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植物雑記

2022年9月6日(火) 晴れ
アサガオが一輪咲いている。ビロードのようで美しい。ベランダで育てているアサガオは「残月」という青色の品種なのだけど、その青色が深いのは咲き始めたばかりの朝に限る。夕方になるとすっかりピンク色に変わってしまうし、不思議なもので咲くまえの、日が昇らないうちのツボミのときもまだピンク色なのだ。(その状態におけるピンクのツイストも美しいのだが) その青色はiPhoneのカメラで撮ってもあまり映ることがなく、つくづく青色とは謎めいた現象だと感じる。ちなみに、ビロードはポルトガル語、ベロアはフランス語、ベルベットは英語だといまインターネットで調べて知った。すべて同じものを指しているようだ。日本語では「天鵞絨(てんがじゅう)」と表記するらしいが、wordでは変換もされなかった。
これから咲こうとしている小さなツボミもいくつか確認できるけど、あきらかにピークは過ぎ去っていて、葉っぱが黄色くなり、自然と落っこちるようになってきた。真夏のそれと比べるとだいぶ風通しの良い姿になっていて、あぁもうじき秋がやってくるんだなと実感する。昨年は種を収穫しそびれてしまったので、今年のアサガオは一昨年の種から育ったものだ。植物は強い。今年はいまのうちから準備して、忘れずに種を収穫するつもり。

ミニトマトは7月の中頃から鈴なりに実って、たくさん収穫して食べた。育てるのはたぶん三年目になるけれど、これまでで一番順調に育ったので嬉しかった。一年目は水をやりすぎないことを学習し、二年目はためらわずに枝葉を切ることを学習した。今年学習したのは、種を植えるのは早ければ早い方が良いということだろうか。土に放っておけば、芽を出すタイミングは植物が勝手に決めるのだから。

ナスは今年で二年目だったような気がする。一年目は苗を買ってきて途中から育てたけど、今年は種から育ててみることにした。なかなか花が咲かなくてもどかしい気持ちにもなったが、8月に入ってからぐんぐんと生長しはじめた。毎年思うけれど、日本の夏はもうこれまでと同じようにはいかないのだろう。蚊も飛ばないような暑さだ。種のパッケージには「何月が撒きどきです」「何月頃に咲きます」と書いてあるけれど、それっていつの日本のことなのかと疑わしく思う。そんなネジのはずれた暑さのなかでもナスは無事に収穫できて、焼いて食べたらちゃんとおいしかった。

今年になって初めてチャレンジしたのがバジルとオクラで、特にオクラはいま一番のお気に入りである。最初はひょろっとして頼りなくて、支柱としてプラスチックのスプーンを鉢に刺しておいた。それが8月に入ったあたりから急激にたくましくなり、いまや竹を思わせるような立派な茎を持っている。(プラスチックのスプーンは彼が幼かった頃の思い出としてそのままにしている) それと、黄色い花がかわいくておもしろくて好きだ。オクラはアフリカが原産地らしいのだけど、どことなく南半球の風情を感じさせる。俺が生まれたときはもう当たり前のように食卓に並んでいたけれど、オクラが日本に普及したのは1970年頃だという。すでにふたつ収穫して、さっと茹でて食べた。とてもおいしかった。
それにしても、オクラのなりかたは意外だった。実際に育ててみるまでは、ナスのように下向きに実がなるものだと思っていた。それが花が咲いたのと同じ向きに、屹立するように生長していくのだから驚いた。あ、あと、オクラの茎や葉っぱのいたるところに1mmほどの透明な球体がくっついていて、はじめはそれを虫の卵だと思って拭き取ったり洗い流したりしていたのだけど、インターネットで調べてみるとそれは「ムチン」という粘性のタンパク質だとわかった。(正確には、ムチレーゼという植物特有の粘液だそう) いまも新たに一輪の花が咲いているので、オクラになったらそれを食べるか、果実が落っこちるまで見守ってみるか、迷っているところだ。

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