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残業代150万弱を弁護士を利用せずに請求した話#1

みなさんの会社はきちんと残業代を払ってくれていますか?
私が以前働いていた会社は毎日平均3時間以上残業していたにもかかわらず、残業代が払われることは一切ありませんでした。

現在は、転職し残業代も支払われる企業に勤めることができていますが、以前の会社は激務のあまり、残業代のことを気にすることも出来ない状態でした。会社に飼いならされるとはまさにあの時の状況だったと感じています。

心身ともに疲れ果ててしまった私は、退職を決意したのですが、今まで働いた残業分のお給料については見過ごしたくありませんでした。退職を決意してからの約2か月の間に残業代請求の準備を進め、退職後に弁護士を使わずに、自分だけの力で残業代を請求することに成功しましたので、その時に調べたことや作成したもの、ノウハウをここに共有したいと思います。(全3回くらいを予定しています)
※実際の請求金額や残業時間は特定防止のため若干の脚色を加えています。
あくまで私が出来たことであって、すべての人が弁護士を使わずに請求できるというわけではないと思います。あくまでも参考程度に見てください。

残業代未払いに全く関係ない方でも、ご友人や自分の子供が残業代を支払わない会社へ勤めてしまった時の参考にしていただければ幸いです。

最終回では、残業代請求を行った際に使用した「未払い賃金計算書」のGoogleスプレッドシートの共有URLと、残業代請求の最初の一歩である「通知書」のテンプレート資料の共有URLを記載する予定です。

1.まずは出社時間と退社時間を残す癖をつける

まず、前提条件として出社時間と退社時間は何らかの形で必ず残すようにしてください。私が残業代請求を行ったときは、PCのシャットダウンログ、日報提出時の時間、連絡ツール(SkypeやSlackなど)のログを請求時に提出しました。これらのデータは残業を行った証拠として重要なデータになります。
もし、そのような情報が残せない…会社から取り出すことが出来ないといった方。安心してください。Googleアカウントに紐づけたスマートフォンを持っていてGPS機能がONであればGoogleマップの履歴から出社時間、退社時間が勝手に記録されています。(それはそれでなんか怖いですけど…)

↓ 確認してみたい方は下記からどうぞ。
Googleマップタイムライン(履歴)を確認する
※スマートフォンを持っていない場合、スマートフォンのGPSをONにしていない場合、スマートフォンとGoogleアカウントを紐づけていない場合は取得できないです。
最近では出社、退社時間を記録するアプリもありますが確実性でいえばGoogleマップの履歴が一番かなと思いますが、それも難しい場合は、手書きのメモでも効力はあります。また、自宅に自分以外の誰か(親御さん・奥さん・旦那さん・子供)がいらっしゃるのであれば、帰る際に必ずメールやLINEで今から帰る旨を残してください。これも証拠としての効力があるようです。

残業代請求を行う際には、実際に残業代がいくらあるのかを自分で計算しなければなりません。そのためにも時間を記録することは残業代請求に必須の作業となります。
2019年現在は過去2年にさかのぼって残業代の請求が行えます。(2020年は過去5年になる可能性があります)2年間すべての記録がなくても、半年ほどの履歴があればその時間を元に平均した残業時間を割り出して請求することも有効(※1) なようですので、今からでも記録するようにしましょう。
※1… 例えば、半年間毎日残業しているような客観的証拠があれば、それ以前も残業は日常的に行われているであろうという判断が出来るようです。

もし、請求先企業がその時間を不服とした場合は、じゃあ実際の勤務時間は何時だったの?という反証を求めてください。勤務管理は企業の責任になりますのでここで確かな資料を提示できなければこちらの証拠の方が有力とみなされます。また、勤務時間を明らかに改ざんしているような資料を提示してきた時は、れっきとした違法行為ですのでこちらの勝ちは確定したようなものです。詳しくは最終回くらいに後述しますが、未払い残業代を最大2倍請求できるチャンスがあります。

2.雇用形態を確認しましょう

よくある話で、裁量労働制だから残業代は請求できない。といったことがありますが、残業代というのは労働基準法で定められた労働時間(原則は1日8時間、1週40時間)を超えて行われた残業のことをいい、これを(法定)時間外労働といいます。残業代はこの(法定)時間外労働を超えた際に発生する割増賃金です。そのため、裁量労働制であっても(法定)時間外労働を超えた時間については残業代は支払われるべきものとなっています。
また、最近では「みなし残業(固定残業代)」を取り入れている企業が多く、これもまた残業代不払いの要因となっています。
みなし残業(固定残業代)を取り入れた雇用形態であれば例えば、月40時間の固定残業代という名目で残業手当が付くはずですが、この場合でも、みなし残業を超えた時間外労働は残業代請求の対象となります。
また、みなし残業時間で残業手当金額を割って、お住まいの最低賃金に達していなかった場合も残業代請求の対象となります。雇用形態がどんなものであっても(法定)時間外労働を行っていれば残業代請求を行うことができるのです。
ちなみに裁量労働制には労使協定が必須ですし、みなし残業(固定残業)についても従業員への周知を徹底する義務があります。
もし、少しでもおかしいなと思ったら調べてみてください。

3.未払い残業代を計算しましょう

未払い残業代を請求する時に必ず行わなければならないことがあります。
それが未払い残業代がいくらなのかをしっかりと計算することです。
残業代の計算は、請求する人が行わなければなりません。
また、請求先の会社に頼むとごまかされたり、突っぱねられたりすることがあります。初めから未払い残業代を計算し提出することでこちらの本気度が伝わりますし、後述する労働基準監督署の方にも動いてもらいやすくなります。
残業代の計算は少し複雑なので、あきらめる人もいるみたいですが、最終回に下記のようなGoogleスプレッドシートの共有URLを記載する予定です。
就業時間を書き込むだけでいくら残業代が発生するのかを自動計算してくれますので、利用してみてください。

ちなみに私の場合、約150万円ほどの未払い残業代を計算して、全額請求することに成功しています。請求先会社とのやり取りの中で、勝手に減額してこようとしてましたが初めから未払い残業代の算出資料を提示することで客観的証拠となり、請求しやすくなったのではと思っています。

スプレッドシート

※上記画像の値はサンプル値です。

4.最初は労働基準監督署へ申告

未払い残業代が計算出来た後は、最寄りの労働基準監督署へ行きましょう。この時注意してほしいことが3つあります。

①「労働基準法違反の申告をしたい」と伝えてください
 相談と申告がありますが、相談だと動いてくれる可能性が低いです。
②申告時は匿名申告と実名申告がありますが、必ず実名申告で行いましょう
 ①と同じく匿名申告では動いてくれる可能性が低くなります。実名ではしたくないという場合は、退職後に申告しに行きましょう。
③「雇用契約書」「過去の給料明細」「残業時間の証拠資料」「未払い残業代金額資料」などの資料はすべて持っていきましょう

以上です。②に関して、在職中は実名申告をしにくい場合があります。
実際に私も労働基準監督署へ申告に行ったのは退職後でした。そのため、在職中に集められる証拠は集めておくようにしておきましょう。

③の際に持っていく資料ですが、基本的には証拠となるものすべてを持って行った方が話が早くなります。
私が申告に行った際には、③で記載した資料以外にもタイムカードの写真やPCシャットダウンログをプリントアウトしたものなど出来る限りの資料を持っていきました。労働基準監督署の方がすべてその場で確認してくれるわけではありませんが、時間外労働の証拠として一部コピーしていました。
また、ここまで準備しておけば労働基準監督署の方の作業量が少なく、すぐに行動してくれるようになります。

今回は長くなりましたので、ここまでです。
次回は労働基準監督署へ申告しに行った後に、請求先企業へ最初に送る「通知書」の書き方、企業側弁護士から来た回答書に対する、回答の仕方などを実際の私の体験談をもとに説明したいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
続きはまた明日以降に書きたいと思います。

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