冬の散歩

ここのところ急激に冬になった
夏には夏の香りが、秋には秋のそれが
あるように
冬にも鼻にツンとつく
湿った香りがする
これは私の記憶が湿気を帯びているのか
何故なのかは分からない

乾燥した空気の中に
今にも結露がこぼれ落ちそうになっている
青みがかった外を見ていると
どこかで火の気が漂ってくる

春は山と打ち解けていたつもりでいた
夏は人懐こく
秋は引っ込み思案のシャイであったが
その分奥ゆかしさがあった
冬はどうだ
もう見知らぬもののように
素っ気なくなってしまっていた
私があまり歩かずにいたせいか
それともただの
ウォーキングロードと化していたからか
呼びかけても応答しない
私を寂しくさせたいのか
初めて歩いたような感覚に戸惑いながら
乾いた道を行く

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