『サザエ カツオ イクラ 一之輔』 春風亭㐂いち

私は食物アレルギーをもっている。
正確にいうともっているらしい。
まだ病院で血液検査をしていないため、分かっていない。
ただ噺家になった6年間でアレルギー症状が三度も出ている。
なんでも子供の時は大丈夫でも、大人になってからアレルギーになる人も多いらしい。
食物アレルギーで起こる症状で最も重症なのをアナフィラキシーという。
これはマジでやばい。
ちなみに一度目のアレルギーはこれだった。
まだ前座時分に一之輔の独演会の帰りに池袋で師匠と別れ、私は一人で回転寿司に入りそこで夕食を済ませ帰宅。
夜中に息苦しくなり、鏡を見たら顔がパンパン。
こりゃまずいってんで、近所の救急へ。
先生が私の顔も見て、その瞬間に『あぁダメです、ウチじゃあ、、、』
そのまま救急車を呼ばれ新宿の総合病院へ。
んで入院。
アナフィラキシーの何が危険かというと、顔や皮膚が腫れ上がっているということは体の中も腫れ上がっているということ。つまり気管が腫れて塞がってしまい呼吸困難になる場合があるらしい。
私は割と無精な方で、『まぁいいか。寝てれば治るだろう』とあの時病院に行かなかったら死んでいたらしい。
よかった。
病院で何を食べたか聞かれ、確定は出来ないがおそらくサザエだろうということになり、今後はサザエを控えるように言われた。
でもまぁちょくちょくサザエ食べてしまっている。
サザエ、好きだ。

それから一年ほど経って、一之輔の独演会で高知へ行った時だ。
会が終わり打ち上げでカツオのたたきが出て来た。
旬のそれも本場のカツオである。
それをバクバク食った。
そして夜中ホテルで顔がブクブクに腫れ上がった。
そのままフロントで救急車を呼んでもらい、高知の総合病院へ。
東京に帰ったらすぐにかかりつけの病院へ行くようにと言われ、注射と点滴を打ち、朝方ホテルに戻った。
カツオも控えた方がいいということになった。
でもまぁちょくちょくカツオ食べてしまっている。
カツオ、好きだ。

それから数年経って、今年の正月のことである。
コロナ禍での正月ということで大師匠のウチでの集まりもなく、ひっそりとしたものだった。
時間帯を分けて一之輔が呼んでくれた。
私と貫いちは夜、師匠のウチでおせちをご馳走になった。
イクラが出て来てそれを大量に食べた。
そして、その日の就寝前に私はまたアレルギー症状が出たのである。
幸いにも前の二度の症状に比べ軽いものだったので救急車は呼ばずに翌日、病院へ行き血液検査をすることにした。
これで何が悪いのか、それではっきりするらしい。
早くやればよかった。
サザエかカツオかイクラか、、、
もうすぐ検査結果が出る。今はその結果待ちである。
しかし考えてみると、今まで症状が出たのは全て師匠一之輔と一緒にいる時だ。
もしかすると食物アレルギーじゃないのかもしれない、、、
一之輔アレルギーという可能性もある。
一之輔も控えた方がいいのか?
そう思いながらも、ちょくちょく師匠に会いに行ってしまっている。
師匠、好きだ。

2021.2.7

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