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雨男

アフリカに行けば神様になれる

そんな冗談さえ言われるほどの雨男である。曇りのち午後から雨の予報、よしよし出勤する時には雨は降らないから安心だと家の扉を開けた瞬間に、待ってましたと言わんばかりの雨音の拍手で迎えられる事もしばしばあるし、休日が取れたと喜べば、かんかん照りを前後に挟んでの大雨の日だった事もある。
しかし、これらは全て思い込みなのである。私がアフリカに行っても雨は都合よく降らないので神様と崇められる事もなければ、私の移動や休日に合わせて天候が気を利かせることなど決してない。

ないとわかっていながら、私は自分の運の無さや間の悪さを誤魔化すために自ら雨男ですと自嘲気味に人に言っている。さいきんだと、氏名の一部に雨かんむりがついているのを引き合いに出してさも自分は真の雨男であるという風に披露して職場で笑いを誘っている。なるほどこれならば雨乞いの詐欺師としては少しは説得力があるかもしれないぞと考えてニヤニヤしたりする。いっそのこと、自称雨男(女)の人たちを集めてお互いに雨に降られる人あるある談義で花を咲かせるのも良いかもしれない。ご時世的に雨男(女)などと呼ばず、「雨の人」とでもして雨の人の会を催すのだ。なかなか良いかもしれない。

私がよく雨に降られることはさほど深刻な事ではないし、そんな時のために折り畳み傘をカバンに忍ばせているから大した影響はないが、ここ数年の大雨の様子だと場合によっては雨男ですなどと軽口もはばかられるくらい酷く降ることがある。道路が川のようになったり家が流され、良い加減にしろという声もかき消すくらいの大粒で強く打ち付ける災害級の大雨は、アンラッキーや気の持ちようでは笑って流せない。そんな大雨のニュースを見るたび雨によく降られて雨に振り回される1人としては、早くこの雨が止みますようにと人一倍強く願うのだ。

そんな事を考えながら、今朝の通勤でもやはり突然の雨に降られてしまった事を思い出していた。会社の外は嘘のように晴れている。雨なんか降りましたか?そんなふうに青空に言われた気がして、やはり私は雨男だなと思った。

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