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【マーケ基礎】目の前のチャンスを逃していませんか?

ある日、契約しているA生命保険の外交員から
電話がありました。

「契約継続の明細書をお届けしたいのですが……」。

電話を受けた家内は何も考えずに、
「ハイ、わかりました」。

私は、また別の保険を勧誘されるのかと思い、
うんざりしていました。

しかし、やって来た外交員は、
本当に明細書を渡すだけで帰ってしまいました。

“良かった”と思う反面、拍子抜けです。

逆に、どうして勧誘しないんだ?という思いも。

私や家族の年齢なども知っているはずですから、
中高年向けの新しい保険などを勧めるチャンスです。

いま、さまざまな保険商品が出ていますから、
契約を取らなければいけないはずです。

せめて、パンフレットや保険の設計書を
置いていくべきなのです。

歳を取ると、いろいろ不安も出てきて、
新しい保険への加入を考えている人も多いと思います。

このチャンスをみすみす逃しているのです。

保険の話だから関係無いと思わないでください。
モノを売っているお店でも同じです。

フラッと立ち寄ったお客さまが、
何も買わずに出て行こうとした時、
あなたは黙っていますか。

無理に引き留めろとか、
商品を無理やりお奨めしろ、
と言っているのではありません。

たとえば、
自分のお店の商品やサービスのことを書いた
オリジナルチラシといっしょに、
「割引券」や「サービス券」を手渡すのはどうでしょう。

“これ、良かったら次回にお使いください”
と渡すのです。

お客さまから見れば、
“何も買っていないのに、サービス券をくれた”
という小さな感動が生まれるのです。

サービス券というのは、なかなか捨てられません。
金券と同じですから。

この外交員は、もうひとつミスをしています。

来た時に、うちの敷地内に眼鏡を落としたらしく、
後から電話がありました。

電話を受けた家内は、“わざわざ”探しに出て、見つけ、
あったことを伝えると、「取りに伺います」と外交員。

私は、すぐにやって来ると思ったのですが、
その日は来ませんでした。

家内は、眼鏡にキズがついてはいけないと思い、
ティッシュにくるんでおきました。

次の日朝一番に来ると思いましたが、来ません。
やって来たのは、外回りの終わった夕方でした。

丸1日以上、お客さまに迷惑をかけました。

また、“何か粗品でも持って来るかな”という、
私のいじましい気持ちも見事打ち砕いてくれました。

やって来た外交員が発した言葉は、
「すみません。ありがとうございました。
これが無いと困るんです」
これだけです。

遅くなったことを詫びるでもなく、
ティッシュでくるんだことへの感謝もなく、
もちろん粗品もなく。

困るのなら、
もっと感謝の気持ちがあっても良いと思うのですが。

感謝しろ、と思っているわけではありませんが、
あまりにも失礼です。

探させた上に、ティッシュでくるんでもらって、
自分の都合でお客さまを待たせたのです。

これが、営業のプロだと言えるでしょうか。

ここで、逆のことを考えてみてください。

もし、探していただいた手間を考え、
ティッシュの気遣いを感謝し、
その日のうちに伺い、お礼の品をお渡ししていたら……。

お客さまの評価は、180度違ってきます。

“なんて丁寧な人だ”“気が効いているじゃないか”
“今度保険に入るなら、あの人に相談しよう”
となります。

本当は当り前のことをするだけなのですが、
常識の無くなっている世の中では、
この当り前のことでさえ、人々は感心するのです。
↑これは、重要なポイント。

昔、保険の外交員に聞いたことですが、
“この仕事は歩合制なので儲からない、
儲けているのはごく一部だ”そうです。

ごく一部のやり手が、年収1千万以上をもらい、
あとはものすごく安いそうです。

この“ごく一部”の方は、
口がウマいというだけではなく、
気遣いができる人なのです。

私が会社勤めをしていた時に
入っていた保険の外交員の方は、
この“ごく一部”だったようです。

とにかく、気遣いがありました。

用は無くても、私のデスクに挨拶に来ます。

にこやかに世間話をしていきます。
身銭をきった粗品を置いていきます。

たまに、勧誘もしますが。

私もつい保険に入ってしまいました。

自らチャンスを創り出し、
そのチャンスを生かしています。

今回うちに来た外交員は、眼鏡を取りに来た時にも、
パンフレットや設計書を置いて行きませんでした。

目の前のチャンスをどうして逃すのでしょう。

話す機会、親しくなる機会だったのです。

お店の場合でもそうです。

お店に入って来たということが、
どれほど大きなチャンスであるのか。

お客さまに来ていただくことが、どれほど難しいかは、
あなたはよくご存じだと思います。

このチャンスを逃してはいけません。

でも、注意してください。

しつこく勧誘してはいけません。
嫌われます。

じっくりと作戦を立て、
さりげなくお客さまに接近してください。

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