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さようなら、ありがとう。

今日、新しい靴を買った。前に履いていた靴と同じ靴。

私はコンバースを愛用していて、たぶん3年くらいは履いていた気がする。底が抜けているので、雨の日に履くと靴下が濡れるし、そのせいで臭いし、たくさん悩まされた。周りの人から「汚い」や「早く買い替えろ」とよく言われた。親には「買ってあげるから、変えれば?」と言われた。そこまで言われても、それでも履き続けたのは、単に愛着が湧いて、手放せなくなっていたからだ。

どこに行くのにもこの靴だった。高校の体育の時間も(登下校中は革靴を履いていた)、友達とよく行ったゲームセンターにも、修学旅行で行った沖縄にも。大学受験も、雨が降っていたけれど、雨で靴下が絞れるほど濡れながらも、これで挑んだ。全部を共にしてきたこの靴を、簡単に手放せるわけがなかった。

そんな靴を、買い替えようと決心したのは、意外とあっさりだった。今日、父が靴を見たいと言うので、一緒に靴屋さんに行った。そこで、なんとなく靴を見ていたのだが、コンバースが目に入った。全く買い替えるつもりはなかった。けれど、自分の靴と新しい靴を見ていたら、なんだか悲しくなった。色がはげて、靴ひもが黒くなって、かかとがつぶれて。途端に、自分の靴が痛ましく思えてきたのだ。もう休ませてあげよう。
さようなら、今までありがとう、って。

新しい靴は、全く私の足には馴染まなかった。生地がピンとしていて、私はずっと履いていたくたっとした質感の方が好きだ。でも、アレと初めて対面した時も、そうだったような気もする。こんな気持ちだった気がする。たぶん、あれこれ言っている間に、自分の足に馴染んでくるんだろう。そして、また3年後か、もっと早いか遅いか、わからないけれど、また同じことを繰り返す。それまで、この靴といろんな場所へ出かけようと思う。

それにしても、新しい靴とは、こんなにも馴染まないものなのだろうか。

あ、サイズ間違えた。

#日記 #エッセイ #靴 #コンバース #さようなら
#ありがとう

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