_5サムネ

#5 漫画動画原稿

飛行機ってなんで飛ぶ?“空の安全”の為に大切なこと

今や人々の生活に欠かすことのできなくなった飛行機。
旅行者の数は年々増え続け、2017年の年間訪日外国人の数は約3000万人、出国日本人の数も、1800万人近くに達しています。(日本政府観光局JNTO調査より)
島国で生きる日本人にとって、飛行機の発明は他国との橋渡しを容易にし、人々の生活に大きな変革をもたらしました。
そんな世紀の大発明となった飛行機ですが・・・。
そもそも飛行機はなんで飛べるのでしょうか?
その「仕組み」に迫ります。

※ストーリーを書くにあたり、1985年8月12日に起きた日航機123便墜落事故の事を題材にさせていただきました。事故で亡くなったすべての人のご冥福をお祈りすると共に、全ての交通機関の安全と健全なる発展を心よりお祈り申し上げます。

<登場人物>
高野 洋平(47) パイロット。操縦士歴10年。10年間一度も無事故無過失のベテランである。「操縦士は人命を預かる仕事」をモットーに仕事をしている。
高野 勝子(44) 洋平の妻。
高野 雄太(14) 中学2年生。パイロットとして働く父を誇りに思っている。
高野 志保(6)  小学1年生。飛行機が大好きな、好奇心旺盛な女の子。

洋平「ただいま~」
勝子「おかえりなさ~い!」
雄太「お父さん、お帰り!」
志保「パパ、おかえりなさ~い!!」
洋平「おお、ただいま!二人ともまだ起きてたのか。」
雄太「当たり前じゃん。もう子供じゃないし、宿題だってやんなきゃいけないんだから」
志保「パパが返ってくるの待ってた~!!」
洋平「ははは。そうか。ご飯はもう食べたのか?」
勝子「まだよ。二人がお父さんが来るまで待つっていうものですから」
洋平「そうか。待たせて悪かった。それじゃ、飯にしようか!」
雄太&志保「うん!!」

 一家団欒で晩御飯。

雄太「パパ、今日のフライトはどうだったの?」
洋平「ああ、順調だったよ。大きな乱気流もなく、快適な空の旅だった。快晴だったから、地上も本当によく見えて綺麗だったぞ。」
雄太「へぇ~すっげぇ!俺もいつかそんな景色が見てみたいな」
洋平「おお、そうか?パイロットになるには、多くの試験があって、いろんな勉強をしなくちゃならない。目もよく見えなきゃいけないし、何より一番大切なものが何かわかるか?」
雄太「人命第一。だろ?いつも話してるじゃん。」
洋平「そうだ。パイロットってのは一度に何百人ものお客さんの命を預かる仕事だ。華やかな仕事に見えるけど、その裏では物凄く重大な責任を背負う仕事なんだよ。」
雄太「でも、パパは毎日そんな何百人の乗客を無事に送り届けてるんだろ?俺、そういうのカッコいいと思う。」
洋平「こら、あんまりおだてるんじゃない」
勝子「何言ってんのよ。本当は嬉しいくせに」
洋平「ん?うん・・・」
雄太「あはは。」
洋平「とにかく、パイロットになりたければ、誰よりも勉強して、いい成績を取らなければだめだぞ」
雄太「はーい。」
志保「ね~パパ。飛行機はなんでお空を飛ぶの~?」
洋平「ははは。志保は、好奇心旺盛だなぁ」

 嬉しそうに笑う洋平。

雄太「でもそれ、俺も気になる!色々調べたりもしてるんだけど、難しくてよくわかんないんだよね」
勝子「偉いわね~雄太。」
洋平「よし!それじゃあ二人に分かりやすく説明してあげよう」

 洋平、小さな飛行機のプラモデルを持ってくる。

洋平「(豆知識①)飛行機には、大きく分けて4つの力が働いてるんだ。
ジェットエンジンで前へ進む“推進力”、風の空気抵抗で受ける“抵抗力”
下に引っ張られる“重力”そして、飛行機が空へ浮かび上がるための“揚力”
リンゴが木から落ちるように、地上の物は全て、重力を受けて地面に引っぱられる。

雄太「当たり前じゃん」
洋平「つまり、空へ浮かび上がるための“揚力”が重力を上回れば、
飛行機は上へ持ち上げられて空を飛ぶことができる。じゃあ、この“揚力”を発生させてるものは何だろう?」
雄太「それが翼ってこと?」
洋平「そうだ。飛行機がジェット噴射で前へ動き出すと翼の上側と下側に空気の
流れが生まれ、上面と下面とで気圧差が生じる。この時、翼の上側がより低圧に、
下側がより高圧になればなるほど、下側の翼を押す力が強くなって大きな揚力が
生まれる。(豆知識②)翼っていうのは、そうなるように考えられて形が作られて
いるんだ。」
雄太「難しくなってきた…なんで空気が流れると低圧になったり高圧に
なったりするの?」
今はとにかく“空気が流れることで、上面と下面で気圧差が生じる”とだけ思っておけばいい。ちなみに、これを示すいい実験がある。」

 ティッシュを取り出す洋平。

洋平「(豆知識③)ティッシュを鼻に当てて下を向いて、思いっきり息を吐いてごらん。ただし、ティッシュに向けて吹くんじゃなくティッシュに沿うように真下に吹くんだ。この時、ティッシュはどちらに動くと思う?」
雄太「そりゃ、体から離れる方に動くんじゃないの?」
洋平「そう思うだろう?実際やってみるといい。」
志保「フーッ!!」

 言われたように思いっきり息を拭く志保。ティッシュは、志保の体の方に近づく。

雄太「え!?なんで??」
洋平「びっくりだろう?ティッシュは、空気の流れが速くなる
志保「おもしろ~い!フーッ!」

 何度も繰り返す志保。

洋平「つまり、空気が早く流れる方に翼は引っ張られる。
翼の上面には、それだけ空気が早く流れてるってことだ。
雄太「そうだったんだ。面白いな。」
洋平「だが、もちろんそれだけで飛行機は飛んでるわけじゃない。
飛行機を安全に飛ばすために色々な仕掛けが機体に仕掛けられているんだ。(豆知識④)飛行機の尻尾の様に、縦と横についてる翼があるだろう?」
雄太「うん。縦についてるのが垂直尾翼、横についてるのが水平尾翼だよね」
洋平「さすがよく勉強してるな。水平尾翼は機体の垂直方向の安定性を、
垂直尾翼は機体の水平方向の安定性を保つための役割を果たしてる。
(豆知識⑤)小さな揚力でもこの安定性が最大限発揮されるように、
あえて機体の中心から離れたところにつけられているんだ。」
雄太「そういうことだったんだね・・・すごいなぁ」
洋平「ああ。これらは全て、乗客に安全な空の旅を届けるための先人たちの
知恵だ。こういった素晴らしい知恵があるおかげで、人々は安全に海外と日本を行き来できる。だからこそ、飛行機のどこか一か所にでも僅かなトラブルもあってはならないんだ。(とても大切な豆知識①)日航123便墜落事故の悲劇を、二度と繰り返してはならない。」
雄太「俺はその時まだ生まれてなかったけど、動画で見たよ。物凄く多くの人が亡くなったんだよね。」
洋平「乗客乗務員計524人中520人が亡くなった、1985年8月12日に起こった歴史上最悪の航空機事故だ。機体後部の圧力隔壁の修理ミスが原因で飛行中に垂直尾翼が吹き飛ばされ、機体が制御不能に陥った。およそ32分間のパイロット達の奮闘も空しく、機体は群馬県上野村の山中に墜落し、大変な犠牲者を出してしまった。」
勝子「(とても大切な豆知識②)作曲家の坂本九さんも、あの事故で亡くなったのよね…。」
洋平「ちょうどお盆の帰省シーズンで多くの著名人を含む帰省客が乗っていたからな。」
雄太「・・・・・・。」
洋平「いいか雄太。だからこそ、パイロット、整備士を含め、航空会社に勤める者は常に、お客様の命を預かっていることを忘れてはならないんだ。僅かな気の緩みや判断ミスが、未曽有の惨事につながる。今日飛行機が安全に離着陸しているのは当たり前ではないんだという事を、常に意識しなければ。」
雄太「パパ、いつも家を出る前に、お祈りしてるもんね。」
洋平「ああ。気を引き締めるためにな」
雄太「俺、いつかパパみたいなパイロットになりたいな。今のうちに勉強して、パパから色々教わって、パパみたいなカッコいいパイロットになりたい。」
洋平「雄太・・・。簡単じゃないぞ。覚悟はできてるのか?」
雄太「当たり前じゃん。俺は、パパの息子だよ。」
勝子「・・・あなた。今、すごく泣きたくなってるでしょ?」
洋平「・・・うるさいな。」
志保「スー・・・スー・・・」

 いつの間にか寝ている志保。ティッシュで遊び過ぎて疲れたらしい。

 10年後。

勝子「雄太~!そろそろ出る時間じゃないの?」
雄太「分かってるよ!もう準備できてる!」

 スーツ姿の雄太。父が務める航空会社の入社式の日である。

勝子「いよいよあなたも第一歩を踏み出すのね。しっかり行ってらっしゃい!」
雄太「・・・うん!行ってきます!!」

 意気揚々と家を出る雄太。雄太の前途を示すように、空は青々としている。

終わり

原稿と本編は違うものとなりましたが、原稿のおかげで素晴らしい漫画動画となりました( *`ω´)

↓本編もよければみてください^ - ^

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