見出し画像

rain

午後から降りだした雨

駅までの帰り道

あの子は深くため息をつく

カバンから取り出したのは

傘ではなく

ピンク色の小さなタオル

そんなあの子の横で

大きな傘を広げる僕

「いつまで降るのかな?」

細々とつぶやいたあの子に

何も声をかけれずにいた

雨に濡れないようにと

頭にタオル被せて

覚悟を決めたように

ゆっくりと歩き出す

ただ一歩一歩

前を向いて歩いている

急ぐわけでも

焦るわけでもなく

少し前を歩くあの子

あのとき声をかけれたら

そんなことを思うたびに

あの子の背中が遠くなる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?