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【映観】『ミッション・ワイルド(2014)』+1

トミー・リー・ジョーンズといったら「MIB」ヒットと共に、缶コーヒーBOSSの宇宙人ジョーンズというぐらい国内では有名であろうが、こういった作品はどうでしょ?
2本続けて観ると、なお高揚するよ。

『ミッション・ワイルド』(The Homesman)2014年
監督・主演: トミー・リー・ジョーンズ
出演: ヒラリー・スワンク、ジェームズ・スペイダー、メリル・ストリープ

19世紀、西部開拓時代。
いわゆる西部劇といったジャンルであるがイメージするドンパチではなくダーク色。
ヒラリー・スワンク演じるメアリー・ビー・カディの私生活から始まる。
開拓地ネブラスカ、極めて簡素な暮らし、独身女性30代、メアリービーは牧師から気が狂れた3人の女性をアイオワの教会まで連れて行く役目を担う。
それぞれ3名の狂った要因は様々であるが、断片的にしか窺い知ることはできない。
木に吊るされていたブリッグスという悪党(T.L.ジョーンズ)を救い、旅の同行者とする。
馬2頭(1匹はブリッグスの馬)2匹のロバ、カゴ車に3人を乗せ、険しい旅が始まる。
僕らが考えているような旅ではない、焚き火を囲み、野外でごろ寝するような旅だ。
しかも連れている3名は気狂い、ロープで縛っていても逃げ出そうとしたり奇声を発したりと自身の状況を顧みない。
インディアンは夜盗となり、南北戦争の残党も彷徨く、次第に冷静だったメアリービーも壊れていく。
ブリッグスは虚勢だけに見えたが彼女たちを護り旅を続けていく。(お礼に支払われる代金を口実にしては)
そんなある種、硬派で素っ気ない男を演ずるT.L.ジョーンズが、格好いいのだ。
もうすぐ80歳に届きそうな実年齢でワイルドに立ち回る姿に、惚れ惚れとしてしまう。
そしてこの時代まだ西部は未開の地、その旅の過酷さは便利さに慣れてしまった我々の感覚を超える。
一歩間違えれば死しかないのだから。
善悪の境界もない自由(神の教えという倫理はあるが)法律やお金という概念も一律ではなく、弱肉強食が通用するガン・フロンティア、失われてしまった時代の物語です。

『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』(The Comeback Trail)2020年
監督: ジョージ・ギャロ
出演: ロバート・デ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズ、モーガン・フリーマン、ザック・ブラフ、エミール・ハーシュ

さて口直しです。
これね、先の映画の延長戦で見たらもっと効いてくる。
T.L.ジョーンズが立ち回る西部劇(こちらはドンパチ)を撮影する映画の舞台裏コメディ。
といっても、彼は大真面目に演じていてそれが可笑しさを助長する。
「M.I.B」でもそうだが笑わせようとせず、几帳面に演じることで笑いが生まれる。
この映画での肝はデニーロ先生、映画プロデューサー役として大盤振る舞い、いつもの過剰さに輪をかけて大げさ!
(いつもより多めに回しておりますby.染之助・染太郎)
何度も腹を抱えて笑った。

主演俳優を撮影中に殺し保険金をせしめようっていう話。
映画好きのギャングにはモーガン・フリーマン(出資者)、まぁデニーロとのすっとぼけた遣り取りも可笑しい。
スター俳優3人を配し、さまざまな小さな技巧も効いていてとても良い具合。
この3人、80歳オーバー、まだまだイケるねきっと。

最後のテロップでデニーロ先生の配給した映画「尼さんは殺し屋」トレーラー映像が流れ、少し見たくなってしまうオマケ付き。
Enjoy!


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