パックに収まったアサリが海とつながらない
店頭で久しぶりにアサリを見かけた。
産地偽装事件の影響だろう。綺麗なパックに収まった姿は、別物のように感じた。
自分にとってのアサリは、海の記憶と重なっている。
好き嫌い (2020.6.14記)
紫陽花が色づく頃になり、今朝は孵化したばかりのカマキリの幼虫を見た。もう旬とは言えない時期になって、地元産のアサリがやってきた。
歴史的な不漁だった昨年より実も味もいいらしい。
ビールで乾杯のあと、まず日本酒の酒蒸し、そして白ワイン蒸しの順で味わう。明日の朝は、赤出汁の味噌汁にしてくれるらしい。それでも残るから、冷凍にして、来週はパスタだそうな。
子供の頃、アサリが大の苦手だった。
「内臓もそのまま食べるの?」
「えっ、何、このにがい味」
”ガリッ”
「砂が入ってるよー!」
何も残さないのが方針だった中学校の給食では、周りにさとられないようクラムチャウダーを牛乳で流し込んだ。
近場の磯は、幼い頃からの遊び慣れた場所。
「ガァーと表面を掻いて、チョット頭が出ているのがアサリ」
垂直に土に潜るアサリの生態を、母から仕込んでもらったおかげで、潮干狩りは得意種目。一口も食べないくせに、石の多い難所でも沢山取った。
酒呑みがこうじて、いつからか苦にせず食べるようなった。異国暮らしも経て、今は早春の新鮮なアサリの美味さもわかる。
「お前がオレの良さをわかってなかっただけ」とアサリに叱られそう。
好き嫌いなんて、ずいぶん勝手なものだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?