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TENET テネット ICHIGO映画GO

「黄昏に生きる」「宵に友なし」
劇中の彼らの合言葉。

宵とは、「世の終わり」。
黄昏とは、世の終わりへと向かう劇的な変化に飛んだ「瀬戸際」。

そう考えていくと
「この世の瀬戸際」を「同志と守る」と言う決意の宿った言葉です。

誰にも聞かれていませんが、
私も黄昏時、移り行く光や風を感じながら、
お酒でも飲みながらのんびりと過ごすのは大好きです。

昼と夜、二つの世界を結ぶ、僅かな時間帯。
刻々と変わりゆく太陽や空や海、
そして風に含まれる温度や湿度の変化、
なんかこう、地球そのものと対話をしているような気になるんです。

以前、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間、カリブ海に浮かぶ
バハマやバージン諸島へ、仕事で2週間くらい滞在したことがありまして、
そこには、プライベートヨットやクルーザーを所有した大富豪達が
沖合の孤島などに停泊して何日ものんびりと過ごされていました。

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それを毎日楽しむのは、僅か一握りの富裕層にしか出来ないことですが、
この映画の登場人物、時を支配下においている武器商人大富豪セイターこそが
美しい夕日。移り行く一期一会の価値を、永遠に所有できる巨大な富と時間支配。
「世界で唯一無二の富裕者かつ時間の独裁者」という設定です。

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こういう設定は、
セレブな生活を垣間見れる欧米人にしかつくれないような気がします。

彼は、毎日豪華で巨大なプライベートクルーザーで、
黄昏を愉しんできたわけです。
しかし、末期癌であることを知り、己の命が終わる時、
まるで当然のように全人類の命を奪い、
自分もろとも、この世に終わりをもたらそうとする。

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美しい妻を含めて、すべての美しいものを己で支配し
そして己が終わる時、その美しい存在総てを、万人から奪う。

エゴの塊「悪魔」

セイターは劇中で
彼を「悪魔」と呼ぶ妻に対して、こう言います「あるいは、神。」

確かに全てを手中にしていれば
神とも呼べるでしょう

しかし
神と悪魔の違いは
利他と利己なのです。

人は気持ちの持ちようで、神にも悪魔にもなる
それは生まれ付きなのでしょうか?
それとも環境によって変わるのでしょうか?

たぶん、両方なんだと思います。
私見ですが、生まれ90%育ち10%。
でも、気づきがあれば、
その10%が120%になるような気もする。

この映画
おそらく
この2020までの時代において
予算も、そしてノーラン監督の
リアルにこだわった撮影方法を含めて
最高規模で最高品質の映画ではないでしょうか?

すぐCGを使うと画面がペラくなります。
それが一切無い。

ストーリーは
タイムスリップ系を観てきた私にとっては
途中で読めてしまう部分があり
インターステラーの方がストーリー的には
予期できなくて良いのです。

しかし

圧倒的な「ビジュアル」や「スピード」感
ゾクッとするような冷たくゴージャスで
尚且つ高アクションの
「双艇ヨットでの競争」シーン

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そして
「高速道路での挟み撃ち消防車」のシーン映像など

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ビジュアル派には最高であり
斬新なそのシーンに釘付けになります
2時間半という長い時間が
アッと言う間に過ぎ去って行きますが
高濃度の2時間半になるでしょう。

セイターは息子を溺愛していますが
その息子は、一瞬しか映りません。
うまいですね。

実は、
セイターの息子が、
ジョンを助けてきた正義のエージェント
ニールなのでしょう。

悪魔である傲慢で利己的な父セイターに溺愛された
息子ニールが神という存在なんですね。
主人公の主導者であるジョンは神の僕(しもべ)かと思います。
いや、その逆で、ニールが神の僕で、
ジョンが神なのかもしれません。

この映画、
I M A X 対応の映画館で観て正解でした。
家にもI MA X欲しいですね。
私の場合、宝くじを前後賞合わせて当てるしか道はないですが。


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