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ソウルフィルド・シャングリラ

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未来ディストピアボーイミーツガールSFライトノベルです。
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記事一覧

【まとめ読み版】ソウルフィルド・シャングリラ~The Reincarnation of the Angel~

序章 かなしみに満ちた楽園で Sorrowful Shangri-La 『最後に、一言だけ。ごめんなさい。そし…

居石信吾
2年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 序章(1)

目次 序章 かなしみに満ちた楽園で Sorrowful Shangri-La 『最後に、一言だけ。ごめんなさい…

居石信吾
5年前
16

ソウルフィルド・シャングリラ 序章(2)

承前  少年は呆けたようにその場に座り込んでいた。  左手首が真っ赤に染まっている。血だ…

居石信吾
5年前
9

ソウルフィルド・シャングリラ 序章(3)

承前   少年は再び目覚めた。  足がふらつくのを堪えて立ち上がる。一体どうなっているの…

居石信吾
5年前
9

ソウルフィルド・シャングリラ 序章(4)

承前  雨は止む気配を見せず、都市は白く烟〈けぶ〉っている。  少年はソファに腰を下ろし…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 目次

あらすじと用語集 序章 かなしみに満ちた楽園で Sorrowful Shangri-La 1 2 3 4 第一章 …

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第一章(1)

承前 目次 第一章 不正な生、負債な死 Working For Death  西暦2199年6月14日午後5時15分  澄崎市北東ブロック第23都市再整備区域、6番街A8号通り  ――いったいどれだけ走ったのだろう? いったいどこまで走ればいいのだろう?  解体を待ち続ける灰色のビル群の隙間を縫って、少年がひとり疾走する。  雨が降っている。霧のようなしみったれた雨だ。細かい滴が視界を遮り、衣服に絡みつき、体温を奪う。偽の歯がかちかちと鳴っている。偽の筋肉は強張り、偽の

ソウルフィルド・シャングリラ 第一章(2)

承前 「止まりな」  120番街大通りへと抜ける、どこにでもある灰色の路地裏で、そいつは声を…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第一章(3)

承前 「断る」  護留は再び即答すると、踵を返した。 「報酬を聞いてからでも、遅くはないと…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第一章(4)

承前  助力を惜しまないという屑代の言葉は、端から当てにしていなかった。この計画が終わっ…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第二章(1)

承前 目次 第二章 天の御使いの住まう宮 Angel's Cage 西暦2199年6月1日午後6時30分澄崎…

居石信吾
5年前
8

ソウルフィルド・シャングリラ 第二章(2)

承前   アズライールとは、かつて人が陸で暮らしていた頃に存在した宗教の神話に出てくる天…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第二章(3)

承前  部屋の隅に控える給仕をちらりと見てから、悠理は挨拶をする。 「お久しぶりです、お…

居石信吾
5年前
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ソウルフィルド・シャングリラ 第三章(1)

承前 目次 第三章 祭りの中、運命の外 Across Fates 西暦2199年7月1日午前10時00分 澄崎市中央ブロック第一市庁舎前、戦勝記念公園内中央大広場  万を越す市民達が広場に犇めいている。その身なりや雰囲気からほとんどが正規市民〈ハイアー〉だと分かる。もっとも、その多くが公務員か天宮など一流企業に属するハイアーでもなければこんな儀式に進んで参加する気も起きないであろうが。  そう、それは儀式だった。ナノマシンが大気中に常時散布され、ALICEネットによる共