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空想旅行 ④


準備はできた
出発するだけ


そう言ってから1日と少し経った

俺は何をしているのだ

すぐに出ていけると思っていたのに
急に腰が上がらなくなる


これは寂しさなのか
恐怖なのか

なんだかわからない感覚だ
今一度 自分自身と対話する



俺は何をしたいのか
何をするのか


答えははっきりしている
世界を見てみたい
ここから離れるのだ



わかっているならさっさと動け


そう自分に伝えるため
怯んでいた顔を強めに二回叩く



この場所張り付き始めた心を引き剥がすように
立ち上がり

荷物を背負う




静かで平和な場所に別れを告げる


聞こえない声で背中を押されてる変な気分がした
さっさと行け
帰ってくるな
気をつけて


みやげを忘れるな


無意識に
"じゃあな"
と応えている自分に驚いた




旅に出るときに決めていたことがある



誰が作ったかわからない木のオブジェに
挨拶すること




偶然見つけたもの


誰がいつ作ったのかわからない謎のオブジェ


モチーフになった木が何かもわからない



ただ、見ていたくなる
何かに惹かれている


もう二度と見れなくなるかもしれない


ゆっくりと
オブジェに手を伸ばす


最後、を口実にして


目を閉じて触れる
冷たい


金属のようだ


ゆっくり目を開けると
目の前が真っ白で何も見えない


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