人の人生を笑うな

私は、自分を棚に上げ人を見下して嘲笑う人間が
心底嫌いである。

何様なんだろう、どうしてこの人は自信たっぷりに
人を蔑むのだろう、見下せる程のどんな素晴らしい
人間なんだろう

彼等の顔をじっと覗き込む。

私の地蔵の様な目線に耐えかねるのか、大抵は気味悪がって目を逸らす

その度に研究の機会を逃し、謎は解明されぬままだ。

それすら個であり、彼等には人を嘲笑う権利があるのだろうか......

そんな事考えて眉をひそめてたら可愛くないので
とりあえず眉間をゴシゴシして、にっこり笑う

これが、私のルーティーン

我ながら小賢しく可愛げのない、嫌な女だと思う。

「人の人生を笑うな」

他人の蔑んだ目なんて鼻で笑って
涼しい顔でツンとすましてそう言ってみたい

周りの目なんてクソ喰らえ、と。

ブスでもデブでもハゲでもオタクでもダサくても
ババアでもオカマでも別に何でもいいじゃないか

意地悪でも、優しくても

もう、何だっていい。

80歳も過ぎれば見た目なんて大差なくほぼ同じになるし、ボケたら子供になるんだし

不条理、不平等に不平不満を長年となえてきた私は
人類皆平等という言葉の意味がイマイチ理解できないでいる。

平等なんてのは、いずれ老いる事と寿命が分からない事くらいではないか......

「自分嫌い」を拗らせて
めんどくさい引き出しばっか増やして上手に諦める
コツを学び、ずる賢い大人になった。

「私は私」になりたくて、あがいて、見失っては
ペラペラな自己を保つ毎日

大丈夫なフリして何となく周りに溶け込んで空気みたいに息してた

エスカレーター式の、愚行による愚者の道から一転

どうせ、なりたい自分になんてなれないし
ならいっそ傷つかぬ様、平穏に
波風立てない人生を幸せと信じて「普通」を全うしてきた

楽なんですよ、この生き方
ただし、とても味気ない。

速攻クリアできるゲームを延々やるような
やるせなさ

愛想笑いなんて、この世でいちばんくだらない事を
目をつむっても自然とできるつまらない大人になった

こうしたらきっと生きやすくなると信じて
フツーに悟りを開き、菩薩の笑みで過ごしてきたわけです。

【思い描けば、なりたい自分になれる】

これはあながち間違ってない気がする

目標が定まれば、人間そこに向かう様なシステムになってる......らしい

そんな訳で目指すは【普通の結婚】

世間が認める結婚という幸せに浸り、それなりに楽で
傍から見ても幸せ標準値クリアであろう絶対的価値を手に入れた

必要とされないと個を保てない私にお似合いの
普通の生き方を見つけたと思った。

それなのに......

普通を打ち砕くすったもんだの末

振り出しに戻った私は、またも多様化ジャングルに放たれた。

世間の標準に擦り寄せて生きてきた私の、果たして
普通じゃなくてもいいのか地獄凸

多様化とはなんぞや......

顔がデカくて、余白で運動会で、とっちらかったパーツだろうが、皆違うから個性なんですよね?

人とは違う、俗に言う標準からはみ出た人間をまるっと個性と認めてくれますか?

......本当に?

綺麗な家に住んで、整理整頓された清潔な部屋で
可愛いパジャマ着てアロマなんか炊いて
料理本のような彩り豊かな食事を作って、何なら自家栽培。
シャネルやバーキン持って、毎日顔に色んなものを
塗りたくって、人中縮めて涙袋に執念ぶち込んで顔面大改造、場合によっては大工事。
シワもシミも女の敵、目クジラたてて顔面大掃除。

目指すはなるべく黄金比、憧れのあの子に少しでも近づく為の努力

誰もが羨む容姿の良い高収入男と結婚し
子供二人くらい産んで年に数回海外旅行

ゆとりを持ち優しく微笑む、美しい私

手入れの行き届いた、美しい私

皆に愛されてる、美しい私

自己がないといけないから、言いなりなんてそんな奴つまらないから、好きな事をしよう!個性を磨こう!

流行りの服、流行りのメイク、流行りの言葉
YouTuberの楽しそうなモーニングルーティーン

そうゆう目に見えるモノサシ情報で溢れてて
こうゆうのが正しい幸せなんだよって押し付けてくる

結局の所、みにくいアヒルの子で
つまらぬ人間は幸せになれないのが現実ですか?

せめて標準くらいには頑張らないと、ダメですか?

私の見てる世界に多様化は、全く浸透していない。

仮に今の状態で、人の人生を笑うな!

そう叫んだとする

「そうだよね、君は君で素晴らしい!
多様化バンザイ!」

そんな風に受け入れてくれる人は、己の価値を分かっている視野の広い少数派ではないのか

大概は
「いや、ゆうても(笑) 美貌も金も地位も名誉もなくて......未だ誇れるものひとつないんですよね?
人生積んでますやん」

「笑われる様な素行のお前が悪い、鏡見て出直せ?」

「クソみたい人間はさっさと死ね!!」

「いや、笑う以前に興味ない」

内心、そんな所ではないでしょうか?

多少オーバーで、過小評価しすぎかもしれません

少々ひねくれすぎなのも、重々承知しております

誰かが誰かを鼻で笑って見下して、自分より劣る人に優越感をもち安心する
自分より優れた人間を見たら自分の足らなさを数え
絶望する

だけど、そんな汚い心は決して悟られてはいけない

だって、私は清いから。

胡散臭いテンプレートような笑顔で皆こう呟く

「私なんて」

「頑張れば、幸せになれる」

見栄と優越感、嘘とまやかしに虚勢

私の見てる現実世界はこんなので溢れてます。

はー、息苦しいったらありゃしない

見えない何かにゆるーく首を締められてる様な......

その場しのぎの仮面を使いこなし呼吸すんのがやっとで、せっせとタバコに火を着けて規則正しく寿命縮めてる

「同じじゃなくて、何が悪いのよ」

そんな風に堂々と言える
あの子やあの人が羨ましくてたまらない。

そんな人に、現実世界で数人出逢った事がある

強くて、クレイジーでクレバー

自己があるから他人にもフラット

とにかく自由でユーモアラス

彼等の傍では肩肘張らずに、呼吸がしやすかった。

観察していると、100%完璧な訳ではなかった

人間臭くて弱く脆い部分を上手に乗りこなし
自分を笑って赦す強さがあった。

......かっこいい

結局の所、私は人の顔色と周りの評価に怯えて
なるべく出る杭にならぬ様
そっと空気と一体化してきた屁理屈ウジ虫野郎である。

本当に可愛いくてウジウジしてる分には
別にいいんですよ

控えめな態度が可愛いさをさらに引き立ててますよ

そう出ない場合、本当に空気化するだけだ

このままでは、笑われる所か

「あれ、居たの?」

そんな始末であろう

傷つきたくないし、何よりいちいち顔色伺うの
面倒臭い!

私だって、嫌な奴を跳ね返せるウィットに富んだカッコイイ人間になりたい。

典型的なクズ、典型的な依存型女

今、わざわざ顔と恥を晒してまで何がしたいのか
正直やりながらも手探りでよく分からんし
これ自体「黒歴史追加」ってフラグたちまくりですけども。

まぁ、これ以上何か増えた所で酒の肴だわと思う位には図太くなりました

まとまりない稚拙な自己満文章しかかけないし、オチないし、知的な美しい言葉も、耳障りの良い話も書けないけど

これを機に、今度こそ自分を受け入れてあげれる様に

人を見下さない、人の痛みをちゃんと分かる
優しい言葉をかけられる余裕のある人間になって
勝手気ままに生きたいと思ってます

「人の人生を笑うな」

そんな風に堂々と笑える日まで

#エッセイ
#ミスID2020
#ミスID

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