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残された謎

街中で不思議な光景や人によく出くわす。
決して、私だけがその場にいるわけではないのだが、
他の人が気づいておらず、周りに人がいるのに、
世界に一人だけのような気分になる。

今週もそんな光景、いや人に出くわした。

職場で工事が始まった。
外で工事が始まり、私がいる建物にも作業着をきて、
ヘルメットをかぶった工事関係者らしき人が出入りしている。

ある日私がすれ違った人は、ヘルメットにシールがひっきりなしに貼ってあり、
街中に書かれたグラフィティアートのようになっている。
神社や仏閣に貼ってある千社札のようでもある。
ネズミ色のヘルメットの色が全く見えない。
ここまでならまだわかるのだが、その人がスペシャルだったのは、
ヘルメットの真正面に自分の名前と思われるシールが
3段重ねで貼ってあったのである。

すれ違う際、グラフィティアートのような部分は、
瞬時に文字を読むことができなかったが、
山田(仮名)という名字はすんなり読め、驚いた時には
その山田さんはもいなかった。

それだけシールを貼っているのだから、
自分が自分がというような見た目かといえば、そうではなく、
普通のおじさんであった。

なぜあのようなヘルメットになったのか、山田とは自分の名前なのか、
すれ違った後には、理解できぬ謎が残された。

ただ、私しかその山田さんとはすれ違ってないため、この状況を共有できない。
あぁ、もどかしい。

二人目は、本日出会った。

繁華街で横断歩道を待っている時、ふと、反対側に目を向けると、
信号を待つ人々の中に不思議な道具を持っている人がいる。

なんだかみたことのあるような気がするその道具。
よく見ると、けん玉である。
けん玉を手で器用に回している。
もうすぐ信号が変わるかという瞬間、うまいのだかどうかよくわからない
今までにみたことのないけん玉の技を決めた。

信号が変わりだし、そのけん玉さんとすれ違う。
またしても、私には謎が残される。

あの人はいつもけん玉を持ち歩いているのだろうか。
確かに手持ちぶさたな信号待ちには良いかもしれない。
一体このあと、けん玉を持って何をするのか。
人混みの中、けん玉に気づいていたのは私だろうか。

不思議な人に会うと、その人のこれからやこれまでについて
思いを巡らせてしまう。

ちびまる子ちゃんなら、キートン山田から、そんなことより
自分のこれからやこれまでを考えた方が良いと突っ込まれそうである。


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