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「その男、ジョーカー」の周辺設定について⑥

 どうも、松田悠士郎です。
 今回からは、「その男、ジョーカー」の主人公である青天目譲をサポートする仲間を考えます。

 今作でオマージュを捧げるテレビドラマ「探偵物語」には、主人公の工藤俊作(演:松田優作さん)を取り巻く仲間が何人も登場します。思いつくまま列挙しますと、イレズミ者(演:初代→野瀬哲男さん、2代目→前田哲朗さん)、ダンディー(演:重松収さん)、骨董屋のイイヅカ(演:清水宏さん)、ポン引きのサブロー(演:庄司三郎さん)、故買屋の山崎(演:榎木兵衛さん)、風俗嬢の京子(演:橘雪子さん)と言った面々です。それぞれがそれぞれの立場から工藤に協力します。

 上記のキャラクター達を踏まえて譲の仲間を考えます。
 先ず私が必要と考えるのは「情報屋」です。拙作「こぶし探偵ともちん」では、図らずも風間荘助が情報屋的な立場になっていますが、譲は元刑事なので、その当時から独自の情報屋が居た筈です。刑事ドラマではそれこそ数多くの情報屋が登場していますし、「私立探偵濱マイク」にも、表向きパチンコ景品交換所職員の情報屋サキ(演:小泉今日子さん)が登場しています。
 ただ、この情報屋というキャラクターでは独自性を出したいので、上記のパターンからは外して考えます。
 情報屋の設定として最も多いのは、恐らく反社会勢力の人間、またはその手の業界に繋がりがある人物でしょう。こういう、余り表に出せない人脈を持っている事は情報屋の必須条件なので外す訳には行きません。なので考えるべきは表向きの職業や立場です。
 例えば上記の山崎は金融会社を経営しつつ、裏で宝石の故買を扱っていますし、情報屋ではありませんがイイヅカも骨董屋の裏で拳銃を取り扱い、工藤に渡しています(この時、大抵工藤とイイヅカは全く関係ない映画の話をしています)。

 インターバルを取って考えている内に、情報屋の表の職業のアイデアが浮かびました。それが、

『古本屋』

 です。
 今作は以前にも書いた通り、「こぶし探偵ともちん」の前日譚です。従って、現在よりも前の時代を舞台として設定します。想定は1990年代末期から2000年代初頭なので、昔ながらの古本屋も充分存在している筈です(現在なら某古書等取り扱いチェーンがすっかり幅を利かせているので)。
 昔ながらの古本屋と言うイメージは、以前に観ていたテレビドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」辺りから頂きます。しかし、さすがに店主兼情報屋が女性と言う訳にも行かない(そこまで「濱マイク」には寄せられません)ので、店主は男性、それも中年か初老、と言った感じでしょうか。
 こんな事を考えている内に、情報屋のビジュアルイメージが出て来ました。

「松重豊さん」

 です。
 松重さんの事を本格的に知ったのは、かつてレンタルDVDで全話観た「MM9」ですが、近年は大ヒットドラマシリーズ「孤独のグルメ」や、昨年の大河ドラマ「どうする家康」での石川数正役でお馴染みです。
 年季の入った古本屋の奥にひっそりと佇む、口数の少ない店主のイメージが、ほぼ出来上がりました。
 次回は、この情報屋のキャラクターを更に固めて行きます。

《続く》

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