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ボーカリスト槇原敬之に学ぶJ-POPの秀逸曲#7 「Hello, my friend」

 私はこの曲を知っていた。
 松任谷由実でしょ。

 1994年の作品だ(作詞・作曲:松任谷由実)。
 しかし私は、この曲をじっくり聴いたことがなかった。
 今回、槇原のカバーで初めてじっくり聴く機会をもって、私の心は震えた。
 唄い出しの「ハロー、マイ・フレンド」の意味が分かったからだ。
 これは、もう二度と会うことのない友だち、自分の胸の中にだけすんでいる友だちに対する呼びかけ、つまりは心の中の独り会話なのだ。

 私はこれまで、松任谷由実をよいと思ったことがなかった。
 活動歴の長いアーティストなので、どの時期の松任谷を知っているかによって、その印象は大きく異なるのではないか。
 私の場合、松任谷と言えば「真夏の夜の夢」(1993年)や「春よ、来い」(1994年)や「輪舞曲(ロンド)」(1995年)であった(「Hello, my friend」も同時期の作品なのだが)。
 キャッチーなメロディで、売れるのは分かるけれど、どこか大衆的で、よいとは思わなかったのだ。

 しかしここに来て「こんにちは、私の友だち」だ。
 私は詩人としての松任谷由実に今頃気がついた。
 原曲を〝再発見〟した。
 2-②「優劣はつけられないが、原曲の新たな魅力を引き出している」に分類しておこう。

(次回に続く)

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