろう 美しい自然の代わりにそこに在る 美しい光は 心から美しいと思える

          夜景の向こう側

          冬の散歩

          ここのところ急激に冬になった 夏には夏の香りが、秋には秋のそれが あるように 冬にも鼻にツンとつく 湿った香りがする これは私の記憶が湿気を帯びているのか 何故なのかは分からない 乾燥した空気の中に 今にも結露がこぼれ落ちそうになっている 青みがかった外を見ていると どこかで火の気が漂ってくる 春は山と打ち解けていたつもりでいた 夏は人懐こく 秋は引っ込み思案のシャイであったが その分奥ゆかしさがあった 冬はどうだ もう見知らぬもののように 素っ気なくなってしまっていた

          冬の散歩

          記憶

          ついこの間まで確実にあったもの それを見つけられなかった 何度も見返したが その時を思い出し その時の自分になりきって 探すが 完全に無くなっていた時 私が確実だと思っていたものは いつの間にか自分が作り出した 虚像にすぎなかったのかと疑いだす 記憶とはそれほどに曖昧なのか 確証付けるものが無くなった途端 それが間違いである可能性を生み出す

          自然

          散歩はインスピレーションの源になっていた 特に、自然の多いところを歩くのがいい 都会を否定するわけではないが、 どちらが良いかとたずねられたら 確実に田舎を選ぶだろう 憧れの念はない 自分よりも背の高い草花に 囲まれたことがあるだろうか? 秩序を守って植えられている木ではなく 絡み合うそれらを見たことがあるだろうか 無秩序なように見えて 調和している自然を 人懐っこい雰囲気 少しずつ会話できるようになってきただろうか 寂しげな影を落とす時もあるが やはり優しい 人

          秋の散歩

          秋の風に 私の思考がさらわれて 舞い上がる この風の中で 嘘はつけない 秋の 爽やかな風にさらわれて 少しずつ浮かび上がる 私の心 混ぜられて こぼれ落ちて すくい上げられ 砂漠の中から見つかったカケラ

          秋の散歩

          はっぴいえんどの 風街ロマンのレコードを かけながら 松本隆の本を鑑賞(?) もちろん紅茶も用意して 木漏れ日という言葉はあるけれど 朝のカーテンの隙間から漏れ入る光は 何という名前なのだろう

          『村田エフェンディ滞土録』を読んで

          ああ。私はとても悲しい。 国ってなに。戦争って。国なんて。 友だった。 宗教や信じる神は違うけれども、 ひとりの人間として、みんな、友だった。 国のせいじゃない、宗教のせいじゃない そんなものではない、何かが、 どうしてもそういったものの形をとって 争いをうむ。 どうか、違いを受け入れて。 梨木さんのずっとあるメッセージ。 そうやって、幾度も争いが起こり、 滅亡し、 勝者が残ってきた。 その跡が残る。 そこから人間を感じる。 そう、昔も、今も、同じ。 人間が暮らしていた。 生

          『村田エフェンディ滞土録』を読んで

          同じ道を約半年にわたって歩いていると 分かってくることがある 季節はもちろんだが 時間によって道の様子が変わる いつも夕方に歩く 夕陽が地を照らし あたたかな空気が広がる 静かで穏やかな 秋の雰囲気 一度、朝に歩いたことがある 夕方の薄明かりの陽の光では 見えなかったものが 見えてくる 虹色にひかる雲の巣 こんなにも頭上に広がっていた もう少しでかかるような低さに あるのに、気がつかなかった 朝はのんびりしていると思っていたが 植物は生き生きしているように見える

          『りかさん』を読んで

          またまた梨木香歩さんの『りかさん』を読んで。 その都度人格が違う文章ですが。 この世界観。この言葉遣い。 この怖さと終始ある暖かさ。 アビゲイルのところ、電車の中だったから、うるうるで止めたけど、というか泣いた。 悲しいすぎる。 色んな思いが、ストーリーがある。 だけどそれを、人形も人間も、 いつまでもとらわれちゃいけない。 許すということ。 かわいいって、思うこと。 心から相手に近づいてみようとすること。 ミケルの庭は、怖かった。 きくさんの中にあってしまう悪いもの。

          『りかさん』を読んで

          『からくりからくさ』を読んで

          前回に続いて、なぐり書き(打ち?)の感想。 梨木香歩さんの『からくりからくさ』を読んで。 なんといったらいいのだろう。 生とは。文化とは。伝統とは。 ずっと続いていた、そこだけで受け継がれていた、 他は知らなくとも、そういったものがあって。 それを大切にしてアイデンティティで。 だけどそれは時代とともに移り変わってしまう。 そうなるべくしてそうなる。 移り変わるもの。生とは。 全ては変わるようにできている。 憎しみも愛しさも表裏一体なもの。 それをどうするかによって。どちら

          『からくりからくさ』を読んで

          『裏庭』を読んで

          梨木香歩さんの『裏庭』を読んで その傷があるから、その人がある 誰もが見えないところに持っている みな見えないようにして蓋をしているが 傷を恐れてはいけない 傷を育んでいく 子供の時の本当の自分、あなた その名前 あれもこれも、全て真実 自分は被害者でもあり加害者でもある いつだって自分にも事実がある 周りがどうか、ではない そこにも真実があり 大切なのは、自分がどうするか その傷はその人の産物だ 仕事、それはその人を生きるということ ただ私たちは自分を生きる それが私たち

          『裏庭』を読んで