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【東京池袋タイムズスパレスタ】サウナ戦記〜森の中で叫ぶ〜

東京都豊島区。
シンガーソングライター山下達郎、おぎやはぎ矢作兼、嵐の松本潤を生んだ街、池袋。

そして、池袋ウエストゲートパーク、通称I.W.G.Pというテレビドラマの舞台になったのもこの場所。

ご存知ない方のために簡単なストーリーを紹介すると、長瀬智也扮するマコトは、地元では有名な元不良であり、今は、実家の果物屋を手伝うフリーター。
不器用だが真面目で熱い彼の元には様々な面倒ごとが持ち込まれる。
口癖は「めんどくせぇ」。
そうは言いつつも、正義漢な一面もあるマコトは、結局騒動に巻き込まれていくことになるのである。

そして、窪塚洋介演じる通称キングは、カラーギャングG-BOYSの頭。黄色がチームカラーで、キングの髪も金髪。

G-BOYSと抗争しているのが黒をチームカラーにしたBlackAngels。

細かいあらすじは割愛するが、すったもんだがあり、最終回この抗争の仲裁にマコトが入る。

この最後が好きなシーン。

以下IWGPマニアさんのサイト参照
※ネタバレ含む

http://iwgp.no-mania.com/Page/4/

マコト「俺が地面に両手つけたら始めていい。殴るなり刺すなり殺すなり好きにしろ。その代わり俺が地面に手ぇつくまでてめえら黙って見てろ!!!!」
「気持ちいいーーー!マジ気持ちいい、ほら殴れよ」
「おい...なんでやめんだよ...全然痛くねーぞ。意味ねえ暴力なんか全然痛くもかゆくもねーんだよ!!!!」
「手のひらっつっただろ!まだだ!!」
「まだ片手しかついてねーよ!!」
「なぁタカシ...俺はオメーのことキングだなんて思ってねぇよ......これから死んでもキングだなんて呼ばねーよ!....オメーはサウナのタカシじゃねーのかよ!!!小さいころから同じパン食ってたタカシじゃねーのかよ!!!」
「ブクロにキングなんていらねーーーんだよーーーー!!!」
「ブクロ最高!!!」

キング「ハーイ...これが最後のキング命令。本日をもって、G-BOYSは解散します!」

マコトは非暴力で暴力を制して、エンディングを迎えるのである。てか、キングの実家はサウナやってたんだな。

アメリカのストリートギャング文化は、暴走族にファッション性を加えたが、見る限り今の池袋にはカラーギャングのカの字もない。

いるのは東京リベンジャーズの特攻服を着て、コスプレをしている若者たちだ。

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IWGPは西口、私の行き先は東口。

池袋はアニメ文化の聖地でもあり、サンシャイン通りを抜けた先には、まんだらけや、アニメイトなどがある。このあたりは、乙女ロードなどとも呼ばれている。

聖地らしくサンシャインシティの隣の公園では、コスプレイヤーたちの撮影会が行われていた。

そんな東京リベンジャーズ、東京卍會の抗争を横目に横断歩道を渡ると大きな看板が飛び込んで来た。

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ここが僕のオジロードだ。

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11階のフロントまでエレベーターを暴走させる。

ホテルのような受付で、ラグジュアリーな雰囲気。そして、お値段も当然ラグジュアリー。
土日祝は一般料金3000円を越える。

様々なサウナグッズがおしゃれに展示されており、さながらフィンランドの森のよう。
(尚、フィンランドには行ったことがないもよう。)

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サウナに住む妖精と言われるトントゥの姿も見ることができた。都会の抗争とは無縁の場所である。

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ムーミン谷の一員もいて、僕の心はすっかり北欧にトリップした。

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僕はスナフキンに憧れている。
リュック一つで捉われない生き方をしているからだ。

「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ」――スナフキン『ムーミン谷の夏まつり』(1954年)より

なんとも示唆的な言葉である。
日々の日常で、自分のしたいことや自分らしさを抑えることが習慣になってしまうと、自分というものがわからなくなってしまうことがある。

サウナはそういった、日々の凝り固まりを一度リセットし、本来の自分に再会する場所でもあるのだ。

スナフキンは冬が来ると南へ行き、春までムーミン谷に戻らない。

それでは、僕もこの先の廊下を抜け、春まで谷には戻らないことにしよう...


テクテクテク...


脱衣所は、縦長のロッカー。

僕はこの細長いタイプのロッカーが好きだ。
正方形のタイプはどうしても荷物を丸めて押し込めることになるからだ。
せめてサウナの入口から出口までは穏やかなる時を過ごしたいものである。

日焼けマシンを越え、いざ本丸へ。

浴室の引き戸を開けると、これぞ都心のスパといった洗練された空間が広がる。

グレーや白を基調とした、天井と床。
外からの光と間接照明が安らぎを演出している。

早速洗い場で身を清め、サウナの入り口を見ると、長蛇の列が出来ていた。
サウナ室があまり広くないのだろうか。

少し心配になりながら、一度身体を暖める先を探す。
お風呂は、ジャグジーが立つタイプと寝るタイプで二つあり、加えて湯温が低めの日替わりの湯と水風呂といった構成。

僕は初めて訪れたサウナでは慎重にことを進めるようにしている。ローカルルールなどもあったりするので、何事も落ち着いてゆっくり慌てない。早い男はダメだ。

サウナに並んでいる理由を見極めるために、
僕は、立ちジャグジーに入りことの成り行きを見守る。

ボコボコされながら、サウナ室を見ていると横にかかっている看板に気づいた。
15時30分からアウフグースと書いてある。

慌てて壁の時計に目をやると15時15分。
なんてことだ!!

完全に出遅れた!!

しかも、定期開催の場合先々のスケジュールまで書いてあることが多いのだが、1つしか記載がないということは、15時30分ただ一回ということか!?

バッキャロー!!

僕は、気がつくと立ちジャグジーを飛び出し、列の最後尾に並んでいた。
遅い男はダメだ。

残り15分...
喉がゴクリとなる。

サウナの平均滞在時間は6分から12分。
15分の中で、少しずつ人が出ては入っていく。


並びながらも状況把握は怠らない。
サウナのすぐ左手に給水器、右手に水風呂、良い導線だ。
気になったのは、水風呂の手前にある窪み。

そのスペースを覗き込むと、洋風の木の桶が天井から吊り下げられており、鉄のリングが連なった紐を引くと、桶がひっくり返り水がザバッと浴びれる仕様になっている。

なるほど、これが水風呂に入る前のかけ湯替わりか。一つ一つに細かいこだわりを感じる。

サウナに目を戻すと思っていたよりもイベント直前の人の出入りがあり、なんと次は僕の番だ。
時計は15時29分を指していた。

シュッと身を細めるようにサウナに入り、ストーブ前の最下段、1カ所だけ空いている場所に陣を取る。
と同時に熱波師の方が入ってきた。

なんたる暁光!!

年の初めからおみくじで凶を引いた人間とは思えない豪運を呼び込み、僕はサウナの隅で喜びに打ち震えていた。

アウフグースイベントあるあるなのだが、あまりに早めに入り過ぎると、身体がほてってしまい、熱波を受けるタイミングと合わず、早々に退出せざるを得ないことがままある。

そういったタイムマネジメントも重要な要素であり、今日の僕はその「時」を制したわけだ。

「ミスタータイムズスパレスタ」といっても過言ではない。

その上、途中入室は不可とのこと。
最後の1席を最高のタイミングで手にしたのである。

そんなオジの喜びをよそにイベントは粛々と進んでいく。

「それではウィンドチャイムアウフグースを始めます」

流石アニメの聖地池袋。
いきなりの厨二病的必殺技を繰り出してきた。

ウィンドチャイムアウフグース?

今まで数々の熱波を受けてきたが、聞いたこともない。
さては、意識高い系の横文字連発で僕を煙に巻く気だな、そうはいかないぞと立ちあがろうと思った瞬間、ファサッと上方に向かってタオルが仰がれた。

??

どこに向かって?

という疑問を溶かすような、優しい音色が頭の上からゆっくり降って来た。

見上げると、天井から何かがぶら下がっている。

細長いシルバーの筒がふらふらと何本もくくりつけられていて、それらが風によって揺れることで、柔らかく静かな音を生んでいるのだ。

風鈴のようなものか...

僕は、イキリたった心を沈め、ようやくウィンドチャイムアウフグースを理解した。

そして、しゃべるタイプの熱波もあるのだが、レスタは沈黙を尊ぶようだ。

僕もその沈黙に合わせ目を閉じる。

ファサッ、ファラーンリンロンリロロン...

ファサッ、ファーーンランリロロン...

ファサッ、リーーーンロンリンロン


僕はいつの間にか、木漏れ日が優しく降り注ぐ森の中にいた...

何度目かのファサが終わった後、スタッフの方はひっそりと部屋を出て行く。


僕も森から帰ってきた。

静かに席を立ち、先程確認した窪みのスペースで桶をひっくり返す。
ザバッという音とともに全てを流す。

水風呂へ。

脇にはフレークアイスという細やかな氷の粒が器に入っていて、それを頭に乗せるのがレスタ流。

諸事情により頭皮に直接ではなく、タオルの上からにはなったが、僕も頭に氷を乗せた。

ひんやり。

さて、冬は室内の休憩所を好むのだが、残念ながら空いていなかったため、足を外へと向ける。

引き戸を開けると、白い湯のホワイトイオンバスが中央に、端には釜風呂と椅子がある。

僕はタオルを被り椅子に腰をかけ、足を伸ばす。


ファラーン...

頭の中でチャイムが鳴り、時が止まる...


ふぅ。

目を開ける。

露天スペースの壁には、大きめのモニターがかかっていて、なぜかベストキッドが流れている。

早々にジャッキーチェンに別れを告げ、給水後2セット目のサウナへ。

今度は上段に腰をおろす。
先程は、ウィンドチャイムに集中し過ぎて気がつかなかったが、ストーブの横には白樺の木が立てかけられており、ストーブ上方にはヴィヒタがぶら下がっている。まさに森だ。

程なくして、そのヴィヒタのある場所からシューッと音が鳴りアロマ水が噴射されストーブに吹きつけられた。

ジュウっという音と熱気が部屋に充満し、体感温度が一気に上がる。

オートロウリュまでついているとは抜かりがない。そして、またもやこのタイミングの良さである。

森のささやきに感謝し、瞑想...








お陰様できっちりと暖まり、水風呂、ゆきんこ、休憩へ。

やはり室内は休憩場が空いていなく、仕方なく洗い場の横にある、背もたれのない白い小さな椅子に座った。

そこで一息つこうと思った途端、すぐそばの寝転がりタイプのチェアーが空いたのでトリプルトーループをかまして見事着地。

このチェアー腰の部分に絶妙な窪みがあるぞ。

あ〜、これよこれ...
天を仰ぐ...







しばしの静寂を楽しみ、ラストサウナへ。

再度上段へ構える。
温度計は83度を指しているが、程よい湿気のせいかぬるくは感じない。いやむしろ熱い。

すると、またしてもオートロウリュが一閃!!

おいおい、さっき入ってからそこまで時間たっていないのに、また!?

今まで行ったサウナでは最短でも1時間以上は空くことが経験上多かったので、短い間隔でのオートロウリュには驚いた。

またとない、森の恵みを全身で受け止める。

ここは、テレビも点いておらず、照明も暗くて良い。

今ここにいる自分を感じる...







さぁ、行こう。

水風呂とゆきんこを終え、最後は日替わり湯の奥にある、室内の椅子に座ることができた。

足を眺めると、毛細血管が拡張することで現れる、赤いまだら模様、通称「あまみ」が出ていた。

上級クラスの気持ちよさが訪れる時にはこのあまみが出現することが多い。

15時29分の奇跡。

ウィンドチャイムアウフグース。

ジャッキーチェン。

2度のオートロウリュ。

ゆきんこからのあまみ。

僕は思わず森の中で叫んだ。


「ブクロ最高!!」

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