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空想旅行 ③

閃光


いつもの通い慣れた道を歩く

今日も平和だ


意味もなく見回りをしながら
あの場所へ向かう


何もないのが通常で
何かあるのが異常
それがわたしの世界の普通だ


しかし平和主義をうたっているイチ民間人でさえ
ほんの少しだけ異常事態を期待してしまうときがある


いきなり宇宙人が来るとか


異世界の連中が攻めて来て
何故か魔法が使えるようになっていて世界を助けてくれと言われたり


なぜかスズメに変身させられたり


こんな他人には言えない楽しみをみんな持っているものだ


なぜだろう


世間の女の子が妄想する、王子様が出てきたり
運命の出会いをするなどといった出来事はこれっぽっちも出てこない


わたしの頭の中にはロマンチックと言う言葉は存在しないのかもしれない


そんなことをやっているうちにあの場所へ着いた


全身をよくわからない感覚が襲った


なんだろう
いつもと違う


言葉で言い表せない
違和感?
威圧感?


曲げた人差し指と親指を顎に添える
まるで?
いや、探偵そのものだ


この場所は敷地が広い
芝生が一面に広がり
中央付近には大きな噴水もある
まるで・・・

その中にわたしのお気に入りがある


オリーブの木を模したオブジェ


建物の陰に隠れてひっそりと主張している
オブジェとしては非常に魅力的だ


特に今日は異常なほどに惹かれている
夢中になっている


気が付いたら手を伸ばしており
オブジェに触れるか触れないかくらいのところで


目の前の光が破裂した


それと同時に
全く知らない映像が目の奥に刻み込まれた


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