歩行で重要なのは「立脚後期」が作れていること。

歩行で一つ重要なことをあげるとしたらなんであろうか?

私は「立脚後期が作れていること」だと思っている。

「立脚後期が作れている」とは具体的に立脚側の

①股関節が伸展され
②膝が伸ばされ
③踵が坐骨と一番遠い

状態になっていることを指す。

このことを機能解剖的にもう少し説明を加えていくと、

①股関節が伸展されている、とは、腸腰筋が十分にストレッチされた状態であること。

②膝が伸ばされている、とは、そのままではあるが、完全伸展のことで、ハムストリングスが伸ばされ、VMがある程度Settingされた状態であること。

③踵が坐骨と一番遠いというのは、②に続き、膝が完全に伸ばさているのでハムストリングスが伸びているのと同時に、下腿三頭筋もしっかりと伸ばされているということである。このためには足関節としても背屈位が取られる必要がある。つまり歩行中の表記ではフォアフットロッカーがしっかりと聞いた状態ということである。

概ねこの①−③が同時に達成されていることが良いと今のところ考えている。これらが同時に起きていることの重要性は①腸腰筋②ハムストリングス③下腿三頭筋、これに加えて正確には足趾屈筋がすべて「伸ばされている」と表記した、つまり遠心性に繋がっていることである。

これら上記の遠心性に繋がった筋肉は「バネ」のようで、つまり立脚後期の最後でこれが最大限伸ばされた状態になる。遊脚期はこの伸びたバネが急激に縮まるようにして、足が前に出されてる期のことと言い換えることができる。

先程の①ー③ができていない症例は日常的によく経験する。

立脚後期で、

①股関節の伸展がなく、
②膝が曲がり、
③足関節が背屈もされていない(距骨の上から脛骨が乗っかったまま動かない)

ような症例はみなさんも日常的に経験するだろう。

これらの現象をまた機能解剖的に掘り下げたい。

①股関節が伸展していないというのは、つまり先程の腸腰筋が伸ばされていない状態で、バネとしての腸腰筋が使えておらず、大臀筋の活動も乏しいことに想像に難しくない。では立脚後期で大臀筋が求心性収縮で積極的に股関節を伸展させているか?と聞かれるとなんとも微妙なところではあるが、いくらかは効いているのだろうと思っている。ただ臀筋が弱い高齢者などは全く効いてないだろうと思っている。理想としては大臀筋もいくらか効いて、股関節を伸展させ、バネとしての腸腰筋を最大限利用していると考えている。

②膝が曲がっている状態。先程膝が伸びている状態ではVMがSettingされていると言った。それでは膝が曲がっているとどうなるかというと、曲がった「折れた膝」を大腿直筋が代償として働き、立脚後期までを維持する。

③足関節は底背屈が概ね0度くらいで、角度どうこうより筋の活動があまり起こっておらず、上述したフォアフットロッカーも起こっておらず、立脚後期でただ距骨の上の脛骨が通過していっただけの状態だと考えられる。アキレス腱障害はここのフォアフットロッカーが機能するところで足関節背屈が受動的に起こっているところを足関節の底屈で起こそうとしている。

このような症例ではだいたい立脚期で体幹の側屈、いわゆるドシャンヌ歩行を併発している。またこのような症例はそもそも「立脚後期」があるという表現すら適切とは思わない。

こんな特徴があるとまとめられます。

さて。簡単ですが今回は以上です。

これらを踏まえて③をもう少し細かく足部がどうなってる、腹部体幹がどうなっているという話もまたできたらいいと思います。

これらを踏まえると見えてくる運動療法もあると思います。

皆さんの臨床感とは近いところはありましたでしょうか。

これらの特徴からまだ運動療法などの本質を探っていきたいと思っていますので、もしよければフォローお願いします。

↓次の記事です。


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