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パレスチナ支援者がウイグル人を無視する理由

10月7日にイスラム過激派テロ組織ハマスがイスラエルに対する大規模テロ攻撃を行うと、世界各地で数千人、数万人の人々が街頭にくりだし、ハマスの攻撃を「祝福」しました。

イスラエルがハマスに対する反撃を開始すると、さらにそれを上回る数の人々が街頭に繰り出し、今度は、イスラエルはジェノサイド国家だ!と非難したり、イスラエル大使館やイスラエル人、ユダヤ人やユダヤ学校、シナゴーグに対する攻撃も開始しました。

彼らはこう言います。

パレスチナは弱者でイスラエルは強者だと。

弱者パレスチナは強者イスラエルによって支配され、「天井のない監獄」ガザに閉じ込められ、そして今、無差別空爆によって虐殺され、全滅させられようとしているのだ、と。

彼らは弱者パレスチナを絶対善と規定し、強者イスラエルを絶対悪と規定する。だから弱者パレスチナに絶対に寄り添い、強者パレスチナを絶対に非難する。なぜならそれが、「社会正義」の正しいあり方だと信じているからです。

メディアのスタンスもこれです。だからメディアは、他では見たことのないような熱を込めてパレスチナを全力で、感情的に擁護し、イスラエルを全力で、感情的に非難する。

しかしここで大きな問題が浮上する。

なぜ、今パレスチナに寄り添い、数万人、数十万人の規模で街頭に繰り出し、イスラエルを非難する人々は、ウイグル人のためには何もしないのか?

パレスチナ人もウイグル人もイスラム教徒です。

しかし世界のイスラム教徒は、パレスチナのために数万人が立ち上がり、イスラエル大使館やアメリカ大使館や米軍基地などを襲撃し、イスラム教国が口を揃えてイスラエル非難声明をだすのに、ウイグル人のためにはほとんど誰一人立ち上がらない。イスラム教国も中国には文句一つ言わず、むしろ「新疆ウイグル自治区は発展し人々は幸せに暮らしている」とか証言したりしている。

ウイグル人は中国によって監視され、投獄され、命を奪われ、強制労働させられ、臓器を抜かれ、その迫害は明白であるにもかかわらず、なぜ世界の人々は、世界のメディアは、パレスチナのために立ち上がるようにはウイグル人のために立ち上がらず、イスラエルを非難するようには中国を非難しないのか?

中国共産党によって「テロリスト」とレッテル貼りされ、母を中国共産党に殺され、国を追われ、世界中で中国の執拗な脅迫、妨害、嫌がらせにあってきたウイグル人の政治活動家ドルクン・エイサ氏は自伝的著書『「テロリスト」と呼ばれた男』(飛鳥新社、2023年)で、いみじくもみずからの故郷である東トルキスタンのことを「天井のない監獄」と呼んでいる。

これは、

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