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一位の人は分からなくてもいい話


「一位には分からなくてもいい曲」という、これ以上ないコメントがあったので勢いで書き始めた。

持久走は苦手だった。ピストルが鳴ったら全力疾走。ほんの10秒ぐらいだけ1位になり、あとはどんどん抜かされてあっという間に最下位。
ペース配分という概念をみんなどこで知ったのだろう。何故私だけ知らなかったのだろう。何故私だけ思い至らなかったのだろう。

蝶結びができるようになったのは小学3年生。
鉄棒の前回りができるようになったのは小学6年生。
車を運転できるようになったのは30歳。

小学5年生の夏休みはプール教室に行った。最終日には私以外の全員がクロールができるようになった。
あの子がその子に話しかけているノリで私もその子に話しかける。その子は少し困った顔で私を見る。

私が説明できなかった仕事内容を後輩が説明する。
会議の報告書を作成する。相手方の機微の解釈が真逆だったらしい。

31歳のとき、まともな味付けと分量の食事を作れなくて体調を崩した。

映画もドラマも、人の顔の見分けも付かなければ状況把握もできなくて疲弊するから観ない。
誰もが知っている名作で、あなたが今思い浮かべたであろう作品も観たことがない。

私はあとどれだけ頑張ればいいのだろうと叫んだことがない人だって、世の中には存在するというのに。

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