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【丁寧な暮らし】心がととのう小林聡美系映画の世界

日々の仕事に追われて、ふと丁寧な暮らしに立ち返りたい時に、ぼくは小林聡美系映画にふれることにしています。

映像はいたって日常的ですが、そこにでてくる家具、食器、料理は実に丁寧に作り込まれています。

セリフもミニマルですが、ときおり哲学的な問いが顔をだし、そのバランスが絶妙なんです。

それでは、そんな不思議な小林聡美系映画の世界の道案内をさせていただきます。


小林聡美系映画の特徴

小林聡美系映画5人衆と勝手に名付けてている俳優がいます。
もたいまさこ
光石研
伽奈
市川実和子
加瀬亮

ほとんどの映画はこの5人と小林聡美でできています。

そう、じつは小林聡美系映画は演劇に近いのです。
劇団小林聡美の劇団員がこの5人ということです。

ちなみに劇団にはスタッフもいます。
音楽担当は大貫妙子
フードコーディネーターは飯島奈美

でもなぜか監督は結構変わります。

それぞれの監督が独自の「小林聡美系映画」の解釈をもって作り込んでいるところも、マニアックなお楽しみポイントになります。

小林聡美系映画マップ

今回は小林聡美系映画マップを作ったので、それを元に紹介していこうと思います。

ちなみに意味不明な2軸だと思うので少し解説します。

ストーリー系↔︎雰囲気系
これは作品にストーリー性があるかを表しています。
ちなみに小林聡美系映画の特徴はストーリーがあまりないことです。
驚きの展開なんてものはとくにありません。
しかし、そのなかでもグラデーションはあるので軸にしました。

癒し系↔︎アクティブ系
これは作品に動きがあるかどうかを表しています。
ちなみに小林聡美系映画の特徴は動きがあまりないことです。
大体同じような場所で、暮らしを淡々を送っています。
しかし、そのなかでもグラデーションがあるので軸にしました。

それではさっそく作品を紹介していきましょう!

※注意点
今回「すいか」と「東京オアシス」に関しては紹介しません。
理由は筆者がまだちゃんと観ていないからです。
ちなみに小林聡美系映画の本当のプロトタイプは「すいか」なのですが、今回は「かもめ食堂」を起点として語っています。
また、あらすじを軽く紹介しているのですが、あえて役名ではなく俳優名で書いています。
ご了承ください。

「かもめ食堂」小林聡美系映画の基礎を作った映画

あらすじ:小林聡美がフィンランドで日本食の食堂を経営するが、そこにもたいまさこと片桐はいりがふとしたきっかけで参加することとなった。

おそらく小林聡美系映画でもっとも有名なのはこの作品だとおもいます。
フィンランドが舞台のこの映画は、ひそかな北欧ブームを巻き起こすほど話題となり、癒し系映画の金字塔的作品となっています。

とてもいい映画だと思いますが、実はこの作品は小林聡美系映画のなかでは少々特殊な立ち位置となっています。

劇団員からはもたいまさこしか参加していません。
(ちなみに片桐はいりは小林聡美系映画にはこの作品でしか参加していません。)

しかし、今後引き継がれる飯島奈美のセンスが光る料理と食器、エンディングは撮影風景の写真などの要素を確立させたのは、この作品なのです。

この記念碑的な作品はあくまで入り口であり、本当の小林聡美系映画の魅力は、この後の作品をみないと伝わらないような気が個人的にはしてしまいます。


「めがね」小林聡美系映画を完成させた、伝説の癒し系映画。

あらすじ:とある島に小林聡美が訪れ、そこにいる不思議な島民たちとともに、ゆったりした時間を過ごしていく。

実は小林聡美系映画を完成させたのはこの作品といえます。

劇団員は伽奈以外は全員参加しています。
というよりもここで共演した俳優たちが素晴らしくて、この後の作品に引き続きでている。といったほうが正しいのかもしれません。

島の美しい景色と、謎の癒し系体操、そしてかき氷。

ひと夏が過ぎていく時のながれが、心を整えてくれます。

夏が恋しくなる、寒いこの時期に観るのがぼくのおすすめです。


「プール」ストーリーをそぎ落としたミニマル映画。

あらすじ:タイのゲストハウスで、孤児のビーの世話をしながら、日常が過ぎていく。

正直に告白すると、ぼくはこの映画のストーリーをほとんど思い出せません。
断片的な情景は思い浮かびますが、それらはつながりを持たずに、プールの上に落ちた葉っぱのように漂っています。

それはネガティブな意味ではなくて、ぼくにとっては遠い思い出のような、こころに残る温かい作品になっているのだと思います。

またこの作品は、料理をつくりながら流す映画として最適な気がします。

家事が終われば映画を中断して、また気が向いた時に続きを流したって良いのです。

良い小説は、どこから読んでも面白いと誰かが言っていたような気がしますが、この作品はそんな小説のように、好きな場面から観て楽しめる作品のような気がします。

「マザーウォーター」水の音に癒され、水のように流れていく。

あらすじ:京都でウィスキーしたメニューのないバーを経営する小林聡美と住民のつながりを描いていく。

とにかく音に癒されたい人には、この作品がおすすめです。

水の音が、この作品の通奏低音となって流れています。

豆腐屋がでてくるのですが、豆腐を切るときの音は、なんともいえない優しい水の音がします。

ちなみにこの作品で、はじめて5人衆が共演したのではないかと思います。


「パンとスープとネコ日和」タイトルからすでに癒される。小林聡美系ドラマのはじまり。

あらすじ:会社をやめてカフェをオープンした小林聡美。亡くなった親のお店を改装したのだが、親のつながりや秘密が徐々に解き明かされていく。

小林聡美系映画は「東京オアシス」を最後に、ドラマ作品へと変化していきました。
しかし、小林聡美系映画は実はドラマとの相性の方が良い気がします。

作品としては、癒しの雰囲気も楽しめながら、アクセントとなる人間関係を中心としたストーリーもあるので、非常に完成度の高いドラマになっている。

また動画配信サイトでドラマを観るとエンディングをスキップしがちですが、小林聡美系ドラマはエンディングを含めてひとつの作品になっているので、ぜひスキップせずに最後までお楽しみください。

「山のトムさん」農と暮らし。自然に囲まれて自給自足していく物語。

あらすじ:東京で編集者として働いていた小林聡美が、田舎暮らしを通じて、自然に囲まれて生きていくことの尊さをみつけていく。

テーマは「農とくらし」

この作品は、猫のトムを中心に自給自足の生活を通して暮らしを見つめていきます。

日々の雑事で失われていくなかで、丁寧な暮らしを思い出させてくれる作品となります。

ちなみに子猫のトムをある理由から抱っこしてはいけないのですが、、、そんなの絶対無理ですよね。

「ペンションメッツア」オムニバス形式の新しい小林聡美系ドラマ。

あらすじ:小林聡美が経営するペンションと、そこに訪れる人々の物語。

小林聡美を中心に、1話完結型で繰り広げられる今作。

いつもの小林聡美系を継承しつつ、ソロキャンプなど現代の話題も取り込んでいます。

ちなみに主題歌の大貫妙子の「空飛び猫」は小林聡美系でも随一の名曲です。


おわりに

今回は、ぼくが愛してやまない小林聡美系映画の世界を紹介させていただきました。

なかなか万人受けする作品ではないと思うので、人におすすめするのは難しい小林聡美系映画なのですが、今回少しでも興味をもっていただければ幸いです。

またこれらの作品は、すべて同じフォーマットで作られているので、ひとつでも気に入れば、全ての作品を気に入ってもらえるはずです。

ちなみにはじめての方は、プライムビデオで今すぐ観られる「パンとスープとネコ日和」から観はじめることをおすすめします


心がすこし疲れてきて部屋が散らかってきた時には、小林聡美系映画を観ながら丁寧な暮らしを思い出して、日々の暮らしを楽しんでいきましょう!


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