『ロセッティ作品集』南條竹則・松村伸一 編訳

ラファエル前派の画家D.G.ロセッティ(1828―1882)は詩人でもあった。本書は有名なソネット集『生の家』所収の佳篇や、「手と魂」等の短篇小説、「閃光」等の抒情詩、「天つ乙女」「エデンの園」等の長詩から成る〈詩人ロセッティ〉のアンソロジーである。その詩は妖しい官能性や神秘性を漂わせ、時に晦渋な瞑想さえ展開する。

ロセッティといえばロマンティックな美人画のイメージですが、文筆活動においても非常に幻想的で唯美的な表現、同じ人物なのだから当たり前ですね。

しかし、優れた画家が優れた文章家であることはそう当たり前でもないと思うけれど、ロセッティは天から二物を与えられたようで、この作品集に収められた小説は素晴らしい。

どれも短いし1つは未完だけれども、優れた幻想小説として、十分に魅せる。

詩はなかなか難しくて、聖書や古典に材を取った長編詩などはなかなか歯が立たない。ソネットが中では一番楽しめた。詩とテーマやモチーフを同じくするロセッティの絵画も挿絵として収められていて、絵と詩のコラボレーションも嬉しい。

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