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おもいで

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モノクロームの想い出に色を点けたもの。
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記事一覧

−乳白色− 3連コーヒーゼリー

無性にコーヒーゼリーを食べたくなって、スーパーでよく売っている、カップ3つがパックになっているコーヒーゼリーを買って食べた。 幼い頃、こんな3連のコーヒーゼリーをよくおやつに食べていた。 ぼくと兄で1つずつ食べて、余った1つをどうするかでよく紛争や協議が勃発した。 地味に開けにくいあのパックを開けるぼくの必殺技、 カップとカップの間のピンっと張っているビニール部分をスプーンで一突き。 そうすればいい音とともに開封に成功。 アルミの蓋をはがして、蓋の裏についたゼリーをスプ

−蒲公英色− 東京大学教養英語読本

市井の本屋さんで、たまに見ませんか? 「東大生にいちばん読まれている本!」 みたいなPOP。 実際のところ、東大生がいちばん読んでいる本はこれじゃないかなと思う。 その名も「東京大学教養英語読本」。 東大1年生の必修科目、「英語一列」のテキスト。 東大生なら誰しもが受講する科目で、いかに本文の内容を覚えてから試験に臨むかで結果が決まるといわれることから、「暗記一列」と呼ばれているとかいないとか。 だから、全東大生が、一度は血眼になって読んだことがあるはずである。 今は

−瑠璃紺− トマたまカレーうどん、下北沢から新代田

昨日は、心身を消耗するタスクをこなしました。 だから、自分をねぎらうために、丸亀製麺に行って「トマたまカレーうどん」を食べました。 これがめちゃウマなんです。 昨日が人生2回目のトマたまカレーうどんだったんですが、声を大にして、自信を持ってお伝えします。 めちゃウマです。 トマ&たま&カレー&うどんにしたろ!って思いついた人、天才です。 酸味と甘味と辛味と食感のバランスが完璧。 おまけに、最後に余ったカレーに浸して食べる用のひと口ご飯までついてくる。 はぁ、ため息が出るほ

−茶色− ペットボトルにお茶を入れて凍らせて

とっても暑い日に、スポーツドリンクを凍らせたやつを飲んでいたら、 小学生の頃、ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつを持って学校に行っていたことをふと思い出した。 せっかくなので、ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつについての思い出を、とりとめもなく書き残しておこうと思う。 ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつは、前日の夜に仕込む。 空いたペットボトルにヤカンから麦茶を注いでフタをして、冷凍庫に in。 ポイントは2つある。 ●絶対に満タンにしないこと!(フリではな

−煉瓦色− ビビンパ、日替わり定食、ナポリタン、キーマカレー

下書きにあったものを掘り起こしてきた。 大学院の学位記授与式が終わって実家に帰った日。 区切りなので、東大に通って良かったことを備忘録として書き残しておこうと思って書きかけたものだった。 この記事のタイトルは、学位記授与式に伴う最後の東京ステイで食べた美味しいものたち。 「東大で良かったこと」みたいなタイトルだと、そこらへんのまとめサイトみたいで安っぽくて嫌だなと思ったのでこうしたんだった。 特に深い意味はなくタイトルをつけたつもりだったけど、 1ヶ月以上経った今となっ

−黄檗色− 生き別れスーパーボール

子供の頃、ぼくのお気に入りのスーパーボールがあった。 暗闇でもんやり光る蛍光イエローで、小さくてよく弾む。 ある日、そのスーパーボールを、家の階段で跳ねさせる遊びを兄とやっていた。 最初の3、4段目までは1段ずつ跳ねながら降りていくけれど、だんだん大きく弾む。 ぼくが2階から落として、兄は1階でキャッチ。 しばらくしたら交代して、兄が落としてぼくがキャッチ。 非常にシンプルな遊びだが、2人で夢中で遊んでいた。 事件は突然起きた。 うちは年季の入った家で、階段の側面に

−若草色− ドアノブ損壊・幽閉事件

中学生の時。ある日の掃除時間。 ぼくはトイレ掃除担当だった。 予備のトイレットペーパーが少なくなっていたから、「保健室行って、もらってくるわー」と、トイレを出ようとした。 (※個室から、という意味ではなくてトイレ全体を指す) ドアノブを回して、ドアを引こうとした、その時!! ドアノブだけが引っこ抜けた。 !!?? 生まれて初めて見る、単体のドアノブである。 みんなで笑い転げた。 まあヒョイっとまた取り付ければいいんでしょ、と、そのときのぼくらは甘く見ていた。 原

−水浅葱− 理科室ムーンウォーク

みなさんは、理科室でムーンウォークをしたことがありますか? ぼくはあります。 中学校の理科室は、なぜかとにかく床がツルツルだった。 理科室に入った瞬間に漫画のように滑ってコケた人は、3年間で1人や2人ではない。 中学最後の理科の授業の日、友人と「この床で記念になんかしとこう!」ということになった。(なんの記念かはよくわからないが) 協議の末、この床ならムーンウォークめっちゃできるんじゃね?となった。 ぼくらはマイケル=ジャクソンになりきって、理科室でムーンウォークを楽し

−橙色− あこがれの巨大すべり台

公園の2大スーパースターといえば、ブランコとすべり台ですよね。 今日はすべり台にまつわる思い出話です。 多くの人がそうであるように、ぼくもすべり台が大好きな子供だった。 すべり台は長ければ長いほどいい。 近所の公園のすべり台は短いから、たまに大きな公園まで遠出して、ながぁ~~いローラーすべり台をすべるのが楽しみだった。 そんなぼくには、あこがれの巨大すべり台があった。 件の大きな公園に行く途中に見える、でっかいすべり台。高さはビル5階建てくらいあるだろうか。 あれすべった

−茜色− 東京の空の星は見えないと聞かされていたけど

故郷の夜は、闇だった。 空を見上げていると、だんだん闇に目が慣れてきて、見える星が増えていく。 やがて空一面に星がいっぱい広がって、夜空がまるく見えてきて、大きな天球の中心に自分がぽつんと立っているような感覚になる。 そんな夜が、ぼくはとても好きだった。 東京の夜は、薄かった。 街は光で溢れていて、空を見上げても、名もない星は全然見えない。 淡いグレーののっぺりした四角い平面があるだけ。 上京して数年、じっと星空を見上げることはなかった。 まぁ、夜に街中で立って上だ

−香色− 手作りティラミスをもらった

友人から、手作りティラミスをもらった。 ぼくは今、大学の研究室にいる。この居室では、7、8人がデスクワークをしている。 ぼくは、ここで、ティラミスを食べる。 ティラミスの瓶を開ける。 刹那、幸福の香りが我が鼻腔をつく。この香りは、拡散方程式に従って、やがて部屋中に行き渡り、他の人たちのもとへ届くだろう。ぼくは幸福の伝道師である。 否、人々が享受する幸福は、嗅覚のみに制限されている。 ぼくだけが、それを味わう特権を手にしている。ぼくは飯テロリストかもしれぬ。 特権は、直

−深縹− かつて道だったところ

畳縁。 たたみべり。 かつて、ぼくと兄にとって、そこは道だった。 ぼくらは畳の部屋で、ミニカーを走り回らせるのが大好きだった。 ミニカーが通っていいのは、畳縁の上。 畳縁とミニカー1台の幅が、ちょうど同じくらいなのだ。 畳の道には、対面通行の区間と片側交互通行の区間が存在する。 6畳の部屋だと、畳はこんなふうに敷かれているから。 さらに、ぼくらの道には踏切も存在する。部屋と部屋を仕切る敷居。 敷居を横切るときは、しっかり一時停止。 思い起こせば、次々に蘇ってくる。

−卵色− 半ゆで卵同盟

ぼくは、ゆで卵が嫌いだ。 あの、モサモサした黄身と、モチョモチョした白身。嫌いだ。 生卵なら食べられるのに。 黄身と白身をかき混ぜて、卵焼きにしてもおいしいのに。 なんで茹でるの??? 嫌いなものは他にもある。 貝。 小学生だったある日、給食で、貝の佃煮が出た。 「嫌いなものも一口は食べるように」という、迷惑この上ない決まりがあったので、素直なぼくは貝を一粒だけ食べた。 その日の夕方。家に帰ったぼくは、3次会後のサラリーマンのごとく、さめざめと吐いた。 それ以来、

−丹色− 国語嫌いだったぼくがnoteを書いている

ぼくは小1からずっっっっと国語が嫌いだった。文章を書くことも大っっっっ嫌いだった。 なのに、ぼくは今、こうしてつらつらとnoteを書いている。 文章を書くのが好きになったから。 きっかけのひとつは、高校の現代文の先生の一言だと思う。 高1の現代文の授業で、芥川龍之介の『羅生門』を習った。 あらすじはこんな感じ。 「下人の行方は、誰も知らない」で話は終わる。 この話の続きを自分で考えて書きなさい、という宿題がでた。 うへぇ。 文章書くのが大っっっっ嫌いなぼくにとっ