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奈良県知事選挙2023~日本維新の会、大阪以外で初の公認知事誕生か、県知事の座を巡る各勢力の思惑~

 3月23日統一地方選挙(知事選)が告示されました。保守3分裂の徳島県知事選、維新対非維新の大坂県知事選、与野党対決となる北海道県知事選も注目されていますが、今後の影響の大きさで考えるなら奈良県知事選挙が最も重要と言えるでしょう。
 既に多数の報道がありますが、今回の知事選は大阪以外で初めて日本維新の会の公認知事が誕生する可能性があるとされています。大坂以外の首長の誕生は「大坂の政党」というイメージがどうしても強い維新の会にとってまさに悲願です。また、自民党保守派の有力議員、高市早苗経済安保相がたてた党推薦候補の当選が危ぶまれており、結果によっては自民党内の勢力図にも影響しそうです。今回はこうした奈良県知事選挙の各勢力の動きと情勢を解説していこうと思います。

自民党の分裂

 


 奈良県知事選挙で報道機関に最も大きく取り上げられているのが自民党の分裂です。各種報道をまとめると以下のようになります。

 まず高市早苗経済安保相が総務相時代に関係を築いた平木候補を県連の推薦候補をする→それに対して現職の荒井知事を支持する勢力が「やり方が強行だ」として反発(自民党の有力議員、森山氏や二階氏が荒井候補よりの対応をする)→高市議員が荒木候補の説得を試みるも失敗
 
 まとめてみましたがここまではよく見る保守分裂の構図です。

民主系の分裂

 今回の県知事選の構図を複雑にしている原因の一一つが民主系の分裂です。報道によると、2月28日に国民民主党県連は現職の荒井候補の推薦を決定し、党本部に上申しました。内藤智司幹事によると「自主投票は避けたいと思い、現職の4期16年の実績を評価した」とのことですが真相は不明です。

 一方、立憲民主党は2月25日に平木候補の「支持」を決定しました。馬淵澄夫県連代表によると、「現職の「多選」や、基本政策が一致することなどを理由に、県連として平木氏を支持することを決めた」とのことですが、こちらも何故平木氏をまた、何故「支持」という弱い応援に留めたのか実際のところは不明です。


 また、今回、両党の有力な支持母体である連合奈良は自主投票を決めていて、是等の支持・推薦がどれだけ有効なのかは難しいところです。

初の大坂以外の公認知事を狙う日本維新の会

 この選挙で「漁夫の利を狙っている」とされるのが日本維新の会は1月28日に山下真候補の擁立を決定しました。他党の対応が告示直前になったことを考えると、相対的に早い動きだったと言えます。また、維新の会本部もこの選挙に莫大なエネルギーを割いています。3/19に吉村共同代表が来県、刻字後も同党幹部の来県が予定されており、維新支持層固めに余念がありません。

山下候補個人の票

 これまではどちらかというと組織的な動きを説明してきましたが、それとは別に山下真氏個人の経歴も得票数に影響すると思われます。山下氏は山梨県で出生した弁護士で、2006年に大きな組織的支援を得ずに生駒市長に当選しました。その影響で市長当選後は議会との関係が悪く、予算案や人事案が複数回否決されたようです。生駒市長を3期務めた後、生駒に後継市長をたてた上で奈良県知事選挙2015に立候補、しかし得票率10%ほどの差をつけられ、現職の荒木候補に破れます。その後奈良市長選挙にも挑戦しましたが得票率1.3%という僅差でありながら破れています。ちなみに山下氏の後継となった小紫氏は、前回選挙(2019)では自民党と対立したものの、今回は自民党の推薦を得ています。山下氏を公認している維新は対立候補を立てているので、生駒市長選情勢もやや複雑と言えます。

公明党は自主投票に

 公明党は3月23日に中央幹事会で自主投票にすることを決めました。公明党は自民党が分裂すると自主投票にする傾向があり、今回もその前例を受けた決断だと思われます。ただし、公明党の場合、公に推薦・支持を発表せずに特定の候補に票をまとめる場合があるので、実際にはいずれかの候補に肩入れしている場合があります。

情勢調査

 3月の4日から5日にかけて、奈良新聞社とJX通信社が共同で奈良県知事選挙後情勢調査を行いました。その結果によると「維新公認の山下候補が先行し、自民推薦の平木候補と現職の荒井候補が追う展開」とのことです。同調査によると、山下候補が維新支持層の7割を固め、立憲民主党支持層の3割強にも食い込んでいる一方、荒井・平木両氏はそれぞれ自民党支持層の2割・4割しか固められておらず、平木氏は支持を受ける立憲民主党の取り込みにも苦戦しているようです。2週間以上前の一調査なのでどこまで信用するかは難しいところですが、山下候補の勢いが伺えます。(「先行」という表現は10ポイント前後のリードで使われる)

まとめ

 今回の知事選の構図は非常に複雑なので最後に軽くまとめておきます。

●支持勢力
・荒井 
自民党(一部) 国民民主党県連(推薦)
・平木
自民党(高市早苗議員中心、推薦) 立憲民主党県連(支持)
・山下
日本維新の会(公認) 山下氏が大きな組織的支援を受けずに活動していた頃の支持者
・主な自主投票を決定した組織
公明党 連合奈良

●情勢調査
優勢な順に山下氏→平木氏→荒井氏の順「先行」という表現から山下氏が2位の平木氏に対して10ポイント程度リードか

 今回の知事選では、共産党推薦の尾口五三氏、無所属の西口伸子氏、羽多野貴至氏も立候補していますが、今のところ厳しい情勢にあると思われます。

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