いじめられている?”あそび場面での知的レベル”

発達障害児が感じてしまう、「仲間外れにされた」の被害意識について。


これを訴える児童のほとんどが、本人の中では真実です。
「本人の中では」とういところがポイントです。

真実は捉え方により、各々で少しずれが生じてくるもの。事実と異なる場合もあります。
なので、事実かどうかは保護者や支援者が冷静な視点で見てあげる必要があります

私が放課後等デイサービスで体験した、小学3年生3人で遊んでいた場面を例に話していきます。

<登場児童>
A:精神面で課題のある普通学級の女児
B:発達障害があり普通学級に通う女児
C:発達障害があり支援学校に通う男児

<遊びの内容>
進撃の巨人ごっこ
役割を決め、漫画を見ながら忠実に再現している
動物などもぬいぐるみで代用し設置していた


3人で場を共有してはいましたが、いつの間にかB は一人の世界に入り込んでいました。AとCが次の遊びの役割を決めているところに、Bが「私も一緒に遊ぶ」と声を掛けます。
快く受け入れられ、Bも役割を決めました。しかし、Cから一言。
「おんぶしている人形は置いてきて、今は使わないから」と。

これに対しBはそれが理解できず、
「人形はダメっていじわるを言われた。一緒に遊びたいだけなのに!仲間外れ!」
と、支援員に助けを求めました。これに対し①人形を使い遊びたい気持ち、②一緒に遊びたい気持ちを傾聴しつつ、今は選択が必要であること、仲間外れにされていないことを伝えました。

ここでのポイントはまず安心感を取り戻すことです。
仲間外れにされた!との被害意識が強く、Aからの言葉が理解できていません。
まずは目線を合わせ相槌だけうち、気持ちを傾聴します。気持ちを受け止めてくれる人がいることで安心感を得ます。
次に、遊びには入れてもらえた、シーンに子供が出ないから今は人形を置いてくれば遊べる事を伝えます。ここでようやく理解し出来ました。

Bの勘違いした被害意識はどこから生まれたのでしょうか?
この場面を客観的に冷静に見ると、仲間外れは事実ではありません。

もともと、被害的に捉えやすい性格で、捉え方の修正も課題の一つではありました。
しかし、この時の何よりの原因は“あそび場面での知的レベルの差”でした。

実は、“あそび場面での知的レベル”は学習場面や、日常生活動作の獲得とは少し異なる場面です。なぜなら想像力が必要になるから。
役になりきった想像力、かわりゆく流れの中で自分の立ち位置を常に把握する力、相手の気持ちや行動を配慮する力、、、

特に、ごっこ遊びでは必須の能力となってきます。

友達と仲良くできない、気づいたら一人にされている…
などの悩みや課題に対して、対人関係やコミュニケーション能力が取り上げられがちです。
もちろん、そちらに特性がある子もいますが、様々な場面での知的能力も含め客観的に評価する事で見えてくるものがあります。
一般小学校に通うグレーゾーンといわれる児童の「いじめられている」との訴えには、隠れている課題や特性がたくさんあります。

いじめを肯定しているわけではありません。
事実を冷静に捉え、課題や特性を伝えることも支援の発展には必要です。
そのうえで、「どう振る舞えば一緒に遊べるのか」導いていきます。