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『本日は、お日柄もよく』 vol.810

最近少し読む機会の多くなった原田マハさんの本。

今回はドラマ化、漫画化もされている『本日は、お日柄もよく』を読みました。

実のところ、この本を読み始めて実に4ヶ月くらいは経っているかもしれません。

内容が好きで読み進めていくと、本が終わりに近づくのがちょっと嫌で寝かしてはまた読んで、寝かしてはまた読んでをくり返していました。

今日はそんなこの本を読んでの感想を書いていきます。


出会いはどこにあるのか分からない

主人公の二ノ宮こと葉はどこにでもいるようなただのOLでした。

同僚とお茶をしてお話をしたり、仕事に対する不平不満を言ったり、誰かに対して恋をしたり、逆玉の輿を狙ったりと。

いわゆる一般的なOLと言ってもいいのかもしれません。

それがたった一つのきっかけを境に大きく人生が変化していったのでした。

彼女を変えたのはただのスピーチ。

1人の人生を変えたので、されどスピーチと呼べるでしょう。

そのスピーチを聞いて心を打たれたとか、そう言う簡単な感動ではなかったはずです。

純粋に心を動かされ、何かをしないといけないと行動欲をそそられた。

そんなきっかけになったのでした。

その場に行く時には、そんなことなど思いもしていなかったのに、たった一つの出会いをきっかけに加速度的に人生が変化していったのです。

スピーチには人を変える、動かす力がある

私自身スピーチを習っていたこともあるので、人を動かしたり、行動を促したりと言う力があることはなんとなく頭ではわかっていました。

この本はその部分を見事にピックアップして教えてくれているのかもしれません。

大きく変化したのは二ノ宮こと葉ただ1人だけだったかもしれませんが、そこから織りなす多くの人の人生すらも変化しさせていったのかもしれません。

解説にも記載されていましたが、この本が出た当時はまだそこまでスピーチライターという職業も、スピーチという行為にもあまり重んじられていなかったような気がします。

それこそ、オバマ大統領やトランプ大統領の演説を見て、改めてレトリックという技術が着目されてきているのかもしれません。

そんな一つの職業にスポットライトを当てている本でもあるのでしょう。

変化を求めて、より良いものを

「本日は、お日柄もよく〜」というのはまさにクソつまらない結婚式のスピーチの冒頭でよく使われます。

私がこの本を通して感じたのは、いいものを知ってそんなよく分からない現状を打破して、より良いものを広めていこうとする、冒険心、それをもっと学びたいという好奇心、周囲をもっと良くしたいという貢献心なのかもしれません。

二ノ宮こと葉という1人の女性の成長を一緒に読みながら感じられる本ではありましたが、自分自身もその成長する1人になりたいと一緒に並走している気分にもなりました。

そして改めて、言葉というのは人の心を打つものであり、その人にしか出せない唯一無二ものがある。

そんなことも実感できました。

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