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光る君へ(14)ききょうは女の兼家である説・大河ドラマで学ぶ脚本テクニック

割引あり

大河ドラマ「光る君へ」が面白い。ということで、「「光る君へ」で学ぶ脚本テクニック」と題した動画を作っていくことにしました。動画といっても内容はスライドとテキストなので、noteにも載せていきます。今回は第14回の学びポイントです。
歴史の知識や「源氏物語」については一切触れませんので、予めご了承ください。


今回の学び

今回、ききょうが本格的に登場し、そのキャラがハッキリ示されました。
ききょうは、まひろ以外で「志」を持つ初めての女性登場人物です。

今後ききょうは、まひろのロールモデル、または反面教師としての役割を担っていくと思われます。

つまり脚本的に言うと、まひろにとってのききょうは、道長にとっての兼家と同じ位置づけです。

詳しく説明していきます。

ききょう=兼家

今回、まひろの家に押しかけたききょうは、こう言い放ちます。

「私は私の志のために 、夫を捨てようと思いますの」
「息子も夫に押っ付けてしまうつもりです」
「私は私のために生きたいのです」

これを聞いたまひろは、驚きと戸惑いの表情を浮かべます。
それには2つの理由があります。

ひとつは、ききょうの志が、まひろの志とはベクトルが正反対であったこと。
もうひとつは、志を追い求めるための代償をききょうが「仕方ない」と考えていること。

おそらく、このふたつのことに、まひろは驚き戸惑ったのでしょう。

ききょうは、まひろの母・ちやはとは、正反対のキャラです。
ちやはは夫のために生き、まひろをかばったために殺されました。

今後、まひろがききょうにどう影響されていくのか、大変楽しみです。

さて、今回のききょうが自らの志を語るシーンは、前回第十三回の、兼家が道長を諭すシーンによく似ています。

死を意識した兼家は、こう語ります。

「お前が守るべきは民ではない」
「政…それは家だ。家の存続だ」
「家のために成すこと。それが私の政である」

これを聞いた道長も、ききょうに対するまひろと同じように、戸惑いを隠せませんでした。

なぜなら、道長が目指す政と、兼家が考える政の方向が、やはり正反対だからです。

より良き世を求めるために政の頂を目指す。道長はまひろとそう約束しました。
しかし、兼家は、政とは家の存続だと断言します。だから「民に阿ることだけはするな」と言うのです。

政が家の存続だとすれば、兼家がこれまでやってきた冷酷な所業も「仕方ない」ものです。

今後道長は、まひろと立てた誓いを守り抜くのか、それとも、兼家の轍を踏むのか。

いずれにしても 高い志には代償が必要であるように、どんな政にも犠牲が伴うのは確実でしょう。

今後、道長が父・兼家をどう乗り越えるのか、大変楽しみです。

まとめると、ききょうは志を持って生きる女性のロールモデル、または反面教師として、今回登場しました。
このキャラ造形は、政における兼家の位置づけにそっくりです。

そういう意味で、ききょうは女性キャラクターにおける兼家であると言っていいのではないでしょうか。

今後、まひろの生き方はききょうとの距離感によって、道長の生き方は兼家や、そのコピーである道隆との距離感によって描写されていくのではないでしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございました。

背景画像:
From The New York Public Library https://digitalcollections.nypl.org/items/510d47e3-fe62-a3d9-e040-e00a18064a99

動画

蛇足メモ

動画にはうまく盛り込めませんでしたが、まひろ、ちやは、ききょう、3人の女性キャラクターは、今のところこんなふうにまとめることができると思います。

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467字

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