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つらみとなめたかれい

自粛生活で自由に移動ができない昨今。
私にとっての楽しみは、駅ビルの生鮮食品売り場で
新鮮な野菜や肉や魚を買うことである。

品揃えの良いその店では、珍しい食材も売っている。

まずは、肉コーナー。
品揃え豊富で、鳥、豚、牛に加え、羊やモツなども売っている。
そのため、探しているもの以外のものについても、商品を眺めて回る。

そこで見つけたのが、牛ほほ肉。
だが、牛ほほ肉の後にはかっこで(つらみ)と書いてある。
なんだか異様なひらがなを呆然と眺める。

何かが辛くて、あぁつらみとつぶやいているのだろうか。
よく煮込んで、口の中でとろける、ザ幸福な味の牛ほほ肉に
そんなマイナスなイメージがあるだろうか。

うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、ひがみとある歌が頭の中を巡り、
マイナスな感情が頭を巡り、なんだか自分自身が辛くなってしまう。
深いため息をつき、その場を立ち去る。

後で調べると、面(つら)の肉だから面身だそう。
ひらがなと漢字は、全く印象が異なるから不思議。

さて、次はお魚コーナー。

鮮魚が山盛りになったディスプレイ。
魚・魚・魚(ぎょ・ぎょ・ぎょ)。

あんこうや魚のあらから刺身まで
こちらもありとあらゆるものが売っていて、見ていて飽きない。
魚を見ながら、色々な選択肢を想像して、幸せな気分になる。

そこで目についたのが、「なめたかれい」である。
かれいという名前になめたという形容詞がついている。

この魚は一体何をなめてしまったのか、態度がなめ腐っていたのか。
なんだか不良の匂いがする。
いや、それとも物理的に何かを舐めてしまったのだろうか。
いずれにしてもなんだか曰く付きのかれいである。
ただのかれいではない。
こちらも何だか釈然としない気分でその場を立ち去る。

こちらも調べてみると、「滑多」滑りが多いことが語源らしいが、
ひらがなで書いてしまうと、何だか問題児感がでてしまうから不思議。
高級魚なのに、ひらがなで書いてしまうと、不良品感がでてしまう。

今日も一人、無駄で無限な空想をし、少しだけ賢くなる私。

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