年がかわるとともに転職した。1月7日から新しい職場で心機一転、仕事に励み始めたはずが、インフルエンザＡ型発症、初週でダウン。こ、こんなことがあっていいのか‥？！！ 困惑しつつ職場へ連絡、成人式にかかる三連休は療養に消えた。入社早々インフルエンザを持ち込み、あわやパンデミックでも起こそうというのだ。笑えない。しかしこうなってしまったからには仕方ない。かつての上司は言った、「転ぶなら、前に転べ」と‥。

　はじめてのインフルエンザ体験であったが、思っていたよりめちゃくちゃしんどい。高熱・関節痛は勿論のこと、声はゴラムになり、起き上がるたびに鼻水が滴り落ちる。おちおち眠れないほど咳が続き腹筋は筋肉痛。「４日間筋トレしていません」とスマホの通知は鳴るが、これ以上どうしろってんだ。"俺の体、もってくれよ‥！"と祈りつづけ、今回の体験を人の役に立てると湿気のこもった布団の中で決意した。

　今回私が差し入れてもらって助かったものと、差し入れてもらえたら拝んだであろう物品を列挙しておく。一人暮らしでインフルエンザと闘うもうひとりの私に、きっと誰かが差し入れてくれることを祈る。恩を着せられること請け合いだ。上にあるものほど重要度が高い。お財布の許す限り持って行ってやってほしい。

・どん兵衛 ×２

　まずは食糧だ。どん兵衛は美味い。きつねと、もうひとつはそばがお勧めだ。１食分では心もとないから、２食分持って行こう。一人暮らしなら食糧を調達するには自分が動く必要がある。１食分ならそれが６時間ほど先送りに、２食分あれば１日は引き籠っていられる。

　体調の悪いときには胃にやさしいものを、というのは定番だが、これは単に体が弱っているからという理由だけではない。今回のインフルエンザで痛感したのだが、薬で胃がぼろっぼろになるのだ。

　また体調の悪い時には食事の用意もままならないため、自分のタイミングで最小限の労力で口にできること、洗い物が出ないことが大切だ。すべてを満たしてくれるのは、そう、どん兵衛である。

・ポカリスウェットorイオンウォーター 900ml ×２

　つぎに水分だ。どん兵衛とどちらが重要かというと難しい選択だが、最悪水道水があるので次点とした。ポカリスウェットは味が濃すぎるため、イオンウォーターがあればベストだが、なかなか店頭で手に入れるのは難しいだろう。500mlではすぐになくなってしまうし、1.5Lでは直接口をつけて飲むには重い。900mlを２本が適量だろう。

・カップアイス ×２

　アイスというのは、手っ取り早くカロリーが摂取できたりひんやりしていて良い。ここで沢山入っているからといってアイスバーを選ぶのはお勧めしない。なんせ食べるのにも時間がかかるので、時間制限付きともいえるアイスバーは病人にはハードルが高い。ゆっくり食べられるカップアイスがよいだろう。この際ハーゲンダッツひとつよりもMOW２つの方がありがたい。

・ローションティッシュ

　風邪にしろインフルエンザにしろ、とにかく鼻をかむので鼻の下の皮膚がぼろぼろになる。普段からローションティッシュを常備していない人も多いし、なんせ消費量が多いため、ここでローションティッシュの差し入れがあると崇拝度が上がる。

・バナナ

　多少好き嫌いが分かれるが、バナナは強い。体調を崩すと便秘にもなりやすいところを何とか押し出してくれるし、とりあえずおなかに何か入れて薬を飲むのにも手っ取り早い。

・カップのデザート数種

　定番のゼリーやヨーグルトが数種あるとよい。ゼリーにフルーツが入っているのか、フルーツにゼリーがまみれているのかよく分からないあれだ。ここで複数の選択肢があると食べる楽しみが増す。

・ミニトマト

　なにか生ものが欲しい、となったときにこそミニトマトだ。フルーツは皮を剥いたり生ごみが出たりと面倒が多いため、前述のゼリーやヨーグルトに含めてしまったほうがよい。それでもちゃんと歯ごたえのある生ものが欲しくなるので、ミニトマトの出番だ。食感もよいし、ざっと水で洗ってヘタだけ取ってそのまま口に入れられる。受け取った側も「なぜミニトマト？」と思うだろうが、食べた瞬間あなたを拝むはずだ。ほかにきゅうりの漬物（オイキムチ）なんかもみずみずしく、乳酸菌まで摂れるのでお勧めだ。

ほか、サービスの差し入れについて

　ここまでは差し入れられる"物品"を紹介した。インフルエンザの場合はとにかく差し入れた側に感染してはいけないため、上述の物品を速やかに渡して帰ることをお勧めする。が、これ以外になにかしてあげたい！という人のためにとにかく助かる"行為"を紹介しておこう。勿論本人の許可は必要だ。

・洗い物

　もし流し台に洗い物がたまっていたら、やってあげよう。料理をしてくれるのもありがたいが、結局洗い物が出て溜まっていくと精神的にしんどいのでむしろ洗い物を片付けてくれた方が実際のところ救われる。

・ゴミ捨て

　寝込んでいる数日の間に、あらゆるゴミが量産される。ストッカーがある場合は出してくれると本当に助かるし、ご近所や車ならいくらか持ち帰ってくれるだけで、あなたは神に近しい存在に昇華するだろう。

・レンタルDVDの返却やクリーニングの受け取り

　帰る前に、これらが無いか一言聞いてみよう。寝込んでいる間に返却日を過ぎたDVDの延滞料を払うのは辛すぎる代償だ。期限のあるものを代行することは最高の贈り物になる。

・ペットの餌やり

　ペットを飼っているひとにとって、自分が病気になるということはペットのケアができなくなることに等しい。犬の散歩までしなくても、新鮮な水と餌をやってくれるだけで飼い主は人心地つけるものだ。

おわりに

　以上、本当に役に立つ一人暮らしの病人へ贈る差し入れを書き連ねた。これから益々インフルエンザや風邪が流行るだろうから、備蓄の参考にもなれば幸いだ。

　ひとりでも多くの苦しむ病人に、誰かの優しさが届いてくれることを切に願っている。