綾那

廻れ廻れ廻れ

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最近の記事

[短編小説]初恋

 青々と健康的に健全に育ってきた、朝露の粒も弾く青紫蘇。その双葉はもっともっと輝こうと光に背を伸ばし、そのちいさな二つの葉で太陽まで吸い取ろうと夢みている。青くちいさく輝きながら飛躍を夢みるその存在は、きみの青さに似ていた。  目に入れたら痛眩しいその青を、私は目を逸らしながらも凝視し続けた。健やかに青いままに居て欲しくて、守ってあげたくて。誰かの靴底に潰される屈辱をどうしても知って欲しくなくて。でも、私のような安易な者には守らせたくない気もして、少しだけ葛藤していた。  

    • あの頃流行ったヒットチャート どこかの街で流れた時にきみも耳にするだろう あの懐かしさ 歌詞の意味は人生経験で変化し続けながら メロディだけがずっとずっと永遠にきみとお揃いだね

      • 桜を見た記憶がない。 春はずっと前に、どっかの誰かにタダであげちゃった。 春がたいせつな人生は、私には無かった。最初から。 でも春はまた、何度でもやってくる。大切な春は、いつか絶対に巡ってくる。 何度も聴いた春の音の幻聴は、いつの日か現実になる。

        • [詩]チョコレートパフェ

          甘ったるく重力をもったふわり白い雲が、繊細かつ大胆に波打つ。そのうねりはまるで何かを表現したい芸術のような、優美で不規則な甘味である。そしてまた別の甘味が、その上をなぞるようにして流れ滴る。甘味と甘味は触れるとすこし融合し、白い雲の輪郭は、一部が曖昧となる。 この未知の接触は創造か、芸術か、それとも革命か。 もしくは各々に歴史のある確立された甘さへの、冒涜か。

        [短編小説]初恋

        • あの頃流行ったヒットチャート どこかの街で流れた時にきみも耳にするだろう あの懐かしさ 歌詞の意味は人生経験で変化し続けながら メロディだけがずっとずっと永遠にきみとお揃いだね

        • 桜を見た記憶がない。 春はずっと前に、どっかの誰かにタダであげちゃった。 春がたいせつな人生は、私には無かった。最初から。 でも春はまた、何度でもやってくる。大切な春は、いつか絶対に巡ってくる。 何度も聴いた春の音の幻聴は、いつの日か現実になる。

        • [詩]チョコレートパフェ

          [自己啓発]思考停止と行動力〜考えてから行動する〜

           人間とは、人間的な生活とは動き続けて話し続けることらしい。謂わゆる"健康的に"生きることとは、そういった習慣が必須らしい。だから、動きを止めて考えること、喋りを止めて考えることとは"健康的"とは対極に在るものなのだ。 なにかひとつ、ほんの小さな動作を行う時でも、その直前に「本当にこの行為は正しいのだろうか」などと深く鋭利に考え続けてしまって、存在しない正解を探す迷路にハマってしまって、いつまでも行動に移せないこととは、大きく言えば"人間的な"生活を営めないということ

          [自己啓発]思考停止と行動力〜考えてから行動する〜

          わたしの言葉を、おんなじ言葉を、ひらがなの柔らかさのそのあまりの魅力に頼るのが嫌だったりしたんだ。まるでひらがなでドーピングしてるみたいで。可笑しいよね。すごく、いちばんににほんごなのに。

          わたしの言葉を、おんなじ言葉を、ひらがなの柔らかさのそのあまりの魅力に頼るのが嫌だったりしたんだ。まるでひらがなでドーピングしてるみたいで。可笑しいよね。すごく、いちばんににほんごなのに。

          墨黒いコンクリートの上を、パステルカラーの服を着た女の子が歩いている。スカートの裾をちいさく波うたせながら。変なの。花だけにゆるされた色みたい。花だけにゆるされた揺れみたい。うつくしい希望は、案外たくさん近くを歩いている。

          墨黒いコンクリートの上を、パステルカラーの服を着た女の子が歩いている。スカートの裾をちいさく波うたせながら。変なの。花だけにゆるされた色みたい。花だけにゆるされた揺れみたい。うつくしい希望は、案外たくさん近くを歩いている。

          [小説]Cherry Tree

           昨日まで蕾だったのに、入学式にはちゃんと間に合わせて咲き誇り、すぐに雨が降って散る桜って嘘みたいで、フィクションみたいで、ドラマチックなようで少し胡散臭く感じていた。底のほうに小さく眠っていたこの感覚の存在に気付くくらいには、私は生きてきてしまったということだ。実家から徒歩5分に在る、もうずっと前にお世話になり終わった母校によく似た学校が、これまた記憶によく似た色の花びらを盛大に散らかしていた。こんな所に小学校があったなんて、今まで気が付かなかった。  あの日入学式にお母

          [小説]Cherry Tree

          部屋朝暑い暑い埃春春春春

          朝起きると変なことをしたくなって、これを書いている。誰も読んでないからできること。人と会うと疲れ果てて永遠に眠ってしまう。また私に会えた、また疲労感を背負って生活をする。暑い。暑い暑い。君の、手を加えていない美しさは、太陽を浴びてより強い光を反射させる。まるでそれが正解みたいに、意図せず偶然に美しすぎるから、それが正解になる。でも太陽を味方につけて、これ以上ないものを味方にしてしまったから、君はこれから右肩上がりになることない不幸な将来を知らぬ間に背負っているに違いなくて、そ

          部屋朝暑い暑い埃春春春春

          [短編小説]晴れの日の移動教室にたどりつけない

           教壇の上の初老の草臥れたおじいちゃん先生は、滑舌が悪くて声が小さい。そして、教壇の下のガキ共は、理科室に並ぶなんとも言えない緑色の机の周囲に居着き密集していて五月蝿い。彼らはただ若いだけの若い声を、無知で鋭利な音を出し続けている。私の心臓の鼓動がは速まる一方で、身体の外の世界は意識が飛びそうなほど一秒一秒が重く遅い。先生は何十回と同じことを諭し続け、授業は進まない。先生が舐められるほど、同じ様に私の存在も着実に危うくなっていて、身体を紙やすりでゴシゴシと削られているように私

          [短編小説]晴れの日の移動教室にたどりつけない

          一番に澄んだ空気 今日

           今日は酸素の密度が高くて、空気が澄んでる。今日みたいな小雨の日は、卒業式の前日みたいな、あのスッとなる厳かに冷めた空気感。ちょっとだけ張り詰めたこの空気、大好き。切なさみたいなこの感じ、大好き。一日中外で、一粒でも多くの酸素の粒を溢さずしっかりと吸い込んで、その生鮮を肺に、全身に循環させ、身体の奥底まで至ってしまった濁りを濾過したい。ぐるぐる回る吸引力の掃除機みたいに、いらない灰色を吸い取られたい。全身の空気を入れ替えて、次の瞬間を踏みたい。卒業式前日の体育館だけにあるあの

          一番に澄んだ空気 今日

          猫様たちへ

           猫猫猫猫。安定の癒しは猫。この時代に万人受けする「かわいい」は決まって猫。  写真1秒の猫、リール10秒の猫、猫カフェ30分の猫。そして、「やっぱり世界一かわいいです」うちの猫。  猫になりたいな、普通に。確で死ぬ迄かわいく居られるし。猫になりたくないな、当たり前に。確で自由気ままで小悪魔になんて生きられる訳ないし、奴隷だし。  自分のお洒落の為にたまに猫耳フードとか首輪みたいなチョーカーとか着けるぐらいがちょうどいいな。  猫はみんなにとってかわいい癒しの存在、人間の

          猫様たちへ

          夢を見てても現実を見ててもいい。自分で決めた場所を見て居ようね。

          (詩的文章です。ここでいうピンクは、反抗、革命、理想といった意味で使っております。)  私の頭のなかの景色が綺麗すぎて、私の頭のなかの夏が刹那の瞬きすぎて、私の頭のなかの女の子のピンクが可愛すぎて、色々と多くを諦めてしまった。諦めすぎてしまった、この世界を。私は色々なことが上手くできないみたいで、だから人よりも頑張ることが生きる前提で、誰も知らないやり方でしか超えられない実態のない限界線を睨みながらもがき足掻いてきたのに、現実の色は頭の中の色を超えることはなくて、いつも陳腐

          夢を見てても現実を見ててもいい。自分で決めた場所を見て居ようね。

          Claiming Minority|主張する少数派

           毎日毎日、大きな声をもつ人が大きな声で多数決をとっている。鳴り止まないその声は五月蝿くて、頭がどうにかなってしまいそうだ。ロッカーの上に沢山の習字が貼られたあの教室で、次の休み時間はドッヂボールかそれとも鬼ごっこかを決められたらもうそれで良かったじゃないか。もうおしまいで良かったじゃないか。 僕はあの時間が実はこわくて逃げたかった。でも僕はまだあの時間から逃げられないでいる。あの懐かしい小学校の教室は、僕を、皆んなを1人残さず含んだまま宇宙よりも速い速度でどんどん膨張し続け

          Claiming Minority|主張する少数派

          無知は暴力であり自己防衛。

          無知は暴力であり自己防衛。

          不覚に深すぎた恋は 時間に自覚されるほど薄らいでいって 気付けばわたしは陸地に立って 何処までも深く続く海を眺めて居た たまに思い出したように浅瀬で遊んでは また浜辺に戻った

          不覚に深すぎた恋は 時間に自覚されるほど薄らいでいって 気付けばわたしは陸地に立って 何処までも深く続く海を眺めて居た たまに思い出したように浅瀬で遊んでは また浜辺に戻った