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あんただってそうだろ 策士Amazon

先日Amazonで本を買った。
「スコセッシはこうして映画をつくってきた」って本。

俺はマーティン・スコセッシの映画が好きでよく観てる。
代表的なのはやっぱり「タクシードライバー」だけど、俺は一番「グッドフェローズ」が好きだな。
あんたはどうだい?

そんなスコセッシの映画術を知れるとなれば買うしかない。ちょっと昔の本で3600円もしたけどまぁいい。金額を上回る価値がある。
別に映画を撮る予定もないけど、好きな作家の頭の中を覗けるんなら俺はいくらだって払うよ。

そんなこんなで本が届いた。
Amazonの紙袋をちぎる時のあのワクワク、たまんないよな。
びりびりと切り目に従って封を切る。
ついにスコセッシ本とご対面。
高鳴る胸の鼓動、知的好奇心がうずき、脳内が活性化するのが分かる。
「タクシードライバー」の秘密が、「グッドフェローズ」に込めた想いが、偉大なる映画人スコセッシの情熱が、封から勢いよく飛び出してくる。

ぶ…

ぶあちぃぃ…
すっごい分厚い…

「スコセッシはこうして映画をつくってきた」は鈍器系のかなり分厚い本だったんだ。
Amazonの商品ページではもちろん表紙しか載っていない。
俺はまんまとはめられた。
Amazonは利用しやすい。一体どういうシステムなのか分からないスピードで届くし、決済ももうちょっと色々確認してくれても良いくらいさくっと買える。
でも一つだけ言いたいのは本の分厚さまでちゃんと写真で伝えるべきって事。

なぁ、あんただってそうだろ?

本を読むのは嫌いじゃない。しかも敬愛するスコセッシの本だ。
しっかりと噛み締めて、内容を理解して、そして新しい目線で「タクシードライバー」や「グッドフェローズ」を観れる。
俺にとってそれはとても幸せなことだ。
いやでもさすがに分厚すぎる。
もうちょっとコンパクトにできたはずだ。

俺は深く深呼吸をしてとりあえず本棚にそっと入れておく事にしたよ。

読んだ本を本棚にしまう時って独特の満足感と達成感があるよな。
でも今は読んだ本をしまうと同時に1ページも読んでない「スコセッシはこうして映画をつくってきた」が鎮座している。
もはや読みたいとかそういう気持ちではなく「何度見ても分厚い」という印象しかない。

今日も俺の本棚には「スコセッシはこうして映画をつくってきた」が置かれている。
でも未だに俺は、スコセッシがどうやって映画をつくってきたか知らない。

人は全てを知りたがる。
なんで?どうして?どうやって?
でも皆、そこにどれくらいの理由があるのかを考えてもいない。
とても一人で抱えきれない秘密が無数にある可能性を全く考えていない。
自分のキャパシティを超えた重すぎる理由や秘密を、あんたは一人で抱え切れるかな?
俺にはできない。
全てを知ろうなんてすごく愚かな事だって、俺はそう思うよ。

なぁ、あんただってそうだろ?

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