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「カフカ短編集」読書感想文

著者

フランツ・カフカ(1883~1924)
2023年末頃からかじり読み。3月25日くらいに読了。

訳者

丘沢 静也

感想

 正直に告白すると、私はカフカの面白さをほとんど理解できない。「変身」は面白かった。ある日突然訪れる不条理。物事は解決に向かわず、悲劇に終わる。人間の闇の部分を淡々とした描写で表していく。いつまでも心に深く刻まれる話だった。
 その後、城、審判を経て今回の短編集を読んだんだけど、「変身」を越えるものはなかった。私が読んだカフカ作品はどれも「不条理」が大きなテーマとなっていた。「不条理」という大きな対象物を下から見たり、上から見たり、右から左から、あるいは遠く離れて見たり……。無理解を晒すことになるかもしれないけど言わせてもらうと、「ただそれだけ」なんだよね。
 なんか「カフカはどの作品も好きです。分からないところが魅力ですよね」とか言っておくと、いっぱしの文学通を気取れるけど、私が本を読むのは「文学通を気取るため」ではなく、「文学とは何か」、「人間とは何か」を突き詰めていくのが目的なので、分かったようなことは言わずに、はっきりと、「カフカはそれほど深くない。少なくとも、他の作家より際立って深いということはない」と今の時点では、そう断言しておきます。
 ただ、「分からない」というのは確かに魅力的ではあって、仮に無人島に本を一冊持っていくとしたら、カフカの作品のどれか(たぶん「城」)は候補には上がる。

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