見出し画像

2016年1月14日

人は寂しさに向かって死んでいく動物。生まれた瞬間は大抵が無償の愛に包まれるものだし、始まったばかりだから終わりなんて見えない。たとえばいつかの家族写真の話をすると、若者たちが出会い、恋をして、ひとりか二人の子を授かったとして、あの頃は無限に続く幸せについて信じて疑わないだろう。けれど子はいずれ巣立たなくてはならない。かつて世界一幸福だったはずの家庭は、また振り出しに戻って君と僕しかいなくなった。そしてその寂しさは子供たちへの愛を以って噛み殺さなくてはならない。そうやって砕けた無数の寂寥が優しさに熱せられ気化する水色の集まりを見上げて人は、「今日も天気が好いですね」と笑うんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?