新しいふりかえり手法「ファンダンラーン」の紹介

ふりかえりと言えばKPTが一般的ですが、KPT以外のふりかえり手法もいくつか存在していて、その中でもファンダンラーンという手法を先日試してみたので紹介します。
僕も最近までふりかえりにKPT以外の手法があることは知らなかったのですが、ファンダンラーン(Fun・Done・Learn)やYWT(やったこと・わかったこと・つぎやること)といったいろんな手法があります。

ファンダンラーンの進め方

ファンダンラーンとは、文字通り英語のFun・Done・Learnのことで、スプリント内にチームのやったことを円を使い、3つの軸と重複で振り返る手法です。

各領域が狭すぎないようにいい感じに円を書く美的センスが求められますw

細かい手順はこのようになっています(手順はファンダンラーンの作者である @yattom さんの公開したQiitaより)。
https://qiita.com/yattom/items/90ac533d993d3a2d2d0f

1. まずホワイトボードや模造紙に、上のFun/Done/Learnの図を描く。重なり合う領域が狭くなりすぎないよう気をつけること。

2. メンバー1人ひとりで、やったことを付箋に書き出す。

3. 付箋の内容を共有して会話しながら、図上の当てはまる領域に付箋を貼っていく。

4. 次にスプリントやプロジェクト全体としてどうだったか、当てはまると思う領域に1人ずつ選ぶ(シールを貼ったり、ペンで印をつけたりするとよい)。スプリントならスプリント全体、プロジェクトならプロジェクト全体についての評価をする。

5. ボードを眺めながら、次のスプリントやプロジェクトではどの領域を狙いたいか話をする。

ふりかえりの目的

ファンダンラーンのメリットや実際に試した所感を述べる前に、ふりかえりの目的について軽く触れておきます。ふりかえりを漫然とやっているチームも少なくないんじゃないでしょうか(恥ずかしながら僕も以前までは明確な目的意識を持ってやれていなかったと思います)。もちろんチームによって目的は変わってきますが、一般的なふりかえりの目的について腹落ちできた資料があったので紹介します。

# 立ち止まる
- 「みんなで」立ち止まって、視野を広げる

# チームを成長させる
- 関係の質を高めて、全体最適を目指す

# プロセスをカイゼンする
- 問題点を解決する改善
- 仕事のやり方を継続的に良くしていくカイゼン

https://speakerdeck.com/viva_tweet_x/effective-retrospective-tonikakule-siihurikaeri

特に最後の「仕事のやり方を継続的に良くしていくためのプロセスをカイゼンする」ということがふりかえりでは大事かなと思っています。
そう考えるとふりかえりの手法はKPTだけにとらわれなくてもいい気がしてきますね。

導入のきっかけ(ファンダンラーンのメリット)

まずファンダンラーンを取り入れようと思ったきっかけは、KPTだとProblemばかりに着目してしまい、ネガティブな気持ちになるということでした。Problemを解決するようなTryが多く生まれ、結果的に前述したふりかえりの目的であるカイゼンよりも改善を優先してしまうということが続いていました。

また、ファンダンラーンではKPTよりもスプリントで起きた出来事について着目するので、その出来事がどうだったのか(Fun・Done・Learnのどれだったのか)という議論が生まれやすいのもメリットの1つです。

実際に実施してみて

まずポジティブな気持ちになりやすいというのは実際にやってみて実感することができました。またFun・Done・Learnの定義も人それぞれ違っていて、それぞれのメンバーがどういったポイントでモチベーションを感じるのかといった相互理解にも繋がったと思います。

一方で難しかったのが最後の次のアクションを決めるところで、なかなかTryが出てこなかったり、問題解決のための改善のTryが多くなってしまったり、カイゼンのためのアクションが中々出づらかったです。
ここに関しては、このスプリントではプロセスの改善のTryに集中してみるだったり、メンバーがFunを感じるTryにしてみるといったマイナールールやテーマを決めてしまってもいいかなと思いました。

ふりかえりのやったことがないチームがいきなり手を出すにはおすすめしづらいですが、KPTをずっとやっているが効果が実感しづらかったり、マンネリを感じているチームには試してみる価値はあると思います。

参考

https://qiita.com/yattom/items/90ac533d993d3a2d2d0f
https://speakerdeck.com/viva_tweet_x/effective-retrospective-tonikakule-siihurikaeri
https://lean-agile.fm/episode/46
https://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/others/ActivityPocket/FunDoneLearn.html

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