見出し画像

【一人論文抄読会】vol.3〜広範な虚血を伴った急性期脳梗塞に対する血管内治療って。。?

NEJMからの論文です。


ではまず、要約から…


背景
急性期の脳梗塞に対する、血管内治療は、その梗塞範囲が広い場合は、避けられてきたけど、大きな梗塞に対する通常の治療と血管内治療を比べたら実際どうなのか、というのは十分に研究されていない。


方法
・多施設、オープンラベル、無作為化臨床試験、日本での研究。
・大血管での閉塞、画像上での広範な梗塞がある患者が対象。
⇨画像上の広範な壊死:ASPECTSが3〜5
(ASPECTS:梗塞の程度を0〜10で評価したスケールで、低いほど悪い)
・患者の振り分け
⇨FLAIRで初期変化がなかった場合は24時間以内、又は病状が安定してから6時間以内に、血管内治療+通常の治療、通常の治療のみ、の2群に1:1で振り分け。
・両群とも、適切な場合(国試的には、4.5時間以内とか。。?)には、rt-PA(アルテプラーゼ)を投与した。
(まぁ、、ちゃんと治療した上でやってるよ!ってこと。。)
・主要アウトカム(何を持って結果を評価するか)は、90日後のmRSで0〜3点とした。
※mRS:脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経疾患など、神経運動機能に異常をきたす疾患の重症度を評価するための0〜6段階のスケールでスコアが高いほど悪い
・副次的アウトカム(主要アウトカムの補強)は、90日後のmRSスコアが良くなっていること、48時間後のNIHSSスコアが8点以上改善すること、とした。
※NIHSS:脳卒中神経学的重症度の評価スケール。0〜42点で、高いほど悪い。


結果
・被験者:203人
(101人が血管内治療群、102人が通常治療のみ群)
・それぞれの群で、27%の患者さんが、rt-PA投与を受けた。
・治療後90日で、mRSスコアが0〜3だった人(主要アウトカム):
⇨血管内治療群31% vs 通常治療のみ群12.7%
(相対リスク2.43;95%信頼区間[CI], 1.35~4.37;P=0.002 )
・mRSの改善程度(副次的アウトカム)も、大体は、血管内治療群の方がいい傾向にあった。
・NIHSSの8点以上の改善(副次的アウトカム)
⇨血管内治療群31% vs 通常治療のみ群8.8%
(相対リスク3.51;95%信頼区間[CI], 1.76~7.00 )
・頭蓋内出血
⇨血管内治療群58% vs 通常治療群31.4%


結論
広範な脳梗塞患者への治療では、通常の治療より血管内治療の方が、機能的転機は良かったけど、頭蓋内出血は、血管内治療の方でより多かった。


以下詳細….


背景詳細
・血管内朝は、大血管閉塞による急性期脳梗塞に対しては、標準的治療の1つになってる。
・ガイドライン上では、中大脳動脈や内頸動脈のM1セグメント(主幹部)に閉塞がある時か、画像所見でそんなに梗塞部(虚血中心部)が大きくない時に血管内治療を考えるのが推奨されてる。
※画像所見でそんなに梗塞部が大きくない、とは。。
⇨ASPECTSで6以上か虚血中心部と低灌流のミスマッチがある時。
・広範な梗塞(例:ASPECTで5以下)のケースでは、再灌流後の出血が怖いから、血管内治療は臨床試験適応外か、やっても少数。
・観察研究込みの、メタ分析では、ASPECTSが5以下の患者でも、通常の治療だけより、血管内治療もやった方が、90日後の機能的な転機が良くて、死亡率も低いことが示唆されている。
てことで、、
この研究では、大血管閉塞や広範な虚血(ASPECTS3〜5)の患者さんに対して、通常の治療のみの場合と比べた、血管内治療の硬化を評価することを目的とした。
※ASPECT2以下の患者さんは、流石に、梗塞の範囲が広範すぎて、機能の改善が見込めないから、評価対象外とした。


方法詳細
・日本の45病院で実施、オープンラベル、無作為化臨床試験(RCT)、資金源はNGOで、全く企業は関係してない。

・患者さん(被験者)について:
✅急性虚血性脳梗塞を発症
✅18歳以上
✅NIHSS 6点/42以上
✅発症前mRSは0か1点(障害のない人だった、てこと)
※障害が、、0点:ない、1点:臨床的になし、2点:軽度、3点:中度だが一人で歩ける、4点:中度〜重度、5点;重度、6点:死亡
✅CTAかMRAで、内頸動脈か中大脳動脈のM1部位に閉塞がある
✅CTかDWIでASPECTS 3〜5
✅発症から6時間以内に治療開始できた場合か、
FLAIRで急性期梗塞が除外できて、発症から6〜24時以内に治療開始できた場合か、
治療開始後60分以内に血管内治療を開始できた場合
✅CTかMRIで、ミッドラインシフトがある臨床的に有意な脳腫瘍とか、急性頭蓋内出血があった場合、治験担当医師が出血リスクが高いと考えた場合は、除外。

・データ収集について:
✅登録、無作為化、データ収集は電子データ収集システムを使用。
✅無作為化は、確率的最小化アルゴリズムを用いて、
・年齢(75歳未満または75歳以上)、
・発症から病院到着までの時間(120分未満または120分以上)、
・入院時のNIHSSスコア(21未満または21以上)、
・rt-PA使用
に基づいて実施して、病院内の試験グループ割り当てのバランスをとった。
1:1で、無作為に
血管内治療+内科的治療(血管内治療群)vs   内科的治療群
に割り当てて、比較。(オープンラベル)

✅rt-PA適応がある患者は、日本のガイドラインに従い、主治医判断で治療した。(やることはやった。。と)
内科的治療とは、ステント留置、脳血栓、吸引カテーテル、バルーン血管形成術、頭蓋内ステント、頸動脈ステントで、どれをやるかは、主治医判断に依った。
✅それ以外の医療処置は、両群とも、米国心臓協会と米国脳卒中協会のガイドラインに従った。

・結果について:
✅主要アウトカムは,脳卒中発症90日後のmRSスコアが0~3点で評価。 
✅副次的アウトカムは,90 日後のmRSスコア0~2 点、もしくは点数が良くなってること,治療して48 時間後 のNIHSSが8点以上良くなってること、で評価。
✅安全性は、治療して48時間以内にNIHSSスコアが4点以上悪化した症候性頭蓋内血腫(実質血腫タイプ2、梗塞領域の30%以上に血栓があり空間を占有すると定義)とした。



だいーぶ前に書いてたやつの成仏。。

最後まで書いてないけど、、とりあえず、もうこれはこれでいいやw






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?