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くるり 頭の中がくるりぐるり 2019.5


くるりを聴くようになったのはいつからだか覚えていない。

すぐに好きになる音楽としばらくしてその良さに気づき、
大好きになる音楽がある。くるりは間違いなく後者だった。

音楽好きの友人達が口を揃えて、くるりはいいと言っていた。
そうかくるりはいいのかと思い、素直な私は大量にCDを借りたが、
当時の私にはピント来なかった。

くるりには数々の名曲があるが、
当時の私はワールズエンドスーパーノヴァを好きでよく聞いていた。

それぐらいの時期にくるり好きの友達とモンゴルに旅に出た。
ほぼノープランのモンゴルではすることがなかった。一日がゆったり流れていた。のんびりとした時間が必要な私たちには良い旅だった。
長時間電車で移動しながら、中島みゆきの地上の星を歌ったり、
ゴッホの絵のように歪んだ空間の部屋で靴下が片っぽ脱げながら、
昼寝をしたりした。砂漠の真ん中で車がエンストして、
何年かぶり思いっきりアクセル踏んだりも。
視力が良くなりそうなどこまでも広がる景色。
モンゴル語でらくだはテメー。
らくだを見つけては、車の窓を全開にしてテメーと叫んだ。
朝は朝日をみて、夜は夕日と満点の星をみた。

ゲルにも泊まった。あのゲルに。
夕方前には1日の予定が終わってしまうことが多かったので、
ゲルで過ごす時間が多かった。
飛びそうになるゲルの中で風の音を聞きながら、ゲルの中でいろいろな話をした。ほとんどはたわいのないこと。私は、しりとりをしながら、よく寝てしまった。
そんなゲルの中でワールズエンドスーパーノヴァを聴いた。
いつか一緒に聞きたいねと話しながら。

それから月日が流れ、2017年のフジロック。
過酷な地を旅しすぎて、ヘッドライトからゴアテックスまで、
無駄に増えるアウトドア用品。インドアな人間なのに、
それとは矛盾する品揃えの良さ。そんな手持ち無沙汰なアウトドア用品が日の目を見るイベントに初めてフル装備で参加した。

フジロックでは、傘はさせない。センター試験と雪がセットなように、
フジロックと悪天候もセット。やっぱり、その年も雨が降った。

一日中雨に打たれながら、雨にも負けず、風にも負けず、全身ずぶ濡れにながら、ポケットに入れた夏目漱石をぐしょぐしょにしながら、夜に野外で聞いたくるり。これが私にとってはじめてのくるりライブ。もやのかかる霧雨の中、ラ
イトに照らされたくるり。最高すぎて、忘れられない。
もちろん、ワールズエンドスーパーノヴァもやってくれた。
私と友人は顔を見合わせて、ノリノリで盛り上がった。
帰り道もくるりを歌いながら、
当時は新潟限定販売だったルマンドアイスを震えながら食べたっけ。

なんだか青春感がすごくなってきましたね。

フジロックをキッカケに、くるりのいろんな曲を聴くようになって、
ライブにも行くようになった。

昨日はそんなくるりのライブ。新しいアルバムの曲はもちろん、
大分初期の頃の曲もやってくれた。無邪気に笑顔でギターをかき鳴らす岸田さん。あんな風に笑って入れたらいいなと心から思った。3時間にも渡るステージ。
フジの時より近い三列目でくるりのシャワーを浴びた。
自身の足腰の衰えもついでに感じた。

ここ最近は森見ワールドにどっぷりな私は、くるりの唄を聴きながら京都の風景を思い浮かべていた。狸界から冴えない大学生界に入ったので、
宿はなしを聴きながら、京都の街を自転車で走り抜ける姿、鴨川デルタ、
さらには小津の妖怪のような笑み、無限に広がり続ける四畳半、
祀られる阿呆神が頭の中に浮かんでいた。どっぷり京都の大学生気分。

くるりと森見さん、最高の組み合わせを見つけた夜だった。

音楽も文学も素晴らしい。

尻すぼみ的になりましたが、いろんな青春を思い出しました。
これからも青春を突っ張ります。

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