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連載「イチロー部屋のイッピン」49.デレク・ジーターからの“奇跡”のサイン

2017年のマイアミ・マーリンズの最終戦。この日、マーリンズの選手が球場入りする通路には、たくさんのファンが群がり、頑丈な柵が通路から10mも離れて設けられていた。

子どもたちに聞くと、「ジーターが来る!」と教えてくれた。来シーズンから、マーリンズのオーナーとなるジーターが、初めて球場入りするということで大騒ぎとなっている。いっしょに“入り待ち”をする子どもたちが、いつもは入ることができない反対側から、「いいんだよ!」と手招きをする。サインゲッターのプロたちに、“奇跡”を賭けることにした。

バスのような大きな車が止まり、ジーターが先頭で降りて来た。柵の角にいる“プロ”に歩み寄る、ジーターに子どもがペンを差し出すと、サインを始めるではないか。とっさにポケットにあった“チケット入れ”を差し出すと、ものすごいスピードでサインをしてくれる。あっという間の出来事だった。大人がもらって良かったのか!?と怖くなったが、どうやら私がサインをもらったとは分からなかったらしい。


2018年の開幕戦。また“奇跡”が起こる。 いつもより早い“入り待ち”だったので、常連のフリオ・ノッジと妻の3人だけ。ノッジが、「ジーターだ!」と驚く。妻が「ジーターさん!サインください!」と大きな声で叫んだ。なな、なんと、新オーナーのジーターが、目の前に「キター!」。

オープニングゲームのボールに、ゆっくりとサインを書いてくれた。ノッジが、「オーナーだけは車に乗って球場入りをするのに、なぜ、歩いてきたか?信じられない」と話してくれた。

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