クソイグアナ男

クソイグアナ男

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普通卒業

ただの社会人。ただの人。ただの男。何者でもない者が書くエッセイに、価値はあるのだろうか。 いや、価値なんかあるわけがない。何者でもない者が書くエッセイは、ただの日記と同じだ。 友達でもない人間の日記に興味が湧く人はきっと世界中で僕かどっかの物好きな変態くらいだろう。価値も需要もないのに、それでもなぜ僕は毎日エッセイを書き続けているのだろう。 それはきっと「何者かになりたい」という欲求を捨てきれていないからだ。社会の歯車として生きていく覚悟を決めたはずなのに、どうしても捨

    • 【恋愛コラム3】どんなに辛くても元カノには連絡するな

      恋愛コラム第3回。今回のテーマは「どんなに辛くても元カノには連絡するな」です。 振ったのか振られたのか、別れ方はどうだっていいんですけど。 日常の隙間、ふとした瞬間に元カレ元カノに連絡したくなったりしませんかね。僕はめちゃくちゃしたくなっちゃうタイプの人間だったんですけど。 気の合う友達と酒飲んだ帰り道とか。夕立に濡らされて駆け込んだ軒先の下でとか。ほんの少しの昼寝のつもりが夜中の1時に目が覚めて、絶望しながら寒々とした部屋でカップ焼きそばを啜っているときとか。なんかこ

      • 【恋愛コラム2】その別れは正解にしていくしかない

        恋愛コラム第2回は「その別れは正解にしていくしかない」です。 好きな人と付き合ってそのまま結婚まで事が運ぶってまあないですよね。 何らかの理由で9割方別れが来るはず。 で、その理由ってのがめちゃくちゃ重要で、例えばあなたが浮気された側の人間だったとして。 「許せない! 別れてやる!」って感じの終わり方だったらまあいいんですよ。 でも恋愛の終わりって全部が全部そういう大きな決定打で決まるわけじゃないじゃないですか。 小さな不満がつもりつもって、関係性に亀裂が入って修

        • 【恋愛コラム1】人の助言は聞かない方がいい

          「なんかこいつ急に変なことやり出したな」と思う方もいることでしょうが、「そんな時期もある」程度に腑に落としてくれるとありがたいです。 さて、今日から恋愛コラムなるものを投稿していきます。今回が1ということは次回は2であって、3も4もあります。 ぶっちゃけ100くらいまであります。乞うご期待。 「人の助言は聞かない方がいい」 人は恋をすると周りが見えなくなり、自分を見失いがちです。 僕は20代前半の頃、半年くらい友達からの誘いを断り続けた経験があります。彼女との時間を

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          通りゃんせ

          気温の低い一日だった。朝から風が強く、コートを着て家を出るべきだったと後悔しながら道を行く。 親友の結婚式に参列するため、電車に乗り新宿を目指す。 実は春に引っ越しをした。新宿から二駅のところに住んでいる。 ものの10分で新宿に着く。 電車を降り、ホームから改札までの階段を登りながら、はたと思った。これって過去の自分からすれば、かなり凄いことなんじゃなかろうか。 東京の端っこで生まれ育った僕にとって、新宿やら渋谷といった所謂”都心”は縁のない土地だった。 もちろん

          あの元カノがついに結婚したのだが

          「A子、結婚したみたいだな」 僕の元カノのA子が結婚したそうだ。友達からのLINEで知った。 「しかし感慨深いよな、A子が結婚なんて。近い存在だったから妙にリアルでさ」 A子は中学校の同級生であり、僕の人生でできた初めての彼女だった。 「そうだな」 一言返信し、スマホを閉じる。 元カノの結婚報告を耳にするなんてベタなシチュエーション、生きていればまあ1回はあるだろう。 子供の頃、もし自分がその状況になったら、どんな気持ちになるのか考えたりしたものだ。 悲しい気

          あの元カノがついに結婚したのだが

          「夏が来た」と君は言うけれど

          窓の外を眺めている。窓の外の青い空に浮かぶ、見方によってはアヒルの形に見える雲を眺めている。 見始めた時はハートの形をしていたが、徐々に変形してアヒルになった。 あと数分もすれば再び形を変え、今度はヘビになるのではないかと予想を立てる。 目が覚めてから3時間が経過した。僕は依然、ベッドから抜け出せずにいる。直近30分は雲を眺めていただけだ。 こんな事をしている場合ではない。小説を書かなければならない。 書かなければならないと思えば思うほど、現実から目を背けたくなるも

          「夏が来た」と君は言うけれど

          バイビー。

          僕が書いたエッセイを読み終えた友人が、テーブルにスマホを置いてホットコーヒーを一口含んだ。 「うん。いいじゃん。読みやすくて面白かったよ」 ここ数年間、ほぼ毎日文章を書いてきて分かったことがある。 上手いか否かは別として、1000字前後のエッセイだったら人を楽しませることができる。 その力が僕にはある。 「でも、そんなんじゃダメなんだよな」 「へー、こんなんじゃダメなんだ」 僕の発した言葉は咀嚼されず、ほぼ原文ママで打ち返された。 「誰も俺の日常には興味がない

          「私たちの人生は、交わろうとしなければ交わらなかった」

          去年の今頃何をしていたか、スマホに保存された写真を見返してみる。 大好きな友人の結婚式でダンスを踊ることになり、練習に明け暮れていた。 たった1年前のことなのに、懐かしくて、遠い昔のように感じる。 そう感じたのは、この1年の間に、自分の中の世界が大きく変わったからだ。 いや、大きく変えられたからだ。変えてくれた人と出会ったからだ。 仕事もプライベートも充実していたが、ふとした瞬間にある女性のことを思い出しては心臓が重たくなり、病み、布団で寝込む日々。 微かに感じて

          「私たちの人生は、交わろうとしなければ交わらなかった」

          秋と青いジーンズ

          いつの間にかクーラーを点けなくても生活できるようになった。 時折吹く柔らかな風が運んでくる切なげな香りが、秋の訪れを人類に告げる。 ただ散歩しているだけで心地いい。 考えても考えてもありきたりな言葉しか思い浮かばなかった。 「ありきたりな言葉しか思い浮かばなかった」という一文すらありきたりだ。とにかく何も考えることができなかった。 ここ5日間でエッセイを13本書いた。本気で取り組もうと思えばやれるものだ。 ただ13本全部、今投稿できる内容ではないので無駄でしかなか

          秋と青いジーンズ

          【小説】ハイボールで世界平和チャキチャキ教

          郵便受けの中に、自宅の鍵がむき出しで入っていた。 手紙が添えてあるわけでもなく、プチプチで包装されているわけでもなく、ただ一本の鍵が底に置かれていた。 「不用心だなぁ」と私は一人呟いた。もし他の誰かが郵便受けを開けていたら、盗まれてしまったかもしれないのに。 ケイちゃんには、そういう想像力を働かせることはできない。 まだ小さな火が点いているタバコの吸い殻をゴミ袋に捨てたり、トイレットペーパーを乱暴に千切ったり、私が生理なのに気にせずセックスしようとする、ケイちゃんそん

          【小説】ハイボールで世界平和チャキチャキ教

          グググ

          「俺さ、彼女できるかもしれない」 「おーよかったじゃん」 人生で唯一の不安が”結婚できるかどうか”だった友人に彼女ができる。大変喜ばしいことだった。 「でさ、早くて来年結婚するわ」 「は?」 “結婚ダービー”なるものがこの世に存在していたら、大外まくりもいいとこだ。 「でさ、結婚したらすぐ子ども作るわ」 「え?」 話は“結婚ダービー”どころか”ベイビーダービー”になってしまった。 よくよく聞いてみると相手の女性が年上で、結婚にも出産にも焦りを感じているそうだ

          君の眼球を舐めたい

          彼女の眼球が好きだ。 多分痛いだろうからしないけど、本当は眼球をぺろぺろ舐めたい。 でもストレートに「君の眼球を舐めさせてほしい」なんて言ったら「お前頭トチ狂ってんのか」とドン引かれるに違いないので、どうにかしてやんわりと伝えどうにかしてぺろぺろ舐める方法を模索している。 何か良い方法はないだろうか。 そうだ。彼女が夜ご飯を作っている最中に後ろから抱きしめて、考えうる最大級の愛の言葉を伝えた後にぺろっとするのはどうだろう。多少痛くても「も〜(笑)」で許してくれるのでは

          君の眼球を舐めたい

          金曜日の夜は君の隣で

          「パンの耳はあった方がいい? ない方がいい?」 「んー、じゃあない方で」 明日の朝、たまごサンドを作ってあげると君は言った。 金曜日の夜、君の家に泊まることが習慣となってからどれくらい経っただろう。 僕らの出会いはマッチングアプリだ。世間的に言えばまだまだ認められたものじゃないかもしれない。 それでも君は「マッチングアプリで出会うって、普通に出会うよりも奇跡みたいなものじゃない?」と笑いながら話す。 確かに僕らは同じタイミングで同じアプリを始めて、お互いが"いいな

          金曜日の夜は君の隣で

          3年前の君に捧ぐ

          今の彼女と付き合う2ヶ月前のこと。3年間引きずり続けた元カノから突然連絡が来た。 仕事が終わり家に着き、ふとスマホを確認すると見覚えのある名前からの着信。 「えっ」と思わず声が出た。彼女は相変わらず「電話してもいい?」の断りがない。 心臓の高鳴りを感じながら、恐る恐るかけ直す。 「もしもし?」 「あ、もしもし」 「え、どうしたの急にかけてきて。なんかあった?」 「ううん、別に。てかよかった。無視されるかと思った」 無視するわけがない。僕は君のことを3年間も待ち

          3年前の君に捧ぐ

          洋菓子店のオシャレなケーキの名前を口にするのが恥ずかしい

          食に一切興味がない人間なので、食事は一年中卵かけご飯でも構わないと思っていた。 そのことを彼女にカミングアウトしたところ「信じられない。私なんて美味しいご飯を食べるために生きてるのに」と言われ、心底驚いた。 そうか。女性は美味しいご飯が好きなんだな。だったらたくさんお店を調べて、美味しいご飯をご馳走してあげよう。 なんてことを考えてしまったもんだから、ここ最近の休日はネットで専ら美味しいご飯屋さんを検索している。 今日は彼女の家に泊まるので、手土産にケーキでも買ってい

          洋菓子店のオシャレなケーキの名前を口にするのが恥ずかしい