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2022カタールW杯を半年後に控えた日本代表の6月シリーズを振り返る

6月の4試合はW杯本番に向けてのシミュレーションのつもりだったと思います。仮にグループリーグを突破し決勝トーナメント1回戦まで残ったとすれば、試合に向けたコンディション調整など同じようなスケジュールになるはずです。チームとして長い期間一緒に行動することで発生した問題などピッチ外のことはわかりませんが、ピッチ内での問題は難題ばかりでした。

1.収穫と課題

4試合を通じて収穫と課題がはっきりしました。

収穫は、W杯優勝候補国と対戦してもスコアレスの展開が続くなら守備はある程度計算できること。ブラジルを相手に引いて守る守備戦術は機能していたので、ドイツ、スペインが相手でも先制点を奪われるまで守備はある程度耐えれると考えます。

課題は、攻撃パターンが決まっていること。全体的に守備に重心を置いているため、どうしても前線に人数をかけれず個の力での突破に頼る場面が目立っています。
また伊東純也選手、三笘薫選手が機能していないと得点には繋がらないことが証明されてしまいました。

攻撃の戦術を各選手の個の力に依存しまっているのはチームとして未熟ではないだろうか。確かに勝負を決める瞬間は個の力によるものが大きいです。
しかしそれはあくまでチームとしての連動が取れていることが前提での話。1対1の場面でも状況的に2対1の場面を作り出して、相手に守る選択肢を増やせば1対1を制する可能性は増えるので、個の力に頼る戦術を貫き通すなら周りの攻撃陣がいかにピッチ内で連動出来るのかにかかっています。

日本対策してきた国は3トップの両翼とアンカーのところを最大限注意していました。現代表のストロングポイントなので警戒されるとわかっていたと思いますが、個の力で突破できないと詰まって後ろへパスする選択しかなかったのは自分たちの無策を露呈しただけです。

次にビルドアップですが、代表活動期間中に改善されることはありませんでした。ワンタッチ、ツータッチとタッチ数を少なくして前線に運んで仕掛ける工夫も欲しかったし、裏のスペースへのフリーランニングや、密集地帯で味方のためにスペースを空ける動きなどチームのために自分を犠牲に出来る選手が前線に少なかったのは選手個人の意識の差ではないだろうか。

特に足元でボールを受けようとする動きしか見れないことが残念で、ボールを受ける瞬間は芝に足を固定されてしまうようなプレーの連続に見えました。足元でパスを受けるにしても、出し手と受け手の関係もイマイチで、受け手側が今立っているポジションでは相手のマークが付きやすいから、少し動いてマークを外して、出し手側に足元へのボールを要求するなど他にもやり方はあったはずです。

日本代表の悪しき伝統の1つに「得点力不足」がありますが、ブラジル、チュニジアとの試合ではホームゲームにも関わらず枠内シュート0に終わる大失態を晒しました。
ピッチでプレーしていた選手にも工夫は欲しかったところですが、選手の特徴を考えず、システムに選手をはめただけのベンチワークが最大の問題点です。交代する選手にしても試合前から決まっていたような采配の連続で試合の流れなど全く意図していないようでした。

スタジアムでの歓声が制限されていたおかげで、ベンチからの指示の声はテレビ視聴中でも聞こえてきました。守備に関する指示は出ていても点を取りに行くための指示が出ていなかったのは、攻撃は選手任せだったということが明らかになった。

このチームでいう積み上げとは常連組による連携の成熟度だと仮定するなら、W杯本大会でのグループリーグ突破は全く期待出来ません。守備戦術は整備されていても攻撃戦術が選手の個人技だけに頼るようでは、グループリーグ無得点で敗退する可能性の方が確率は高いです。

2.代表復帰組の可能性

7月に日本で開催されるE-1選手権はオール国内組で挑むことが決定しています。個人的な主観ですが各ポジション毎に気になる選手を4名リストアップしました。

[候補者リスト]

GK:西川周作(浦和レッズ)
DF:槙野智章(ヴィッセル神戸)
MF:清武弘嗣(セレッソ大阪)
FW:小林悠(川崎フロンターレ)

国内組にとってラストサバイバルになる大会ですが、ここまで絞ったのはポジション毎に1枠あるかどうかの狭き門の争いだからです。

2022シーズンのJリーグが丁度折り返しを迎え、17節終了時のデータを元に選考理由を簡単に書いておきます。

西川選手は、今季も守護神としてここまでリーグ戦全試合フル出場しており、チームの失点数は16(リーグ3位タイ)と安定した守備力も魅力的ですが、注目すべきなのはパントキックです。低弾道の正確無比なロングフィードを起点に、カウンターから局面を打開する可能性を秘めています。

槙野選手はセンターバックと左サイドバックでプレー出来るから。ドイツでプレーした経験もあるので初戦のドイツ対策としての隠し球になってもおかしくない。6月シリーズで活躍した伊藤洋輝選手とポジションが被るので現実的ではないし、最近のプレーには物足りないところもありますが、お祭り男としてチームが苦しい時にムードメーカーとして盛り上げてほしい。

清武選手はセットプレーのキッカーとして正確なキックが期待できるから。右利きの選手でセットプレーの時にワクワクするキッカーがいないのは今の代表の課題だと考えます。さらにドイツとスペインでプレーした経験があるので、怪我さえなければ攻撃の司令塔として切り札になるかもしれません。

小林選手はここまでJリーグ通算で132ゴールを決めていますが特に注目したいのが途中出場での通算ゴール数を「23」に伸ばし歴代2位タイとなったことです。現在Jリーグで途中出場ゴール記録は播戸竜二氏の持つ「27」に、あと4ゴールに迫る小林選手ですが、今シーズン中に達成できるようなら秘密兵器として日本代表復帰も現実味を帯びてくるかもしれません。

リストアップした選手はいずれもベテランの部類に入ります。しかし年齢はあくまで数字。日本代表の力になれる選手ならコンディションに問題なければ招集しても面白いと思います。

3.あとがき

ドイツ、スペインが相手ということで堅守速攻を軸に考えていましたが、グループリーグ最終戦をスペインに勝てば決勝トーナメントに進出の可能性がある状態で迎えた時は、前掛かりになって点を取りに行く必要があるので準備しておくことが必要です。

攻撃的に行くなら「4-4-2」のフォーメーションが最適だと考えます。中盤を1枚削ることは中央の守備が少し手薄になってしまいますが、前線のターゲットが増えることで起点が作りやすくなったり、両サイドからも厚みのある攻撃が仕掛けられることはメリットです。

4-3-3または4-2-3-1がベースとするなら持っておきたいオプションの1つだと考えます。付け焼き刃のような3バックを試すよりも、守備ブロックを作りやすい4-4-2の精度を上げれば、押し込まれる展開になって耐えるよりも前線に起点を増やすことで攻撃にもシフトしやすいため選手の消耗は少ないはずです。

https://footballnote.jp/


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